サントリービールは、「ザ・プレミアム・モルツ」のマーケティング説明会を8月25日に開催した。ビール市場の動向、今秋以降のマーケティング活動について説明したほか、”ビールの泡”に関する取り組みも紹介。いま20~30代の若年層にザ・プレミアム・モルツが売れているという。

  • サントリービールがマーケティング説明会を開催した。写真は、サントリービール マーケティング本部 プレミアム戦略部長の水谷俊彦氏

親近感のあるブランドになった

登壇したサントリービール マーケティング本部の水谷俊彦氏によれば、2020年10月の酒税改正後、ビールの売上が好調に推移している。「発泡酒、新ジャンル、RTD(ハイボール缶含む)、ウイスキー、ワインなど、ほかのジャンルからビールへの流入が続いています」と水谷氏。

そして興味深いのが、2021年の消費者意識の変化。高級・高品質志向が高まっており、少し高くても贅沢で品質の良いものが売れるようになった。「コロナの長期化により、良いものを求める気持ちが高まっています。酒税改正はあと2回(2023年と2026年)あり、ビールは減税される予定。さらに追い風を受けるものと推測しています」と水谷氏は期待を寄せる。

  • サントリービールの2本柱「ザ・プレミアム・モルツ」と「ザ・プレミアム・モルツ<香る>エール」

  • 消費者の行動変化(サントリービールのWEB調査による)

こうした状況のなか、サントリービールの「ザ・プレミアム・モルツ」「ザ・プレミアム・モルツ<香る>エール」も販売が好調だ。特に、若年層と新規購入者をうまく取り込めている。

ユーザーの間口が広がった要因について、サントリービールではリマーケティングの効果と分析する。CMキャラクターに俳優の小栗旬さんを起用し、以前のような「敷居が高いビール」という消費者の先入観の払拭に成功。親近感のあるブランドとなり、そして「幸せな気分になれそう」「自分へのご褒美になりそう」といったイメージも浸透した。水谷氏は「20~30代の、これまで『ビール離れが進んでいる』と言われていた層に飲まれています。広告による効果で、より身近に感じていただけているようです」と説明した。

  • 直近の消費者動向

そこでサントリービールでは下半期、限定品を次々に投入することでユーザー間口のさらなる拡大を狙っていく。直近の8月24日には「ザ・プレミアム・モルツ <香る>エール 秋の芳醇」を発売。そして9月21日には「ザ・プレミアム・モルツ ダイヤモンドホップの恵み」を、10月19日には「ザ・プレミアム・モルツ <黒>」を発売する。水谷氏は「色んな味わいのビールを飲みたい、という多様化するニーズに対応していきます」と説明する。

  • 次々に限定品を発売、さらなる間口拡大を狙う ※2021年8月31日訂正:「ザ・プレミアム・モルツ <黒>」の発売日について、画像上では「10/12」だが、正しくは「10/19」

サントリービールでは『神泡』と呼ばれる、ふんわりとしたビール泡にもこだわっている。飲食店向けには「樽生セミナー」を実施し、担当者が神泡の作りかた、その効果などをレクチャーしてきたが、これをオンラインでも実施する。また、消費者向けには家庭でもトロトロの神泡を作ることができる「神泡サーバー」の販売を4月から開始した。専用サイトにおける価格は税込980円で、今日現在で約3万台を出荷したという。会場では、そんな神泡サーバーのデモも行われた。

  • 缶に超音波を伝えて神泡をつくる神泡サーバー。単4電池×2本で動作する。グラスの7割まで普通にビールを注いだ後、残りの3割を神泡で満たすのが美味しく飲むコツだとか

  • 飲食店で飲む生ビールのような、粒の細かいトロトロの泡をつくることができた

最後に、水谷氏は「このような環境下で、まだ自由にお酒を楽しめる状況ではありませんが、私たちは『飲食とお酒は文化』だと信じていますし、最高に美味いビールを提供することがサントリービールの使命だと確信しております。引き続き、温かいご支援をよろしくお願いします」と話してプレゼンを締めくくった。

家飲み需要の高まりが後押しに

質疑応答では、20~30代の若者世代の取り込みに成功した要因について改めて質問が挙げられ、水谷氏はこう回答した。

「そもそも若年層のザ・プレミアム・モルツに対するイメージですが、味の印象は、過去の時点でも悪くはなかったのだと思います。ただ『敷居が高い』と思われてきた。値段以上に『まだ自分たちが手を出してはいけない商品なんだ』と思われていたようです。でも実際に、飲食店で飲んだ経験はあり、外食で注文して『美味しかった』という印象は持っていた。そんななか、新型コロナウイルスの感染拡大により外では飲まなくなりました。さらに言ってしまえば、外出してお金を使うこともなくなった。だったら日常生活を楽しくするために、ザ・プレミアム・モルツでも買ってみようか、という気持ちになりやすい状況なんだと考えています」。