JTは、紙巻たばこの喫煙者が「プルーム・テック・プラス」「プルーム・エス・2.0」を含む4種の加熱式たばこの使用に切り替えた際の、体内に取り込まれる健康懸念物質量(曝露量)の変化を調査。
紙巻たばこから「プルーム・テック・プラス」「プルーム・エス・2.0」を含む4種の加熱式たばこに切り替えることで、多くの健康懸念物質の曝露量が禁煙者と同等レベルにまで低減したことを発表した。
発がん性などを示す15種類の成分を比較
たばこの燃焼による煙が発生しない加熱式たばこ製品は、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性があるとし、かねてよりJTではこれらをリスク低減製品と呼んできた。
JTたばこ事業本部渉外担当役員の小倉健資氏は、「健康上、WHOが低減を推奨する9種類の物質を機械による吸引によって測定したところ、「プルーム・テック・プラス」のたばこベイパーでは紙巻きたばこの煙と比べて平均99%の低減。「プルーム・エス・2.0」のたばこベイパーでは平均90%が低減したという調査結果もあり、以前より製品リーフレット等で紹介してきました」と説明。
JTの健康への影響を評価する段階的なアプローチについて、次のように紹介した。
「たばこベイパー中の成分量調査に続く、今回の調査は人が実際に使用する際に体内へ取り込まれる健康懸念物質の量を測定するものです。たばこベイパーを吸い込む量や使用量などはさまざまなので、自由に製品を使っていただく状態で曝露量を確認することが重要と考えました。加えて、リスク低減製品については喫煙に関連する疾患との関係が報告されている白血球やコレステロールといった生体指標の数値の確認、長期的な使用による影響のモニタリングなども行っていく予定です」
今回の調査では、紙巻たばこの喫煙者が市販加熱式たばこの使用に切り替えた場合の健康懸念物質の曝露量の変化を、紙巻たばこの喫煙を継続した場合や禁煙した場合と比較。
昨今の国内での加熱式たばこの多様化を踏まえ、「プルーム・テック・プラス」「プルーム・エス・2.0」のほか、市場を代表する加熱式たばことして他社製品2種を加えた計4種の市販加熱式たばこを対象としている。
参加者は医療機関で健康状態が良好と判断された紙巻たばこの成人喫煙者で、調査への参加の同意が得られた一般人90名。医療施設に入院し、紙巻たばこを日常的に喫煙している状態での曝露量を0日目として測定後、無作為に15名ずつの6グループに分け、3日目と5日目の変化をそれぞれ調査した。
曝露量は参加者の尿や呼気に含まれる健康懸念物質や代謝物の量によって評価。米国食品医薬品局(FDA)が発がん性などの有害性があり、紙巻たばこの煙に含まれると示す健康懸念物質15種類を測定している。
「紙巻たばこの喫煙により、その曝露量が顕著に増加する成分や科学的に信頼性のある測定方法が確立されている成分を選定しています。また、それぞれのたばこ製品の使用量を調査するとともに、たばこベイパー全体の曝露量を評価するため、たばこ製品の代表成分であるニコチンについて、尿中の成分とその代謝産物の総量を測定しました」(小倉氏)
今後は長期的な使用者の研究も
「紙巻たばこの喫煙を継続しているグループに比べ、加熱式たばこに切り替えたグループでは、多くの健康懸念物質の曝露量が禁煙グループと同レベルまで低減したことがわかりました。本調査では5日間という限られた期間の結果ですが、加熱式たばこを長期間使用した場合、非喫煙者のレベルまで近づくものと考えています」(小倉氏)
加熱式たばこに切り替えたグループのニコチンの曝露量は、3日目と5日目で紙巻たばこの喫煙を続けたグループと同程度か、紙巻たばこの喫煙を続けたグループと禁煙したグループの中間を、それぞれ製品で推移していたことが確認された。
今回の調査に医学専門家として参画した北里大学医学部附属臨床研究センターの熊谷雄治教授は、次のようにコメントした。
「本試験は臨床試験としての十分な品質が担保されたものと考えています。本試験の結果、いずれの加熱式たばこにおいても本試験で測定した成分の多くで、曝露量が禁煙したグループと同様のレベルまで低減していることが明らかになりました。このことから製品を問わず加熱式たばこは、紙巻たばこの喫煙に伴う疾病のリスクを低減する可能性が高いと考えられます。ただし、疾病のリスクが低減されるかどうかを結論づけるには、今後さらに長期的な加熱式たばこ使用者の研究が必要です」
JTはたばこメーカーとしてリスク低減製品の開発や評価の研究に注力。医学界や科学界、公衆衛生当局による加熱式たばこの調査研究と科学的評価に積極的に協力し、取得したエビデンスに基づいた情報提供を行っていくという。