「あっけらかん」という言葉は、「あっけらかんとしている人」などと使い、あまりいい意味としては使われませんが、シーンによっては前向きに捉えることもできます。
本記事では、「あっけらかん」がもつ2つの意味や使い方について解説します。また、類語や英語表現についても紹介するので、正しく理解をして使いこなせるようになりましょう。
「あっけらかん」の意味
「あっけらかん」には以下の2つの意味があります。
1.何もなかったように平然としていること
自分に関わる物事が発生しても気にせず、けろっとした態度でいる様子などを表したいときに使います。
2.驚いたり呆れたりしてぼんやりしていること
自分の周りで起きた意外な出来事や、不可解な事象に驚いたり呆れたりしている様子を表すときなどに使えます。
「あっけらかん」の語源
「あっけらかん」の「あけ」は、「口をぽかんと開けている様子」を表しています。中世期には「開く(あく)」の連用形を撥音化した副詞「あんけ」という言葉がありました。
やがて、「あんけ」に接尾語の「ら」が付いて「あんけら」となり、「あんけら」に接尾語の「かん」が付いて「あんけらかん」になったとされています。
近世以降は「あんけらかん」を撥音化しない「あけらかん」が使われるようになり、次第に促音化されて「あっけらかん」になりました。
「あっけらかん」の使い方と例文
「あっけらかん」には2つの意味があります。それぞれの使い方の違いも覚えておきましょう。
「何もなかったように平然としていること」の意味で使う場合
「あっけらかん」は基本的に褒め言葉にはなりませんが、「何があっても平然としている=強い心・ポジティブな性格である」という意味合いにも捉えられるため、シーンによってはいい意味でも使えます。
ただし、相手によっては「何も考えずにボーっとしている」「何があっても無表情」などの悪い意味として解釈される恐れもあるので、使う際には注意が必要です。
・彼は悪口をいわれてもあっけらかんとしている
上記の例文は「悪口をいわれても平然している前向きな性格」と「悪口を気にしないほど鈍感」の2つの意味に捉えることができます。前後の文脈やシーンに応じて誤解されないように使い分けましょう。
「驚いたり呆れたりしてぼんやりしていること」の意味で使う場合
意外な出来事や成り行きに「ぽかんと口を開けたまま呆れている」というような場面で使います。たとえば、些細なことで激怒している人のことを呆れてぼんやりみている様子は「あっけらかん」です。
・彼女は、そのいい争いをみてあっけらかんとしていた
上記の例文からは、意外なことの成り行きに呆れている様子がうかがえます。
「あっけらかん」の類語
「あっけらかん」は他の表現でどう言い換えられるでしょうか。「あっけらかん」の類語を紹介します。
淡々と(たんたんと)
「淡々と」は「冷静に物事を進める様子」という意味の言葉です。
・親の告別式で彼は淡々と思い出を語った
意に介さない
「意に介さない」には「嫌な出来事や批判などを気にしない」などの意味があります。
・彼は上司に叱責されたが、意に介さない様子で仕事を続けた
いけしゃあしゃあ
「いけしゃあしゃあ」は「にくらしいほど平気でいる様子」を表す言葉です。恥ずかしげもない言動を罵るときなどに使うため、「あっけらかん」よりも悪いニュアンスを含みます。
・あれだけ他人に迷惑をかけたのに、いけしゃあしゃあとしている
「あっけらかん」の英語表現
「あっけらかん」を英語で表現したいときには「not seem to care(気にしていない様子)」や「innocently(何の気なしに)」が使えます。
・ She doesn't seem to care about her own mistakes. (彼女は自分のミスにもあっけらかんとしていた)
・He answered this question innocently. (彼はこちらの質問にあっけらかんと答えた)
「驚いたり呆れたりしてぼんやりしていること」の意味で使う場合は「呆然と」を意味する「be stunned」が適しているでしょう。
・I was stunned at his unconventional behavior. (彼の非常識な行動をあっけらかんと眺めていた)
「あっけらかん」の2つの意味を理解して正しく使おう!
「あっけらかん」には「何もなかったように平然としていること」と「驚いたり呆れたりしてぼんやりとしていること」の2つの意味があります。
「何もなかったように平然としていること」の意味で使う場合は、相手に悪口と捉えられる可能性もあるので注意しましょう。
「あっけらかん」をより深く理解し使いこなせるようになるために、類語や英語表現もあわせて覚えておくことはおすすめです。