女優の松本穂香が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、あす27日に放送される『はぐれ者とはぐれ猫 ~小さな命を救う男の闘い~』。猫の殺処分ゼロを目指すちょっと風変わりな“活動家”の闘いを追った作品だ。

中には衝撃的な映像も登場するが、決して目をそらすことなく、ナレーションを読みながら向き合い続けた松本。今回の物語を通して、命の大切さ、そして長年連れ添う愛犬への愛情を再確認したようだ――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った松本穂香

    『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った松本穂香

■「どんどん好きになっていきました(笑)」

収録を終えた松本は「つらい内容でした」と第一声。番組の中では、ねずみ捕りの粘着シートがベットリ貼り付いて衰弱した子猫や、多頭飼育崩壊の劣悪な環境でやせ細った猫たちなど、ショッキングな映像も登場し、「こういう現実もあるんだろうなというのはどこかで思っていたのですが、いざそれを目の前にするとちょっと息苦しい感じがありました。これが日本だけじゃなくて世界中で、しかも猫だけじゃないんだと思うと、やっぱり考えさせられました」と振り返る。

そんな問題に立ち向かうのが、名古屋市内で150匹の行き場のない猫たちを保護するシェルターを運営する、今回の主人公・阪田泰志さん(36)。革ジャンにジーンズというロックミュージシャンのような姿で、自由奔放な気分屋から、自らを「活動家」と呼ぶ“はぐれ者”だが、お金も時間もすべてを猫の保護活動に注ぎ、多くの人たちが彼の活動を支援している。

  • 猫と戯れる阪田泰志さん (C)フジテレビ

松本が特に印象に残った阪田さんの場面は、多頭飼育崩壊を起こしてしまった女性と1対1で話すシーン。怒りを抑えながら諭すように「こういうことをやる人は、何遍でもやるよ、同じこと」と語りかける様子を見て、「言いたい気持ちがいっぱいあるはずなのにそれを抑えている姿は、見ているこっちも本当にいろんな思いを持ってお仕事をされているんだなと感じました」と胸を打った。

そんな映像を見ながらナレーションを読み進めていくうちに、「阪田さんをどんどん好きになっていきました(笑)。知れば知るほど人間味のある方なんです」と興味津々。

この活動を始める前は、2,000万円の借金をして獣医の友人と保護猫用の病院をつくるも、わずか1年で経営に失敗。借金まみれで自分の行き場を失った7年前、1人で始めた保護活動だが、今も1,000万円の借金を抱えながら猫を保護し続けるという波乱万丈な経験を知って、「いろんな苦労をされているからこそ、温かさがにじみ出るものなのかもしれないですね」と想像を巡らせる。

  • (C)フジテレビ

■愛犬への愛情再確認「もっともっとギュッと抱きしめよう」

ドラマ『おじさまと猫』(テレビ東京、1~3月放送)では猫の声役でその心情を演じた上、実家で幼少期から犬と親しみ、今も愛犬と暮らしているだけに、「改めて大事にしないといけないなと思いました。話はできないけど、声を聞いて寄り添っていかないといけないし、みんながそうあるべきだと感じました」と強調。

保護の相談が後を絶たない背景に、ペットブームやコロナ禍でペットを飼う需要が高まっていることもあるが、「動物は命あるものなので、“流行”と呼ぶものではないと思うんです。一緒に住んでしまえば家族なので、“人間が飼ってあげている”みたいな感覚自体が違うんだろうなと。大切な命なので、改めて責任を持たないといけないなと思いました」と気を引き締めた。

その上で、「少しつらい場面もありますが、できれば目をそらさずに、こういう現実もあるんだと知ってもらえると思います。それで気付けることが何かしらあると思うので、ワンちゃんネコちゃんと一緒に住んでる人も、そうじゃない人も、何かを考えるきっかけになればいいなと思います」と願う松本。

自身の愛犬を思い浮かべ、「毎日ウザがられるくらいギュッと抱きしめているんですけど、もっともっとしようと思いました(笑)」と、その言葉から深い愛情があふれ出ていた。

●松本穂香
1997年生まれ、大阪府出身。17年に連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)で注目を集め、18年には『この世界の片隅に』(TBS)で連ドラ初主演。その後も『JOKER×FACE』(フジ)、『病室で念仏を唱えないでください』(TBS)、『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ)などのドラマ、『おいしい家族』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『みをつくし料理帖』などの映画に出演。現在、ドラマ『華麗なる一族』(WOWOW)、ラジオ番組『新米記者・松本穂香の研修ログ。』(TBSラジオ)に出演中。今後、映画『ミュジコフィリア』『ユメミの半生』『桜のような僕の恋人』、ドラマ『グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』(WOWOW)の公開・放送が控える。