「セグメンテーション」は、マーケティングでよく使われる専門用語のひとつです。SNS広告と関連が深い用語で、Webマーケティングに関わる方はもちろん、ビジネスシーンにおいても使用されるため覚えておきたい単語です。

この記事では、「セグメンテーション」の意味や必要になった理由、セグメンテーションによる分類例などを紹介します。

  • 「セグメンテーション」とは

    「セグメンテーション」の意味や必要である理由などを紹介します

セグメンテーションとは

「セグメンテーション」は、英語由来で「区分」や「分割」などを意味する言葉です。

さらに「セグメンテーション」はマーケティング用語として使われることが増えていて、「市場細分化」や「市場を区分けしてそれぞれの区分に応じた市場対策をとること」という意味で用いられます。

英語で書くと「segmentation」

「セグメンテーション」は、英語がカタカナ外来語として日本語となって使われる言葉であり、もともとは英語の名詞「segmentation」です。意味は「分割」や「分裂」であり、日本で使われる「セグメンテーション」と同じ意味があります。

In market segmentation, a market is sometimes classified in multiple groups by geographic.(市場セグメンテーションでは、市場がしばしば地理的変数によって分類される)

SNS広告と関連が深い言葉

SNS広告は特定の年齢層や一定の好みを持つユーザーなど、ターゲットを絞って広告を配信できるのが大きな特徴です。各ユーザーの属性や嗜好に合う広告を表示させるためには、セグメンテーションが大きな意味を持っています。

セグメンテーションでユーザーを分類してグループ化することで、ユーザーの特徴に合うSNS広告の表示が可能です。

セグメンテーションの4R

マーケティングでセグメンテーションを行う場合、下記で紹介するセグメンテーションの基準となる4Rに基づき、有効性を判断することがポイントです。

  • Rank(優先順位)
  • Realistic(有効な規模か)
  • Reach(到達可能性)
  • Response(測定可能性)

思いつくままに市場を細分化するだけでは効果的なセグメンテーションとはいえませんので、4Rという基準があることを押さえておきましょう。

  • 「セグメンテーション」とは

    「セグメンテーション」はマーケティングに関連が深い言葉です

セグメンテーションはSTP分析の手法のひとつ

マーケティングの重要な手法のひとつにSTP分析があります。STP分析とはSegmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)のことです。それぞれの頭文字をとってSTP分析と呼ばれています。

ターゲティング

STP分析のひとつである「ターゲティング」とは、マーケティング分野において顧客層を絞り込むことを指す言葉としてよく用いられます。セグメンテーションで分類された中から、自社製品の特徴や価格帯を基準にし、自社製品をアピールするのに最も適したグループを特定する過程のことが「ターゲティング」です。

ポジショニング

「ポジショニング」とは、「適切な場所に置くこと」「位置を決めること」などを意味する言葉です。

STP分析における「ポジショニング」では、ターゲティングされた顧客に自社の製品を購入してもらうために、市場における競合製品との位置関係をはっきりさせます。業界を縦軸・横軸に分けて分析する「ポジショニングマップ」が使われることも多いです。その上で自社製品が市場で優位となるために必要な性能や品質、プロモーションの方法を検討します。

このように、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングすべてがマーケティングで必要です。

大手企業でも導入事例がある

ユーザーのニーズが多様化している現代では、効率的に顧客にアプローチするために、STP分析などのマーケティングが重要です。大企業はもちろん中小企業やスタートアップ企業など、世界中の多くの企業でSTP分析が導入され、セグメンテーションも行われています。

セグメンテーションが必要になった理由

現代において、セグメンテーションはマーケティング施策を打ち出すために欠かせない手法のひとつです。セグメンテーションが必要となった背景を紹介します。

ニーズが多様化している

少し前の大量生産・大量消費の時代では、対象を絞らずに製品やサービスを開発して、不特定多数に対するプロモーションを行うのが主流でした。しかしニーズが多様化している現代では、不特定多数に向けてアプローチしても消費者の支持を得にくい状況です。

市場での優位性を保つために、セグメンテーションによる区分けが求められます。

IT化が進んだ

IT化が急速に進んだことで、ターゲット層の興味や購買行動について、ブログやSNSなどから簡単に知ることができるようになりました。個人情報で分類したグループごとに最適な広告を配信するなど、Webマーケティングを行う企業が増えたことも、セグメンテーションが必要となった理由のひとつです。

  • セグメンテーションが必要になった理由

    ニーズの多様化やIT化の発展はセグメンテーションが必要になった理由です

セグメンテーションによる分類例

マーケティングではセグメンテーションによって市場をいくつかのセグメント(区分)に分類します。その代表的な分類例を見てみましょう。

ジオグラフィック変数(地理的変数)

ジオグラフィック変数とは、地理に関する違いで分類する場合の変数です。ジオグラフィック変数でよく使われる切り口として、下記のような分類があります。

・世界の地域(ヨーロッパ、アジアなど)、国
・都道府県、市町村
・気候(気温や降雨量、湿度、積雪量など)
・人口密度、人口規模
・発展度
・宗教
・文化、生活習慣

地域や気候などを絞ったマーケティングを行いたい場合に用いられます。

デモグラフィック変数(人口動態変数)

デモグラフィック変数とは、年齢や職業、所得など客観的な属性で区分する場合に用いられる変数で、顧客ニーズと大きく関わります。

・年齢(20代、30代など)
・性別
・職業(業種や職種など)
・所得
・最終学歴
・家族構成
・世帯規模

消費行動に大きく影響する変数であり、マーケティングで最もよく用いられます。

サイコグラフィック変数(心理変数)

サイコグラフィック変数とは、性格や価値観、ライフスタイルなどに基づいてセグメンテーションする際に用いられる変数です。下記のような切り口で分類できます。

・ライフスタイルや価値観
・性格(社交的、神経質など)
・社会階層

グループ化が難しい部分はありますが、ビッグデータの解析などで予測に使えるようになったことから、需要予測などに使われています。

行動変数

行動変数とは、対象者の行動パターンや持つ知識、反応などを基準にセグメンテーションする場合に使われる変数です。下記のような切り口で分類されます。

・使用シーン
・商品知識の有無
・使用頻度

行動変数を利用することで、商品をまだ使ったことがない人と、毎日利用するヘビーユーザーとをセグメンテーションして、プロモーション方法を変えるなどの効果的なアプローチをとれます。

  • セグメンテーションによる分類例

    セグメンテーションではデモグラフィック変数などの変数を基準とし分類します

セグメンテーションはWebマーケティングに関わりの深い用語

「セグメンテーション」はマーケティング用語STP分析における最初の段階を指す言葉で、英語で書くと「segmentation」です。Webマーケティングと関連が深く、SNS広告に関わる機会があるなら、ぜひ覚えておきたい言葉です。

セグメンテーションが必要になった理由は、ニーズが多様化したことや、IT化が進んだことなどがあります。セグメンテーションによる分類例には、地理的変数や行動変数などがありますので、あわせて覚えておきましょう。