――『仮面ライダーセイバー』や『機界戦隊ゼンカイジャー』だけでなく、かつての仮面ライダー、スーパー戦隊からゲストとして歴代ヒーローたちがぞくぞく登場されたのも興奮を誘います。

「八犬伝の世界」では、刀の似合う2人(鈴木勝吾/シンケングリーン、水石亜飛夢/キラメイブルー)に来てもらいましたし、仮面ライダーゼロワン/飛電或人の高橋文哉くんにも登場してもらいました。また「西遊記の世界」では仮面ライダージオウ/常磐ソウゴの奥野壮くんが魔王の役割で出てきます。

彼らはすでに仮面ライダーやスーパー戦隊から飛び出し、俳優としていろんな現場に出て活躍し、今後もどんどん羽ばたいていく人たちですから、もしかしたら「変身」はこれで最後かな?と思いながら撮っていました。でもまたいつか、ヒーローの世界に戻ってきてくれる時が来るかもしれませんね。

――歴代仮面ライダー、歴代スーパー戦隊レッドと怪人軍団のアクションシーンでは、各ヒーローたちが背負う「作品」そのものの存在が強調されているのが、強く印象に残りました。

今回の映画では、アクション監督を宮崎剛さんが務められていますが、『仮面ライダーセイバー』の渡辺淳くんや『機界戦隊ゼンカイジャー』の福沢博文さんも現場に入っていて、3人アクション監督として演出にあたってくださいました。3人がいらっしゃったので、現場はとても心強かったです。今まで、アクション監督が3人集まるなんていう豪華な試みはなかったと思います。ヒーローの決めポーズや必殺技など、各アクション監督のこだわりを入れ込みつつ、それぞれのヒーローたちの個性が出せるよう、工夫を凝らしています。

――音楽についてはいかがでしょうか。

音楽も3人体制なんです。『機界戦隊ゼンカイジャー』の渡辺宙明先生、大石憲一郎さん、『仮面ライダーセイバー』の山下康介さんが、豪華絢爛な音楽の世界を作り上げ、2作品の世界を楽しんでいただくことができます。宙明先生には今回、石ノ森章太郎先生のテーマ音楽を書いてもらいました。

かつて『秘密戦隊ゴレンジャー』と『ジャッカー電撃隊』(1977年)、そして『人造人間キカイダー』(1972年)『イナズマン』(1973年)『アクマイザー3』(1975年)『透明ドリちゃん』(1978年)などでコンビを組んできた宙明先生が、石ノ森先生の曲を作られるというのは、凄いことだと思いました。50年もの時の流れを超えて、現代の生き証人として宙明先生がいらっしゃってくれたのは、本当にありがたいです。

――仮面ライダー/本郷猛として、藤岡弘、さんが出演されるのも、仮面ライダー50周年のアニアニバーサリーならではのことですね。

藤岡さんは衣装合わせの日に来られたときから、すでにものすごいオーラを放たれていましたね。劇中で藤岡さん演じる本郷猛が「サイクロン号」にまたがるシーンがあるのですが、そこではあまりのカッコよさに現場でどよめきが起きました。ぜひ、藤岡さんの勇姿をみなさんの目に焼き付けていただきたいです。

――田崎監督が思う「ヒーロー大集合映画」の醍醐味とは、どんなところですか。

誰の心にもある「子どものころに好きだったあのヒーロー」に会える、という感情を呼び起こすことでしょうかね。みなさんが懐かしいヒーローと再会していただくためには、映画の中のヒーローたちが「俺はここにいるぞ!」と存在をしっかり示さないといけません。大集合しているため、全体に埋もれて誰が誰だかわからなくなるのは困りますから、映画ではすべてのヒーローたちが可能な限り目立つことを強く意識しました。

――『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』はセイバーやゼンカイジャーが大好きな子どもたちから、かつてのヒーローに思いを馳せる親世代まで、幅広い人たちの心を打つ作品だと思います。最後に田崎監督から本作の見どころをお願いします。

仮面ライダー50年、スーパー戦隊45作品とひと言にいいますが、放送されたエピソードの数だけ、苦心して作品を作ってきたクリエイターたちの仕事が存在しています。今回は、この2つのシリーズを今まで作り続けた人間たちの仕事の集積、それを祝いたいと思って作った映画なんです。僕は映画の「作り手」のひとりではありますが、これだけ歴代ヒーローが集結すると、時おりファンに戻ったりもして、楽しみながら取り組んでいました。ぜひ劇場にお越しになって、歴代ヒーローを観ながらしばし子どものころに記憶を戻したり、また現在の大人の視点で観ていただいたり、多様な楽しみ方をしてくださればうれしいです。