占いやゲン担ぎに興味があるなら「ジンクス」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。「ジンクス」は誤用されたのがきっかけで、現在では別の意味として使われることが多い言葉のひとつです。

「ジンクス」を使うなら、もともとの意味も理解して言いたいもの。この記事では「ジンクス」の本来の意味や使い方、現在での解釈や類語についても紹介します。

  • 「ジンクス」の意味と語源

    「ジンクス」の意味や使用例・類義語などを紹介します

「ジンクス」の意味と語源

「ジンクス」とは、カタカナ外来語のひとつです。本来の意味は「縁起の悪いものやできこと」「縁起を担ぐ対象となるものごと」などを指します。

現在では意味する対象が広がっている

現代の日本において「ジンクス」の意味は、「縁起がいい、または悪いいい伝えや、それらを予兆するようなできごと、ゲン担ぎの対象とするものごと」などで、もともとの「ジンクス」が意味していた範囲よりも広がっています。

ただし、幸運を予兆する意味で使われているのは日本だけのようです。

語源はギリシャ語の「jynx」

「ジンクス」の語源は諸説あり、ひとつにギリシャ語で鳥のアリスイを意味する「jynx」という説があります。神話での表記は「iynx(イユンクス)」です。

アリスイが威嚇や求愛で、首を180度回転させて真後ろを向ける様子が不吉に見えたことが語源となっているという説が有力なようです。

英語表記は「jinx」

「ジンクス」の英語表記は「jinx」です。「周りの人に悪運を運んでくると思われている人」「悪の呪縛」などの意味があり、悪運に関するいい回しでよく使われます。

・break the jinx(ジンクスを破る)
・jinx a good thing(いいことに対して不運を招くようなことを口にする)

  • 「ジンクス」の意味と語源

    「ジンクス」は本来縁起が悪いものやできごとを指す言葉です

「ジンクス」を使った例文

「ジンクス」の具体的な使用例を紹介します。

あの野手は2年目のジンクスを打ち破った。

ルーキーの年に活躍できても、2年目以降はぱっとしないスポーツ選手などの様子を「2年目のジンクス」と表現することがあります。この例文では、ジンクスを打ち破っているので、2年目以降もずっと活躍できる選手だということが読み取れるでしょう。スポーツ関連のニュースに出てくることが多い表現です。

〇〇大学卒業生は社長には慣れないというジンクスを破って、彼は世界有数の富豪になった。

有名大学でも、将来社長になる人がほかの大学に比べると少ないことがあります。実際は起業の道を選ばないだけのことが多かったりしますが、「ジンクス」を使って不吉ないい回しをされがちです。

ホテルでは忌数のジンクスを気にして部屋番号に4や9が使われていないことが多い。

病院や宿泊施設では、できるだけ開運を願って、部屋番号にこだわる風潮があります。日本のジンクスとされる忌数(いみかず)を気にしている施設では、上記のような部屋番号は使われていないことも多いようです。

  • 「ジンクス」の使い方例文

    「ジンクス」の使用例

「ジンクス」の類語

カタカナ外来語である「ジンクス」は、もともとある日本語でも言い換えができます。代表的な「ジンクス」の類語を見ていきましょう。

迷信

「迷信」とは、昔からの信仰のうち、科学的に見て不合理だと考えられることです。とくにいい伝えの中でも科学的合理性がないものを指します。

法則

「法則」とは、 一定の条件のもとで、原因と結果の間に成立する普遍的または必然的な関係のことです。「黒猫が横切ったら不吉」などと使い、複数の現象の因果関係を指す言葉で、「ジンクス」と共通する部分があります。

因縁

「因縁」とは、結果が出るための直接の原因と結果につながる補助的条件のことを指す仏教用語由来の言葉です。縁起がいいもの、悪いもの問わず使われます。

俗信

「俗信」とは、民間で信仰されている禁忌や呪術、おまじないや占い、妖怪や幽霊などのことです。科学的根拠はなくても、悪運を避けて幸運につなげやすくするために長く信仰されています。日本での八百万の神や陰陽道など、古くから信じられていることも俗信に含まれます。

「俗信」には、いい信仰と悪運につながる悪い信仰が含まれており、「ジンクス」と似た言葉といえるでしょう。

  • 「ジンクス」の類義語

    「ジンクス」は熟語に言い換えができる

有名な「ジンクス」の例

日本をはじめ海外でも、長い歴史の中で「ジンクス」と呼ばれるいい伝えは多くあります。その中でもよく知られているジンクスを紹介します。

日本の忌数

前述したとおり、ホテルや旅館では忌数といわれる4や9を避けて部屋番号をつけている施設はよくあります。日本のジンクスである忌数で4は「死」、9は「苦」を連想させることが理由です。

13日の金曜日

「13日の金曜日」が不吉な日だというジンクスを聞いたことがある人は多いでしょう。キリストが処刑された日だという説や、有名な映画シリーズの影響から、不吉だと言われています。いずれも科学的根拠はない、ジンクスのひとつです。

666は悪魔の数字

666が悪魔の数字だというのもジンクスのひとつです。これは、新約聖書の「ヨハネの黙示録」に記されている獣の数字666が悪魔の数字だとされていることから、不吉だと言われています。

黒猫が横切ると不吉

中世のヨーロッパで魔女狩りが盛んに行われていたころ、黒猫は魔女の使いだと信じられており、縁起が悪いことの象徴とされていました。今でもイタリアなど一部地域で、黒猫は不吉だというジンクスが信じられています。

ただし、別の国では黒猫が幸運の象徴となっています。ジンクスはそれぞれの国や地域でも異なるのです。

酉年に政変が起こる

古代中国では干支が辛酉(かのととり)にあたる年には革命が起こるという説が信じられており、日本では平安時代から江戸時代にかけて、たびたび辛酉には改元されていました。近代になってからも、酉年に首相の暗殺(1921年)や第二次世界大戦の終結(1945年)、自民党が初めて野党になった年(1993年)など、政治的に大きな出来事が重なっています。

このような過去の歴史から、「酉年には政変が起こる」というジンクスができたようです。

風邪を人にうつすと治る

「風邪を人にうつすと治る」というのは、冗談でよく使われるジンクスのひとつです。風邪をひいているタイミングで誰かと接して、自分の風邪が治ったころに、相手が風邪を発症したという経験はよくあります。一見、人にうつして治ったように思いますが、風邪は人にうつして治るものではありません。

  • 「ジンクス」といわれている有名なもの

    世界中でさまざまな「ジンクス」が信じられています

「ジンクス」は海外では悪い意味

「ジンクス」の語源は、ギリシャ語の「jynx」で、もともとは縁起が悪いいい伝えを指す言葉として使われていました。しかし近年では、縁起のいいことを指す場合もあり、意味の範囲が広がっています。

ジンクスには、日本由来の4や9の「忌数」や、海外由来の「13日の金曜日」など数多くあります。海外では「ジンクス」という言葉は、いい意味では使われません。「ジンクス」の本来の意味も理解したうえで使用するようにしましょう。