人気アイドルグループ・Snow Manのメンバーとして、またファッションモデルや俳優としても活躍しているラウールが映画単独初主演を務めた映画『ハニーレモンソーダ』が7月9日に公開になる。

同名の少女コミックを実写映画化した本作で、ラウールが演じるのは高校内きっての人気者の男子・三浦界。そんな界が、中学時代に「石」と呼ばれていじめられていた石森羽花(吉川愛)と出会い、距離を縮めていく青春ラブストーリーだが、単なるキラキラ映画ではなく、人間ドラマとしての葛藤も描かれている。

「オファーに驚いた」と振り返るラウールにインタビューすると、グループから離れ、映画単独主演に臨んだことで、「自分は全くといっていいほど、成熟していない存在なんだなと改めて気づいた」と今の思いを率直に口にし、「ひとりでも魅せられる力があるような人に」とこれからを見据えた。

■演じた界は、自分とはかけ離れているキャラクター

――オファーを受けたときは?

主演というのもそうだし、そもそもこうした映画に出ること自体が初めてなので、とにかくビックリしました。あと、Snow Manのなかでもこういう作品に出るのは僕じゃないイメージがなんとなくあったので、すごくビックリしましたし、もちろん幸せ者だとも思いました。

――原作は人気少女コミックです。

原作を好きになれたことが、自分として大きかったです。少女漫画って読んだことがなかったので、少し不安もあったんです。でも世界観や雰囲気も本当に好きになれたので、そうした自分自身の気持ちも大切にしながら演じたいと思いました。

――演じた界の印象を教えてください。

自分とはかけ離れているキャラクターだと思いました。異性だけじゃなくて、同性からも尊敬される男の子だと思ったので、そう見せられるようにと思いました。それに界くんはまだ高校生だけれど、大人として見ても尊敬できるので、自分も将来こういうマインドの人になれたらと感じましたね。「好きな人を守りたい」と強く思う気持ちなんかも、今の僕には分からないことだから、将来好きな人ができたときに、界くんのように思える人でありたいです。

――ご自身とはかけ離れているのですか?

保育園のころは人気者だったらしいんですけど(笑)。自分では「ほんとに?」と思っちゃいます。僕は学校ではあまり人と話さないタイプですし、界くんよりは、羽花ちゃんのほうが性格的に自分に近しいと思います。でも、人として成長したいと思っているところは、界くんとも羽花ちゃんとも同じです。

■キュンキュンしたシーン、そして理想のデートは?

――界は普通の高校生でありながら、カリスマ性があります。

現実世界ではあまり見たことのないタイプですよね。リアルな感じと少女漫画ならではの世界観の塩梅というか、バランスが難しかったです。ここは少女漫画のなかに入ったつもりでやってみようと思う瞬間もあれば、ここはリアルなほうがいいかなとか考えていきました。

――キュンキュンシーンがたくさんありましたが、ラウールさん自身がキュンキュンしたのは?

海をふたりで走るシーンは結構キュンキュンしましたし、すごく不思議な気持ちでした。普段そういう機会もないですし、役としてもそうだけど、自分としても貴重な経験だなと思って楽しんでました。

――自分自身の理想のデートは?

お散歩が好きなのでお散歩したいです。この映画内だったら、みなとみらいのシーンとか。お散歩だったらあまり頑張らずにおしゃべりができるかなと思います。

――ラウールさんは羽花ちゃんのどんなところが好きですか?

性格や人間性を見ても、十分魅力的なのに、それに気づいていなくて謙虚なところかな。実際に羽花ちゃんのような子がいたら、「君は十分素敵だよ」と伝えてあげたくなりますね。

――メインキャラクターを演じたなかでは、10代はおひとりでしたが、現場の雰囲気は?

みなさん年上だし、お芝居の先輩なので、いろいろリードしてもらいました。明るいメンバーがそろっていて、僕はあまりそういうタイプではないので、それに引っ張られて楽しくできました。特に坂東(龍汰)くんは、人を楽しませるのがすごく得意なので、とても笑わせてもらってテンションをあげていきました。楽しくやらせていただく環境を、みんなが作ってくれたので感謝しています。

■もっと現場での経験を積んで、成長したい

――改めて“単独主演”というのは大きかったですか?

いつもはメンバーに囲まれて気持ちの拠り所のあるなかでお仕事していますが、いざ外に出てみると、自分は全くといっていいほど、成熟していない存在なんだなと改めて気づきましたし、こうした現場での経験を積んで、成長したいという欲も出てきました。自分の芸能生活において刺激になりましたし、Snow Manとしてのお仕事はもちろん大切だけれど、それをもっと輝かせるためにも、こうしたひとりでの経験も必要なんだと実感しました。ひとりでも魅せられる力があるような人でいないとって。

――これから、ラウールさん自身は、どんな人になっていきたいですか?

最近は、もっと心が大人になれたらなとすごく思っています。自分の気持ちが落ち込んでいるときでも人を大切にできるような人になりたいです。

――周囲に、この人はすごいな、強いなと尊敬できる人はいますか?

滝沢(秀明)くんはすごく強い人だと思います。東京で5番目くらいに忙しいんじゃないかと思うんですけど(笑)、それでも全然ブレない。大変なことがあっても常に冷静で余裕があるので尊敬できますし、そうした大人になりたいと思います。

■Snow Manのメンバーの感想が、不安を和らげてくれた

――完成した『ハニーレモンソーダ』をご覧になった感想は?

すごく嬉しかったし、不思議な気持ちになりました。この瞬間の自分はもう二度と現れないけれど、この瞬間にしかないものを、こうして作品としてずっと観ることができる。作る過程から完成までがすごく不思議な感じがしました。ゼロだったものが人の手によって出来上がっていく。そこにすごく胸が熱くなったので、またこうした経験ができたら嬉しいなと思いました。

――ではまた映画に挑戦したい?

はい。

――Snow Manのメンバーはご覧には?

観てくれました。普段は、お互いを誉めあうなんてことはないのですが、「ここがすごくよかった」とか、みんなすごく言ってくれたので、自分の中での公開までの不安が和らぎました。特に佐久間(大介)くんは少女漫画が好きなので、この映画を観る熱量もすごく高くて、嬉しかったです。

――憧れている俳優さんはいますか?

どなたというのはパッとは思いつかないのですが、こうした現場を体験して、普段から目にしているお芝居も、みなさんさらっと演じられているので、自然に観ていましたが、その「さらっと」って、めちゃくちゃすごいことをしているんだなと改めて感じました。

――初めての映画出演でした。撮影している間に界くんになっていけた感覚ですか?

正直、僕としては正解がどこにあるのか分からないんです。観てくれる人の感想がすべての気がしているので、みなさんに「どうでしたか?」と感想を聞きたいです。

■ラウール
2003年生まれ、東京都出身。2020年1月にSnow ManとしてCDデビューを果たす。Snow Man をメインにキャストに迎えて新生させた『滝沢歌舞伎ZERO』の映画版『滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie』ではグループとして映画初主演を務めた。ほか俳優としてドラマ『簡単なお仕事です。に応募してみた』(19・日本テレビ系)、『決してマネしないでください。』(19・NHK)があり、『ハニーレモンソーダ』で映画単独初主演を飾る。