ビジネスシーンやニュースなどでよく見聞きする「サードパーティ」という言葉。日常生活でなじみの薄いカタカナ語のため、あいまいにしか理解できていない人は多いでしょう。
本記事では、「サードパーティ」の意味や関連用語などを具体例とともに詳しく解説します。また、語源やビジネスシーンにおける使い方、「サードパーティ」のメリット・デメリットなども併せて紹介します。
サードパーティとは? 意味や語源を解説
サードパーティについて、まずはその意味をつかみましょう。
サードパーティの基本的な意味は契約などにおける「第三者」
サードパーティには後述するようにITやゲーム業界においての意味もありますが、基本的な意味としては「第三者団体(企業、機関など)」や「非当事者」という意味という言葉です。二者間の契約や取引などにおいて、当事者のいずれでもない第三者のことをこのように呼びます。
語源は英語のthird party(3rd party)
サードパーティとは、英語「third partyy(3rd party)」から来ている言葉です。
英語の「third party」は日常生活やビジネスシーンなどの他、政治に関する話題でもよく使われる言葉で、二大政党制における第三政党や少数党を指す場合もあります。
日本では主にIT分野やゲーム業界で使われる言葉
「第三者団体」という意味の「third party」ですが、ビジネスシーンにおいてカタカナ語として使われる場合は、「本体のメーカー以外の企業で、ソフトウェアや周辺機器などを製造・販売している企業」の意味で使用されます。
主にIT分野やゲーム業界で登場する言葉ですが、最近は一般的なビジネスシーンでも見聞きする機会が増えてきているので押さえておきましょう。
サードパーティの関連用語
サードパーティには、同時によく使用されるいくつかの関連用語があります。代表的なものを紹介するので覚えておきましょう。サードパーティの意味を理解するのにも役立つでしょう。
ファーストパーティ
「ファーストパーティ」は、サードパーティ製品が対応する対象製品を開発した大本の企業のことであり、ファーストパーティが開発・販売した製品は「純正品」などと呼ばれています。
例えばIT業界では、パソコン本体を提供するのが「ファーストパーティ」、それに対してソフトウェアや外付けハードディスクドライブなどの周辺機器を提供するメーカーなどが「サードパーティ」です。
またゲーム業界ではゲーム機(ハードウェア)本体を開発・販売する企業が「ファーストパーティ」であり、対応する周辺機器やゲームソフトなどを開発している企業が「サードパーティ」となります。
セカンドパーティ
「セカンドパーティ」は、使用される場面や業界によって少し意味合いが違ってくる言葉です。
英語の「second party」が「契約当事者の相手方」という意味であることから、基本的には「製品の利用者(ユーザー)」を指す言葉として広く利用されています。
しかし、ゲーム業界では使われ方が多少異なり、「ファーストパーティ」が販売するソフトウェアの企画や開発を委託された外部企業・子会社のことを「セカンドパーティ」と呼んでいます。
なお、カタカナ語の「セカンドパーティ」は「サードパーティ」と対比する場面で用いられることが多く、単体で「ユーザー」や「委託先の会社」などの意味で使用されることはあまりありません。
したがって、「セカンドパーティ」という言葉を使いたい場合は、基本的に「サードパーティ」や「ファーストパーティ」などと同時に使う必要があることを覚えておきましょう。
サードパーティ製品
「サードパーティ製品」とは、文字通りサードパーティが開発・販売する製品のことであり、「非純正品」などと呼ばれることもあります。
身近な例で表すと、iPhone向けのアクセサリー類でAppleが正規販売していないものなどが「サードパーティ製品」であり、オリジナル製品とは明確に区別されている点が特徴です。
また、ビジネスシーンでよく使われるパソコンのソフトにマイクロソフト社の「Microsoft Office(マイクロソフト オフィス)」がありますが、Microsoft Officeと互換性のある表計算ソフトなどは基本的に「サードパーティ製品」に当たります。
サードパーティデータ
「サードパーティデータ」は、「直接関係のない第三者により集められたデータ」を指す言葉です。
自社や関連会社などでは収集することのできない、外部からの情報のことであり、マーケティングに活用できるデータとして近年注目を集めています。
なお、一般的には民間企業から提供されるデータのことを指しますが、国勢調査などの国・自治体が公表しているデータも「サードパーティデータ」に当たります。
サードパーティのメリットとデメリット
今後のマーケティングや企業戦略などに生かしたり、またユーザーとしてファーストパーティ製品と比較したりするためにも、サードパーティのメリット・デメリットを押さえておきましょう。
サードパーティのメリット
まずメリットとして挙げられるのが、サードパーティが販売するソフトや製品は、多くの場合純正品より価格が安くなるという点です。
機能面では純正品と大きく違わないのに大幅に料金が下がる場合もあるため、ユーザーにはうれしい点だと言えるでしょう。
また、販売元の独占防止につながるため、いい意味で市場に競争が生まれることもメリットとして挙げられます。
互換性があり価格が安いものをサードパーティが開発・販売することで、結果としてファーストパーティ製品の価格高騰を防ぐことにもつながるのです。
サードパーティのデメリット
サードパーティが販売する製品にはさまざまなメリットがありますが、一方でトラブル発生時などの保証が不十分な可能性がある点はデメリットとして指摘されています。
当事者企業ではないため、製品の交換や修理などの対応が遅れたり、そもそも保証サービスが適用されなかったりする可能性がある点は、留意しておかなければなりません。
また、企業側としてサードパーティ製品を企画・販売する場合は、このようなユーザーの不安点を解消できるかどうかが課題になってくると考えられます。
サードパーティの使い方と例文
サードパーティはIT分野やゲーム業界で頻繁に登場していましたが、最近では「メーカーと消費者以外の第三者」という意味で、一般のビジネスシーンでも使われる機会が増えてきています。
職場などでの誤用を避けるためにも、ビジネス用語としての「サードパーティ」の使い方を、例文を用いて確認しておきましょう。
<例文>
- サードパーティ製品ならではの魅力をしっかりとアピールしないと、純正品に勝つことはできないだろう。
- これまで独占的に販売をしていた会社がサードパーティの参入を許したようだ。
- このインクカートリッジはサードパーティ製品だが、なかなか性能がよく気に入っている。
- A社のサードパーティとして開発を進めたことが、昨年の売り上げの飛躍につながった。
- サードパーティ製のアプリやサービスを使う場合は、信頼できるかどうかを慎重に判断しなければならない。
サードパーティの意味や関連用語を理解して正確に使おう
サードパーティは、「第三者団体」や「非当事者」という意味の英語「third party」から来ている言葉です。日本では主にIT分野などで使われており、他社の本体製品に対応するソフトウェアや周辺機器を販売している企業を指しています。
単体では理解しがたい言葉かもしれませんが、「ファーストパーティ」や「セカンドパーティ」などの関連用語も併せて覚えることで、意味やニュアンスを正しく把握できるようになるのでおすすめです。
近年職場などで使われる機会が増えてきている言葉なので、この記事で紹介したポイントをしっかり押さえて、適切に使えるようにしましょう。