子どもの頃にみかけて懐かしいけど、どこで見たのか思い出せない……そんな懐かしくも、子どもの頃のエピソードを語りたくなるような「袋」が話題になっています。
投稿したのは、埼玉県に店を構える駄菓子屋いながきさん(@kazoinagaki_s2)。昭和世代の方なら手に取った
わ、私は君たちに出会ったことがある・・・しかしどこで出会ったかを思い出せない!!(@kazoinagaki_s2さん)
駄菓子屋いながきさん同様、懐かしい気持ちや「思い出せない……!」ともどかしい気持ちになった方は多かったようで、5月14日現在で、7.2万いいね、2万リツイートされています。
「左はパン屋? 右は文房具屋 どっちにしろ30年以上昔の記憶なので確かではありませんが(^_^;)」「わぁ♪ 文房具屋さんの袋!ww」「所謂ファンシーショップで買い物した際に入れてくれたショッパーですね。今でもファンシーショップなんてあるのかな?」「(1枚目の画像の袋は)イトーヨーカドーの文具売り場で90年代に使われていたような……」と、見かけた場所を思い出すツイートや、「こんな柄もありました!」とリプライ欄に懐かしい紙袋の写真を寄せる方も。
この紙袋を見て「小さいころ、これ系のイラストにひとつずつ色を塗って遊ぶのが好きでした」「祖父母が文具店をしてて、この袋使ってました! 懐かしいー!! 小学生の時お店屋さんごっこの延長でお手伝いしてました。いい思い出です」「子どもの頃は袋ひとつでウキウキワクワクしたなぁ」と、幼いころの記憶がよみがえったというコメントも投稿されています。
この紙袋は、東京・浅草橋に本社を構える紙製品や包装資材、店舗用品を扱う「シモジマ」のオリジナルブランド・HEIKOの紙袋とのこと。白地にピンクと水色の汽車が描かれたデザインは「トレイン」、かわいらしい動物のキャラクターや雑貨のイラストが並ぶものは「マイホーム」という名称だそうです。
「ここで出会った!」と寄せられたリプライを見ると、文房具店や書店、駄菓子屋、玩具店、パンや和菓子の店、ベビーカステラを売る屋台、そしてアクセサリーやキャラクター商品を扱うファンシーショップ(この響きもまた懐かしいですね)など、幅広い場所が挙げられています。また、地域も問わず全国から反応があった様子。
「もはや国民的ノスタルジック包装紙」と駄菓子屋いながきさんがつぶやくのも納得のこの紙袋、今回投稿された経緯について聞いてみました。
投稿者に聞いてみた
――子どもの頃は身近だったものの、久々に見て懐かしい気持ちになりました。今回この投稿をされたきっかけを教えていただけますか?
埼玉で駄菓子屋を営んでいるのですが、レジ袋有料義務化にあたり、駄菓子屋的には子どもの小遣いから袋代を取るのが申し訳なかったり、なかなか由々しき問題でして……持ち手のない袋は無料のままで良いというルールだったので、そちらを充実させることで対応しようかなと考え、昔っぽいデザインの袋がないかなと検索していて見つけました。後日、通販で取り寄せています。
袋の製造・販売を行う新潟の笠原製袋さんであの画像を見た瞬間に、「これ絶対に知ってる! 子どもの頃にあった! けどどこで使われてたかが思い出せない!」となったんです。
「他の人にも、懐かしさともどかしさが入り交じるこの変な感覚が伝わらないかな、あわよくばどこで使われたとか知っている人が出てこないかな」と思ってツイートした次第でした。まさかこんなことになるとは全く思っていませんでした笑
――見かけた場所や思い出のエピソードなど、多くのリプライや引用リツイートが寄せられています。
「この袋って全国共通でみんなが知っているものだったのか!」と驚きました。そして自分もそうでしたが「画像を見ただけでみんなが情景を思い出したり濃厚なエピソードを語り出してしまう、包装紙って買ったものを入れるただの袋のはずなのに一体何なんだ?」という驚きもありました。
幼い頃は、自分のお金で買い物をすること自体が特別だったんだと思います。なので、あの袋には袋以上の特別な価値が宿っていたんだなと、自分自身の思い出や皆さんのエピソードを読んでいて感じました。
――全国の駄菓子屋を訪ね、駄菓子屋文化の保存活動をされていて、さらにご自身でも店を営まれている駄菓子屋いながきさんですが、今回の紙袋のような「レトロなものの魅力」とは、どのような所にあると思われますか?
レトロなものは、最新のものとはかけ離れすぎているので時流の影響を受けません。なので良さが目減りしないですし、飽きが来ないところではないでしょうか。
その人が一度「良い」と感じてしまえば、その人の中ではもう一生「良いもの」になりますよね。最新のものとレトロなものを比較して、「Nintendo Switchがあるんだから、ファミコンってもう流行らないよね」「スマホがあるんだから黒電話って流行らないよね」といったことは起こりません(笑)。
昔ながらの駄菓子屋ももちろん、駄菓子を売る小売店がどんなに最新鋭になっていこうと、あの独特の面白さが目減りすることはありません。逆に希少さが増して輝く一方だと思っています。そう考えると、レトロなものの魅力は、時代が一周以上回ってから見つめ直したときに放たれる輝きなのかもしれません。
久々に見ると、懐かしい記憶も思い出すような「レトロな紙袋」。近所の駄菓子屋や文具屋に寄ったら、出会えるかもしれません。
わ、私は君たちに出会ったことがある・・・しかしどこで出会ったかを思い出せない!! pic.twitter.com/wHfEe4aixa
— 駄菓子屋いながき@駄菓子屋文化の保存活動中 (@kazoinagaki_s2) May 11, 2021