メルシャンは、「シャトー・メルシャン 2021年戦略説明会」を5月18日に実施、日本ワインの動向やシャトー・メルシャンの事業計画について発表が行われた。
日本ワイン全体を盛り上げていきたい
まずメルシャン マーケティング部長 山口明彦氏から、日本ワイン市場の直近の動向について解説が行われた。
「日本のワインの出荷量や国内ワイナリーは増える一方、2020年はコロナ禍で苦境に直面するワイナリーもあります。このニューノーマルな時代、自社だけでなく日本ワイン全体を盛り上げる必要を再確認しています」と課題と目指す方向を述べた。
「メルシャンの事業計画のひとつが『日本を世界の名醸地』としていくことです。日本ワインの価値をさらに向上させ、グローバルな情報発信を行い、広く知っていただく活動に取り組んでいます」と山口氏。海外のマスター・オブ・ワインや世界的ジャーナリストに対する情報共有を行うことで日本ワインへの注目度を高めたり、今年11月に開催する予定の「勝沼ワイナリーフェスティバル2021」では、日本の魅力を世界に発信していくと語った。
「日本を世界の名醸地に」新産地の取り組みも
次いで、シャトー・メルシャン ゼネラル・マネージャー 安蔵光弘氏から、日本ワイン産業の発展に向けた同社の取り組みについて発表が行われた。安蔵氏は、シャトー・メルシャンのビジョン「日本を世界の名醸地に」に基づいた試みを2つ挙げた。
「取り組みのひとつは、欧州系品種の挑戦として『産地"片丘"から世界で勝負できるワイン』、もうひとつは日本固有品種の挑戦として『世界に通用する日本最高峰の"甲州"』です。この取り組みでグローバルブランディングを進め、日本ワインの価値向上につなげていきたい」と安蔵氏。
ひとつめの取り組みのカギとなる産地「片丘」は、長野県塩尻市の片丘ヴィンヤード(ブドウ畑)を指す。元々シャトー・メルシャンは、同市内の盆地にある「桔梗ヶ原ヴィンヤード」で海外でも高く評価される「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー」のブドウを育てている。
桔梗ヶ原ヴィンヤードよりも標高が高く、土壌も異なる片丘ヴィンヤードは2015年に開園、メルローやカベルネフランなどを栽培している。そして今年、片丘の名を冠した初のビンテージ「シャトー・メルシャン 片丘ヴィンヤード」シリーズを発売に至った。
同シリーズの「シャトー・メルシャン 片丘ヴィンヤード メルロー&カベルネ・フラン 樽選抜 2019」、「シャトー・メルシャン 片丘ヴィンヤード メルロー 樽選抜 2019」、「シャトー・メルシャン 片丘ヴィンヤード 2019」の3種ともに、9 月下旬より、同社の各ワイナリー(椀子ワイナリー、勝沼ワイナリー、桔梗ヶ原ワイナリー)と、キリンオンラインショップ「DRINX」にて販売される。また、「同 片丘ヴィンヤード メルロー&カベルネ・フラン 樽選抜2019」については、同社の企画「シャトー・メルシャン プレステージ・パスポート2021-2022」でも発売するという。
「片丘ヴィンヤードの特徴は、フルーティーで果実が強い印象で、桔梗ヶ原とは異なったニュアンスの赤ワインです。今後異なる極みを目指せるブドウ畑として展開していきたい」と安蔵氏は期待を寄せる。
もうひとつの取り組みが「甲州」での新たなチャレンジだ。今回、甲州のアイコンクラスのワインとして、山梨県山梨市の岩出ヴィンヤードから特に優れた区画のブドウを使用した「シャトー・メルシャン 岩出甲州 オルトゥム 2020」を9月下旬より発売する。「Ortum」(オルトゥム)とは、ラテン語で「上昇」の意味。このワインが甲州全体の、ひいては日本ワインのプレゼンスを昇華させることを願い、またシャトー・メルシャンの元工場長の上野昇氏の名前にちなんで命名されているという。
さらに新たな産地の甲州ワインとして、山形県鶴岡で栽培された甲州を用いた「シャトー・メルシャン 鶴岡甲州」も発売する。現在シャトー・メルシャンでは、山梨・長野・福島・秋田の栽培地と契約しているが、40年ぶりにこの4県以外の栽培地と契約するという。山梨とは数百年前に分岐し、独自の変遷を遂げてた鶴岡の甲州の特徴を表現した、ほどよい酸と果実感が調和したワインになったと安蔵氏は評価する。
「シャトー・メルシャン 岩出甲州 オルトゥム 2020」は同社の各ワイナリーと「シャトー・メルシャン プレステージ・パスポート2021-2022」会員限定で「DRINX」にて、「シャトー・メルシャン 鶴岡甲州」は、同社の各ワイナリーと「DRINX」にて販売される。