フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で昨年5月31日に放送された『家族のカタチ ~ふたりのお母さんがいる家~』の演出を担当した榎本雪子ディレクター(オルタスジャパン)が、第37回ATP賞で最優秀新人賞を獲得した。

  • 『ザ・ノンフィクション「家族のカタチ ~ふたりのお母さんがいる家~」』より=フジテレビ提供

ATP賞は、製作会社のプロデューサーやディレクターが自ら審査委員となって優れた作品を選ぶもの。『家族のカタチ ~ふたりのお母さんがいる家~』は、佐賀県の山あいにたつ一軒家に暮らす家族を追ったドキュメンタリー。9人の大家族・西山家は、子どもたちが6人と父親が1人、そしてなぜか一家には“お母さん”が2人いる。

さまざまな経緯があって、父親と母2人の3人は“事実婚”という形で一緒に暮らして行くことを決めたというが、そんな生活を続けて7年、生まれてきた子どもたちは父の戸籍に入れるという形で「お父さん1人と2人の“お母さん”と子ども6人」という不思議な生活が続いていた。そんな、普通とは違う形だか、「家族」として長年生活を続けてきた一家をカメラで追いながら、西山家が探し続ける「家族のカタチ」を見つめた作品だ。

榎本氏は「私にはとりわけ優れた才能があるわけではありません。番組を見ていただいた方はお分かりだと思いますがこの番組は、斬新な演出も特殊な編集もしていません。ただ淡々と半年間、ひとつの家族と時間を共にしただけです。それでも、この番組で最優秀新人賞を受賞できたのは、お父さん1人、お母さん2人、子供6人の西山家が社会の逆風にさらされながら、数えきれない夫婦げんかを乗り越えながら、ひとつの家族としていつづけてくれたことに尽きると思っています。これからも、小さくて見逃しがちなことにカメラを向けて、見る人の価値観をゆさぶるようなドキュメンタリーを作り続けたいです」と意気込みを語った。

『ザ・ノンフィクション』は昨年の第36回ATP賞でも、“熱血和尚”シリーズ(19年6月2日放送『おじさん、ありがとう ~ショウとタクマと熱血和尚~』、20年2月2日放送『モモコと熱血和尚 ~おじさん、ありがとう~』)を再編集した特別編、『BSフジサンデースペシャル ザ・ノンフィクション特別編 おじさん、ありがとう~子供たちへ…熱血和尚の遺言』がグランプリを獲得しており、これに続いての受賞となった。

なお、第37回ATP賞のグランプリは『プロフェッショナル 仕事の流儀 庵野秀明スペシャル』(製作会社:スローハンド、NHKエンタープライズ)が受賞した。

  • 榎本雪子ディレクター