ご賢察(ごけんさつ)は、日常生活で使う機会はほとんどありませんが、ビジネスシーンではよく使われる言葉です。

本記事では「ご賢察」の意味や使い方、類語などについてわかりやすく解説します。

  • 「ご賢察」の意味

    ご賢察(ごけんさつ)の意味を解説します

ご賢察(ごけんさつ)の意味

ご賢察(ごけんさつ)は、推測を意味する「賢察」に尊敬を表す接頭辞「ご」がついた言葉です。「相手が推測することを敬う」という意味合いがあり、主にビジネスシーンで使います。

堅苦しいイメージもありますが、「お察しください」というニュアンスがあると考えれば使いやすくなるでしょう。

ご賢察(ごけんさつ)の正しい使い方と例文

ビジネスシーンでは、相手にこちらの事情を察してほしいときなどに「ご賢察」を使います。ここでは正しい使い方と例文を紹介します。

ご賢察は目上の人に使える?

「ご賢察」は尊敬語にあたるので、目上の人にも使うことができます。

「賢察」だけでも尊敬語として扱われるので、「ご賢察」にすると文法的には二重敬語になりますが、「ご賢察」として長く使われているので、誤用にはならないという解釈が一般的です。そのためビジネスメールでも、最上級の敬語表現として使えます。

「ご賢察」の例文

「ご賢察」を使った例文を紹介します。

事情ご賢察いただき、ご協力いただけますようお願い申し上げます。

事情ご賢察のうえ、お聞き届けくださいますようお願い申し上げます。

先日ご説明いたしました事情をご賢察のほど、よろしくお願い申し上げます。

より丁寧に表現したい場合には「ご賢察いただければ幸いです」を使うといいでしょう。「してもらう」の謙譲語「いただく」に仮定の表現「たら・れば」が付いているので、「お察しいただければ嬉しいです」といった意味になります。

先日の件ご期待に添えかねますが、事情をご賢察いただければ幸いです。

ご連絡が来月になる可能性もありますが、事情をご賢察いただければ幸いです。

察してほしいことを丁重にお願いしたい場合は、「ご賢察のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」を使いましょう。「ほど(程)」には口調をやわらかくする意味合いがあります。「申し上げます」は「言う」の謙譲語「申し上げる」に丁寧語「ます」を付けた言葉です。

皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、弊社の事情を賢察のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

ビジネスメールでは「ご賢察の上、ご理解くださいますようお願い申し上げます」という表現も使われます。「理解」は「物事や意味がわかること」を意味する言葉なので、「事情を察して理解してほしい」という気持ちを丁寧に伝えたいときに用いると効果的です。

〇月〇日~〇月〇日は休業とさせていただきます。皆様にはご不便をおかけしますが、ご賢察の上、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

来月より営業時間を変更させていただくことになりました。ご迷惑をおかけいたしますが、ご賢察のうえご理解くださいますようお願い申し上げます。

「ご賢察」は相手への依頼だけではなく、「お察しのように」といったニュアンスでも使われます。

先日の件に関しまして、ご賢察の通り新しいプロジェクトが立ち上がりました。

  • 「ご賢察」の使い方

    「ご賢察」を使ったさまざまな例文を覚えておきましょう

ご賢察(ごけんさつ)の類語

「ご賢察」の類語を紹介します。

ご高察

ご高察(ごこうさつ)は、「すぐれた推察力」という意味がある「考察」の尊敬語です。

「ご賢察」よりも相手を褒める意味合いが強いため、ビジネスメールなどで相手に依頼するときには「ご賢察」を使った方が自然でしょう。感謝の気持ちを伝えたい場合は「ご高察」を用いても問題ありません。

先日の件に関しご高察いただきまして、誠にありがとうございました。

ご明察

ご明察(ごめいさつ)は「真相や事態を見抜く」という意味がある「明察」の尊敬語です。

相手が推察した結果が当たっていた場合に「その通りです」というニュアンスで使えます。依頼や謝罪のメールでは使わない方が無難です。「ご賢察」や「ご高察」とは違って口語でも使われます。

先日の件ですが、ご明察の通り、新商品の開発がすでに進んでいます。

ご推察

ご推察(ごすいさつ)は、「相手の事情や心情を思いやる」という意味がある「推察」の尊敬語です。「思われている通り」といった意味合いが含まれているので「ご賢察」の類語になります。

ご推察の通り弊社の現状は厳しいため、取引の継続は困難です。

  • 「ご賢察」の類語

    「ご賢察」の類語も覚えて語彙力を高めましょう

ご賢察(ごけんさつ)の英語表現

ご賢察を英語で表現したい場合は、「推測」という意味の「conjecture」や「guess」などが使えます。そのほか、「理解する」という意味の「understand」を使ってもいいでしょう。

海外の取引先などとやりとりする機会がある人はぜひ覚えてみてください。

ご賢察はビジネスメールや文書で使われる

ご賢察(ごけんさつ)は「お察しください」という意味合いの言葉です。主にビジネスシーンで使われる言葉なので、意味と用法をしっかりマスターしておきましょう。

目上の人が「推測」や「配慮」してくれたことに対する敬語表現として正しく使えば、相手に好印象を与えられます。基本的には口語ではなくメールで使われるため、例文も覚えておきたいところです。