終身雇用制度が崩れ、働き方や価値観が多様化してきているなか、将来のお金に不安を感じていない日本人はもはや少数派かもしれない。多かれ少なかれ誰もがコロナ禍に翻弄されてきたこの1年は特にそうだろう。

しかし、4月1日に『"投資""副業"お金の基本がゼロからわかる 稼ぎ方革命』(KADOKAWA)を上梓した元国会議員で、テレビタレント・投資家の杉村太蔵氏は「お金の不安は必ず解消できる」と断言する。

今回はそんな杉村氏にこれからの時代の稼ぎ方を語ってもらった。

  • 杉村太蔵氏が伝授、"稼ぐ力"を圧倒的につけるには?

まずは"自分のお金の現状"を知ろう

「僕自身、お金の不安は非常によくわかります。失業率と自殺者数には強い相関関係があるわけですが、生きていてお金がないことは本当につらいし、苦しい。今回の本には私なりに勉強や経験を通して得てきた、お金の不安を払拭するノウハウを凝縮しました」

大学中退後、派遣社員のビル清掃員からキャリアをスタートし、外資系証券会社の契約社員、国会議員、落選後の無職時代と浮き沈みの激しい経歴を持つ杉村氏。そんな過去の経験があるからこそ、"収入に対して支出が身の丈にあっているか"をまず確認することが、大切だと語る。

「不安は知らないことから生じるので、まずは自分のお金の現状を知ることがスタートです。いくら必要で、いくら足りないのか理解して、身の丈にあった生活をする。僕は海外に行くのにファーストクラスに乗るのがマストではないけど、ファーストクラスに乗り続けたい人はそのお金を稼ぎ続ける必要がある。どこかで身の丈に合わせる諦めは絶対に必要なんです」

確かに自分が望む生活に必要な最低限のお金がわからなければ、お金の不安が解消されることは永遠にない。と同時に"足るを知れ"というだけでは残酷な気もするが……?

「お伝えしたいのは、どんな不幸に遭っても生きていけるセーフティネットが日本にはあること、同時に命綱があるからこそチャレンジもできませんか? ということです。あえて言いますが、たかがお金の問題で命を絶つなんて本当にやり切れない話です。お金が全く稼げなくても最低限生きる権利があることを知り、お金に困ったらどこでどんな相談ができるのかを知って、相談上手になりましょう」

自分の生活のサイズ、日本におけるセーフティーネットを知っていれば、安心してお金稼ぎや自分の夢にチャレンジできる。まずはそこから始めよう、ということなのだ。

大きく稼げる副業は、早くから種まきをした人が勝つ!

現在レギュラー番組7本を持つ杉村氏だが、本の中では「サンデー・ジャポン」(TBS)の最初のギャラが5,000円だったことも明かしている。現在のキャリアを築く上で最も大切にしてきたことはなんだろうか。

「下手なプライドを持たず目の前の仕事に全力を尽くすことと、自分で可能性を狭めず思い切って挑戦することが、20~30代を振り返ると重要だったと思いますね。清掃員だった時は目の前の便器をピカピカに磨くことしか考えていなかったし、証券会社に入った時も最初は雑用ばかりでしたが、全力で取り組んだ。バラエティ番組に出始めた時もあれこれ考えず、プロデューサーやディレクターの指示の通り。とにかく忠実にやってきましたね……本当にプライドは1円にもなりません(笑)」

例えば証券会社時代には、宴席のセッティングを頼まれた際、過去の領収書をもとに、上司の好みや既に訪れた場所などを徹底的にリサーチしてから、お店選びをしたのだとか。バラエティ番組の出演を打診されたときも、"自分には向いていない"と感じながらも、チャレンジした。

こうした姿勢は、組織に勤めるサラリーマンでも見習うべき点が多そうだ。一方で、会社勤めでは得られる収入も限られる。そんなときこそ、杉村氏は"早くから副業の種をまくことが大事"と語る。

「大なり小なり給料を上げるコツもあるかもしれませんが、どんな会社でもラクなことではないし、至難のワザ。給与所得には定年があるのも不安要素です。事業所得を得る副業のメリットは、定年がなく、安定はしていないにしろ大きく稼げる可能性があること。なるべく安定した収入があるうちに少しずつでも副業を始め、早くから種撒きをしてほしいですね」

副業に取り組む際は将来的に価値が失われにくいモノやサービスを考え、なるべくリスクを抑えた形で地道に続けていくこと、好きなことや趣味のスキルを活かすことがポイントだという。

「輸入ワインを卸すビジネスをしている知人もいますが、ワインは保管状態が良ければ腐らないし、売れない間に価値が上がっていく可能性もある。絵画などの古物商も同じですが、そうした在庫リスクが比較的少ない商材やサービスを考え、試行錯誤を重ねていくとおもしろいですよ。たとえすぐにはビジネスに取り掛かれなくても、それぞれ必要な免許などの勉強をしておくだけでも全然違うはずです」