リクルートマネジメントソリューションズは6月1日、「ポストオフ経験に関する意識調査」の結果を発表した。調査は3月12日〜14日、役職を外れた経験(ポストオフ経験)のある50〜64歳の会社員766名(男性96.5%、女性3.5%)を対象にインターネットで行われた。

  • ポストオフ前と比較したときの現在の仕事の変化

    ポストオフ前と比較したときの現在の仕事の変化

同調査における「ポストオフ」とは、一律の年齢や期間で組織長などの役職を外れる経験のこと。

はじめに、ポストオフ前と比較したときの現在の仕事の変化について聞いたところ、8割超が「賃金が減った」(82.8%)と回答。また、「周囲からの期待が下がった」(56.1%)、「仕事量・労働時間が減った」(52.9%)、「人事評価が下がった」(51.2%)で半数を超えた。

他方、「自分で判断し、主体的に進める度合い」や「顧客満足や組織業績の向上への影響力」については「変わらない」とする人がそれぞれ50.4%、54.2%と半数を超える結果に。さらに自由記述回答で、ポストオフによって失ったものと得たものを尋ねたところ、「給与」や「期待」、「情報」が失われ、「時間」や「自由」、「余裕」を得たという趣旨の回答が散見された。

  • ポストオフ前後の労働価値観(%)

    ポストオフ前後の労働価値観(%)

続いて、「あなた自身が仕事をしていく上で重要と考えるもの」を3つまで、ポストオフ前と現在についてそれぞれ選んでもらったところ、ポストオフ後は、「自分が楽しめる、面白いと思える」という労働価値観が大幅に高まることが明らかに。ポストオフ前後では、仕事をしていく上で重要と考えるものの優先順位が変化する人が多く、ポストオフ後は、これまではさほど重視してこなかった自分の素直な感情に意識を向け、自分の感情と仕事を調和させていくという新しいキャリア局面が現れることがうかがえた。

他方、ポストオフ後に「やる気が下がったまま」になってしまっている人が4割ほどいることが判明。部長・課長のポストオフ後の仕事に対する意欲・やる気の推移を見ると、意欲・やる気が「変わらない」人が3割弱いる一方で、「下がったまま」が4割前後、「一度下がって上がった」が2割前後と、「一度下がった」人が6割近くいることがわかった。

  • ポストオフ時の好適応群/普通・適応苦労群のポイント差が大きい、ポストオフ前の 準備・行動(%)

    ポストオフ時の好適応群/普通・適応苦労群のポイント差が大きい、ポストオフ前の 準備・行動(%)

次に、「役職についていた期間に、ポストオフに向けて準備していた/意識して行っていたこと」を教えてもらったところ、ポストオフ後の適応が良好な人たちは「新しい知識・スキルや専門性を身に着ける」「権威を振りかざさない」「社内の人脈を広げる」ことを意識していたことが明らかに。

また、現在の仕事への適応感(成果実感・居場所感・やる気・成長感など)を高める要因を、複数要因からの影響を比較検討できる分析方法である重回帰分析を用いて探ったところ、「上司からの尊重と高い期待」「年齢によらない風土や能力開発投資」がポストオフ後の適応感を高めることがわかった。

  • ポストオフ者に対する上司のマネジメント行動と、上司のマネジメントスタイルと適応感およびキャリア停滞感との関係

    ポストオフ者に対する上司のマネジメント行動と、上司のマネジメントスタイルと適応感およびキャリア停滞感との関係

現在の直属の上司の特徴を聞いたところ、ポストオフ者の受けているマネジメントには「尊重と高い期待」「伴走」「放置」の3タイプあることが明らかに。

上司のマネジメントスタイルと、「適応感」およびキャリアの見通しが立たないといった「キャリア停滞感」との関係をみると、「適応感」は、「放任型」と「伴走型」の上司のもとでいずれも高く、「放置型」上司で低い結果に。「キャリア停滞感」は、「伴走型」の上司のもとで低かったことから、マネジメントのポイントは、「尊重と高い期待」を本人に伝えること、「率直なフィードバック」をし、活躍のための試行錯誤に「伴走」すること、「放置」しないことと言える結果となった。