東京2020組織委員会はこのほど、東京2020大会選手村の概要および各施設の詳細、スケジュールなどを発表した。

  • 東京2020大会選手村の居住棟

    東京2020大会選手村の居住棟

選手村は、東京都中央区晴海に設置。三方を海に囲まれているため、東京湾の景色を眺めることができるという。敷地面積は44haで、選手団が生活するエリア「居住ゾーン」、選手村運営に必要となる主な機能を集約した「運営ゾーン」、大会期間中の選手の生活を支える「ビレッジプラザ」からなる。

「居住ゾーン」には、居住棟やメインダイニングホール、複合施設、NOC/NPCサービスセンター、晴海ふ頭公園などを備える。

居住棟には、約3,800戸(シングル9㎡以上、ツイン12㎡以上)の部屋があり、ベッド数はオリンピック時は1万8,000ベッド、パラリンピック時は8,000ベッド。ベッドフレームは段ボール製で、100%リサイクル可能だという。すべてのベッドルームには窓があるため、二方向換気ができる。

  • シングルルーム

    シングルルーム

メインダイニングホールは、試合に向け選手がコンディショニングを行うための飲食提供施設。24時間営業で、1日最大4万5,000食を提供する。メニューは、開催国(日本)料理、ワールド、アジア、ハラール、ベジタリアン、グルテンフリー、ピザ・パスタなど約700種類。世界のさまざまな食習慣や文化、宗教などに対応するため、幅広い選択肢の食事を用意する。

  • 選手村内複合施設

    メインダイニングホールでは約700種類のメニューを提供

同ホールでは、感染症対策として、手指用の消毒液を入場口、提供ラインに設置するほか、席数の削減、飛沫防止板の設置、高頻度接触箇所への消毒を強化する。

選手が必要とする機能やリラックスするための場が集積した複合施設(3階建て)では、医療、アンチドーピングプログラム、カジュアルダイニング、レクリエーション、フィットネスなどのサービスを提供する。

1階のドーピングコントロールステーションは、クリーンな競技運営のために効率的なアンチ・ドーピングプログラムを実施する施設。総合診療所(ポリクリニック)では、選手村内に居住する選手および役員などに必要な医療サービスを提供する。救急科や整形外科、内科、歯科などのほか、オリンピック初となる女性アスリート科も設置。女性アスリートに対する総合的な診療を提供する。

  • 選手村内複合施設

    選手村内複合施設

2階のカジュアルダイニングは、開催地である東京都をはじめ、全国の食材を使用した日本料理などを味わえる飲食提供施設。おにぎり、麺類、鉄板焼きなどの日本の特徴的な料理や、串焼き、お好み焼きなどのカジュアルなメニューを取りそろえる。

2階のレクリエーションエリアは、選手がリラックスするためのパブリックスペース。卓球台、マッサージチェア、エアーマッサージャー、自転車シミュレーターなど、さまざまなジャンルのブースを展開する。

  • レクリエーションエリア

    レクリエーションエリア

3階のフィットネスセンターは、大会に備えて選手がコンディションを整える場で、有酸素マシンやウエイトマシンなど約600点のアイテムを設置する。

そのほか、居住ゾーンには、NOC/NPCへの連絡サービスを一体化し、円滑にするための施設であるNOC/NPCサービスセンター、レインボーブリッジと東京湾を一望できる晴海ふ頭公園なども有する。

「ビレッジプラザ」は、ヘアサロンやクリーニング、郵便局、インターネットカフェ、銀行、フォトスタジオなど、選手の生活を支えるさまざまなサービスを提供する施設。建物は全国の自治体から借り受けた木材を約4万本使用している。分棟化により運河からの自然の風を取り込む軒下、縁側空間である通り庭を介して全体を統合している。

選手村から各会場へ、専用バス(ハブ&スポーク方式)で選手を輸送するシステムも整備。乗降バース数は49バースで、視覚障がい者誘導用ブロックや、暑さ対策となるスポットクーラー、日よけテント(木製ベンチ含む)を設置する。選手村内の移動には、村内巡回バスを利用できる。居住ゾーン内に設置した9カ所のバス停間を、環境にやさしい電気自動車が、自動運転により5~20分間隔で24時間巡回運行する。

新型コロナウイルス感染症対策として、選手などに手指消毒剤、アルコール除菌シート、薬用ハンドソープ、リーフレットがセットになった「COVID-19感染症対策キット」を配布。発熱等の症状を有する選手などのための診療・検査施設として、発熱外来も設置する。感染症疑いの患者に対する診療、PCR検査などを実施し、陽性者が発生した際は、感染症対策センターや保健衛生拠点と連携して対応するという。

  • 複合施設内総合診療所

    複合施設内総合診療所

選手村のプレオープンは、オリンピックは7月7日、パラリンピックは8月15日。開村日は、オリンピックは7月13日、パラリンピックは8月17日。閉村日はオリンピックは8月11日、パラリンピックは9月8日。

晴海の選手村のほか、セーリング競技のための分村として、神奈川県中郡大磯町の大磯プリンスホテルに「オリンピックセーリング村」を設置。同様に自転車競技のための分村「オリンピックサイクリング村」を、静岡県伊豆市のラフォーレリゾート修善寺に整備している。