マイナンバーカードは、身分証明書として使える大切なカードです。ただ、外出先に持ち歩く機会も多いため、紛失する可能性はゼロとは言えません。

本記事では、マイナンバーカードを紛失したときにやるべきことをご紹介します。また、悪用に備えて個人番号の変更についても解説。紛失手続きと住所変更の違いについても説明するので、ぜひ参考にしてください。

  • マイナンバーカードの紛失に気づいたらやるべきこと

    マイナンバーカードを紛失したときの手続きと住所変更の手続きの両方をご紹介する記事です

マイナンバーカードを紛失したときの対処法

ここでは、マイナンバーカードを紛失したことに気づいたらすぐに行うことをご紹介します。次の4つの手順を踏みましょう。

(1)コールセンターヘ一時停止の連絡

最初にやることは、マイナンバーカード総合フリーダイヤルへの連絡です。マイナンバーカードには電子証明書としての機能が搭載しています。万が一に備えて、マイナンバーカードの機能を一時停止しておきましょう。

連絡先は「マイナンバーカード総合フリーダイヤル」「個人番号カードコールセンター」「聴覚障がい者専用お問い合わせFAX番号」の3つがあります。いずれも、マイナンバーカードの紛失や盗難による一時利用停止については、24時間365日で受け付けています。

それぞれの連絡先は「マイナンバーカード総合サイト」で調べることができます。

(2)警察署に遺失届を提出

2番目にやることは、最寄りの警察署に遺失届を提出することです。遺失届を出さないと、マイナンバーカードの再交付手続きのときに必要になる「遺失届受理番号」がもらえないので必ず警察署へ寄りましょう。

火災などにより焼失した場合は、消防署などが発行する罹災証明書が必要です。

(3)市区町村の窓口で紛失・廃止届を提出

3番目にやることは、市区町村窓口での紛失・廃止届の提出です。マイナンバーカードを発行した市区町村の窓口(住民票が登録されている市区町村)に本人確認書類を用意して訪れましょう。

再交付までに個人番号(マイナンバー)が知りたい人は、マイナンバー入り住民票の写しの交付請求を合わせて行ってください。

【本人確認書類になるもの】

本人確認書類は下記のうち1点のみ提示が必要です。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • 住民基本台帳カード(顔写真付き)
  • 身体障害者手帳
  • 在留カード
  • 運転経歴証明書 など

市区町村窓口によって本人確認書類の種類は異なるので、くわしくは住民票が登録されている市区町村窓口で確認してください。

【本人確認書類の代わりになるもの】

上記の本人確認書類が用意できないときは次の書類が代用できます。

  • 健康保険被保険者証
  • 介護保険被保険者証
  • 年金手帳
  • 生活保護受給者証
  • 社員証
  • 学生証 など

必要な書類の数は、本人確認書類1点・本人確認書類の代わりになるもの1点、または本人確認書類の代わりになるもの2点など市区町村窓口により異なります。

(4)市区町村の窓口で再発行手続き

4番目にやることは、市区町村窓口でマイナンバーカードの再発行手続きです。マイナンバーを再度発行する場合は、次の書類が必要です。

  • 再交付申請書(窓口で記入可)
  • 本人確認書類
  • 遺失届受理番号または罹災証明書
  • 顔写真(縦4.5×横3.5cm)
  • 印鑑(認印)
  • 再発行手数料1,000円 ※電子証明書の交付を希望しない場合は800円

【本人が窓口に訪問するケース】

本人が直接窓口に訪れる場合は、上記の「市区町村の窓口で紛失・廃止届を提出」で紹介した本人確認書類を用意してください。

【代理人が窓口に訪問するケース】

本人が市区町村窓口に訪問できない場合は、代理人による手続きも可能です。

■代理人の本人確認書類

  • 運転免許証
  • パスポート
  • 住民基本台帳カード(顔写真付き)
  • 身体障害者手帳
  • 在留カード
  • 運転経歴証明書 など

市区町村窓口によって代理人の本人確認書類の種類は異なります。くわしくは市区町村窓口で確認してください。

■代理人の本人確認書類の代わりになるもの

上記の本人確認書類が用意できないときは下記の書類が代用できます。

  • 健康保険被保険者証
  • 介護保険被保険者証
  • 年金手帳
  • 生活保護受給者証
  • 社員証
  • 学生証など

代理人の本人確認書類も必要な数が異なるので、市区町村窓口で必ず確認してください。

■代理人の代理権を証明する書類

代理人が手続きするときは、代理権を証明する書類も必要です。

【法定代理人の場合】

  • 戸籍謄本
  • 登記事項証明書など資格が確認できるもの

【法定代理人以外の場合】

  • 委任状

一時停止後にカードが見つかったら?

紛失したマイナンバーカードが見つかった場合、紛失・廃止届を提出する前(マイナンバーカードの廃止前)ならば一時停止解除によって手元にあるマイナンバーカードが引き続き使えます。一時停止解除は市区町村窓口で手続きが可能です。

すでに市区町村の窓口で紛失・廃止届を提出してマイナンバーカードを廃止してしまったら、廃止後に見つかっても一時停止解除はできません。新しいマイナンバーカードを作る必要があるので注意しましょう。

また一時停止中は、電子証明書としての機能も止まっています。確定申告などを行う際には一時停止解除が必須となるので忘れずに解除手続きを行ってください。

  • マイナンバーカードの紛失に気づいたらやるべきこと

    マイナンバーカードの紛失に気づいたら、コールセンター・警察署・市区町村窓口で手続きが必要です

マイナンバーカード紛失後の個人番号

マイナンバーカードを紛失して再発行するとなったら、個人番号(マイナンバー)は以前のままか新しいものになるのか、気になるところです。また、紛失に伴うリスクとしてカードの悪用や不正利用もあげられます。

これらの点について詳しく見ていきましょう。

個人番号(マイナンバー)は原則的に変わらない

個人番号(マイナンバー)は原則、一度指定されると生涯変わることはありません。そのため、マイナンバーカードを紛失して再発行したとしても、以前と同じ個人番号(マイナンバー)でカードが交付されます。

悪用・不正の恐れがある場合に限り変更可能

マイナンバーの悪用・不正の恐れがあるときは、市区町村の窓口で個人番号指定請求を行うと個人番号(マイナンバー)の変更が可能です。本人から申し出る必要があり、次の2つの要件を満たす場合に手続きができます。

  • 本人と同一世帯以外の人の漏洩したとき
  • 不正に利用される恐れがあるとき

「マイナンバーカードを不正利用される恐れがない」「個人番号(マイナンバー)の並びが気に入らない」といったケースでは、個人番号指定請求は行えません。

個人番号が知られて悪用される可能性

マイナンバーカードは万が一他人の手に渡ってしまっても、悪用するのが難しい証明証と言われています。その理由をまとめました。

【カード表面の顔写真】

カードの表面に本人の顔写真が入っていることからなりすましは難しいです。対面での悪用は困難と言えるでしょう。

【カード裏面の個人番号(マイナンバー)】

仮にカード裏に記載された個人番号(マイナンバー)の情報が漏洩・流出してしまっても、マイナンバー利用時には顔写真がついた身分証明書による本人確認を求められるため、やはり悪用は困難です。

【カード裏面のICチップ】

  • オンライン上では個人番号(マイナンバー)は使わない
  • 税金や年金などプライバシー性の高い情報は入っていない

マイナンバーカードをアプリ内で利用するときは、アプリ毎にパスワードが要求されて一定回数間違えると機能がロックされます。また、不正に情報を読み出そうとするとICチップが自動で壊れる仕組みです。

上記のシステムによりマイナンバーの不正利用は困難とされています。それでも悪用が心配な人は、個人番号指定請求(個人番号の変更)を検討するといいでしょう。

  • マイナンバーカードを紛失すると個人番号は変わるか

    基本的に一度指定された個人番号(マイナンバー)は変更されません

マイナンバーカードの氏名・住所の変更方法

マイナンバーカードは身分証明書としても使えるため、氏名や住所などの記載事項に変更があった場合は変更手続きをとる必要があります。氏名・住所を変更する際は、紛失とは異なる手続きを行います。

市区町村の窓口で氏名・住所変更手続き

引っ越し後に転入届の提出や住民票の移動を行うとき、マイナンバーカードの住所変更手続きも合わせて行いましょう。変更手続きを取ると、カード表面の追記欄に変更内容が記載されます。基本的に住所の変更があった日から14日以内の手続きが必要です。

■氏名・住所変更手続きに必要なもの

  • マイナンバーカード
  • 本人確認書類
  • 代理人の本人確認書類等(代理人が手続きする場合のみ)

本人確認書類や代理人の本人確認書類等の詳細は、市区町村の窓口に確認してください。

変更手続きをしないと失効する恐れも

違う市区町村に引っ越す場合は、変更期間に気をつけないとマイナンバーカードが失効してしまいます。市区町村が変わるときはマイナンバーカードの継続利用手続きが必要となります。下記のようなケースでは失効となってしまいます。

  • 転入届を提出してから90日が経過している
  • 前住所の転出届で届け出た引っ越し予定日から転入届を行わず30日が経過している
  • 転入届を提出した日が実際に引っ越した日から14日経過している

記載事項に変更があると署名用電子証明は失効

マイナンバーカードには「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」の2つの電子証明書が搭載されています。署名用電子証明は氏名・住所など記載事項を変更した時点で自動的に機能が失効するので、市区町村窓口で再発行手続きが必要です。利用者証明用電子証明書は失効しません。

【署名用電子証明書】
氏名・住所・生年月日・性別の4つの情報が記載されています。e-Taxで確定申告する際、電子文書を送信するときに使用する証明書です。

【利用者証明用電子証明書】
マイナポータルやコンビニ交付を利用するときに使用します。本人であることを証明するための証明書です。

確定申告をマイナンバーカード経由のe-Taxで行っている人は、署名用電子証明書としての機能が必須です。市区町村窓口にて氏名・住所変更とともに署名用電子証明書の再発行手続きも行ってください。

再発行手続きには暗証番号(英数字6文字以上16文字以下)が必要です。あらかじめ暗証番号を思い出しておきましょう。

  • マイナンバーカードの氏名・住所変更したいとき

    引っ越したらマイナンバーカード記載の住所も変更が必要です。市区町村窓口で手続を行い、カード券面の追記事項に新住所を記載してもらいましょう

マイナンバーカードを紛失したらすぐに一時停止手続きを!

マイナンバーカードの紛失に気づいたら、まずはコールセンターに連絡して一時停止手続きを行うようにしましょう。その後、警察署で遺失届の提出や市区町村の窓口で紛失・廃止届を提出します。

紛失や盗難による悪用の恐れがあるケースに限って、市区町村の窓口で個人番号の変更請求ができます。本人が自ら申し出る必要があるので注意しましょう。

氏名や住所を変更する際は、紛失とは違う手続きをすることになります。マイナンバーカードの記載事項に変更があるとe-Taxで必要な署名用電子証明書としての機能は失効するため、氏名・住所変更とともに署名用電子証明書の再発行手続きも行ってください。