●ロックとマスキングでソロバトルがしたい

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――今回のシングルには、もう一曲「OUTSIDER RODEO」が収録されています。こちらは、『ガルパ』内で2月に配信された楽曲ですね。

夏芽 『ガルパ』のストーリーでロックとマスキングがメインになっていたこともあり、楽曲でもギターとドラムにフィーチャーしていただいています。いきなりギターが鳴り響いて、ドラムは要所・要所でソロのような手数の多い音が散りばめられているんですよ。また、倍テン(テンポが倍になったようなフレーズ)のリズムで叩いているので、スピード感をより感じられるようになっているのも特徴だと思います。ライブで絶対盛り上がるので、早く披露したいですね。個人的には、曲の前にロックとマスキングでソロバトルがしたい。

小原 これまでキーボードやDJバトルはやったけども、ドラムバトルはやってないですもんね。勝てる気が全くしない!

夏芽 (笑)。

小原 でも、ロックとして、勝つために頑張ります! なつぴーも言っていましたが、この曲はとてもライブ映えする曲だと思います。楽器隊の激しさをぜひ現地で聞いてもらいたいですね。……果たして私は弾けるのか、という心配もありますが、ロックちゃんなりのカッコよさを出せるよう、練習していきたいと思います。

――『ガルパ』のストーリーに沿った曲に仕上がっているんですね。そんなストーリーについての感想もお聞きできればと思います。

小原 グルーヴ感をもっと出すためにロックとマスキングが仲を深めるというストーリーでした。メンバーから「もっと時間を共有したらいいんじゃない」と言われたことをきっかけに、文字通り一緒に時間を過ごすふたりからは、なんだか青春を感じましたね。私も高校生のときに組んでいたバンドメンバーとゲームセンターで遊んだり、色々な場所に行ったりしていました。あの何気ない時間がグルーヴ感につながっていたんだなと、ストーリーを見ながら振り返っていました。

――日常のRASがここまで描かれることが、これまであまりなかった気がします。

小原 確かに。RASはストイックにスタジオで練習しているやりとりが多かったので、一緒に遊びに行くシーンが描かれたのは、結構貴重かも。ロックとマスキング以外のメンバーも含めて、RASキャラクターのパーソナルな一面をもっと見たいです。

夏芽 最初にシナリオを読んで思ったのは、「まんま莉子ちゃんと私じゃん!」ということ。一緒にご飯に行ったりゲームをしたりというのは、莉子ちゃんと結構やっているんですよ。そういう私たちの日常を反映してくださったのが素直に嬉しかったです。ただ、日常でのやり取りを描きつつも、ストイックなRASらしさも出ていたのが印象的でした。「お前、頑固だよな」っていうセリフがあったのですが、あのシーンから自分のやりたいことやバンドに対して超真剣であることが分かったんです。

――確かに、元々はふたりの音が合わないというところから一緒に過ごすことになったわけですもんね。

夏芽 そして、最後にはマスキングがバンドを始めたいと思った原点ともいえる大切な場所へロックを連れていく。あの場所で「今度は他のメンバーも一緒に」と言っていたことから、メンバー愛を感じました。

●自身の経験と重なるストーリー

――今回のストーリーでは、自身の演奏に熱中しすぎてグルーヴ感が出せないふたりの葛藤が描かれていました。おふたりもそういった経験はありますか?

夏芽 あります。昔は「ここをもっとこういう風にしたいんだけど」「ここ、違うよね」ってバンドメンバーに直接言うこともありました。逆にバンドメンバーから「ドラムはもっとこういう風にできない?」って言われることも。それぞれが自分の演奏に熱中していたから、そういう言い合いをしたんだと思います。特にドラムを始めた頃は「絶対こうだから!」という気持ちが強かったんですよ。今回のストーリーを見て、当時のことを思い出しました。

――RASを結成してから、そういう経験は?

夏芽 言い合いをするようなことはないですが、自分のなかで「もっとこうできないかな」という葛藤が生まれることはあります。これは自分の演奏に対して、ですね。

――そういうときはどうやって解決している?

夏芽 練習するしかないですね。RASの曲って、今まで自分が演奏してきたフレーズと違うことが結構多いんですよ。だからこそ、すごく成長させてもらいました。2バスも以前より早いテンポで踏めるようになっています。こうやって成長していき、自分がやりたいことを表現できるようになって、それをみんなと合わせることができたなら、最高の音楽に仕上がるんじゃないかな。

小原 学生のときって、正直、音が合っているかどうかも分かっていなかったんです。当時は演奏していることがゴールだったので。もしかしたら、それが「熱中しすぎて周りが見えていなかった」ということなのかもしれないなと、感じています。今は音が合わないと思うことはあまりありません。私は、ドラムがオーケストラでいうところの指揮者であるという考えを持っています。なので、ドラムの人のテンポに合わせることが多いんですよね。RASでいえば、なつぴーが思うリズムやグルーヴを掴んで私がそれに乗る感じ。例えば、ちょっと後ろよりなリズムの取り方をしているなと感じたら、自分もそれに合わせる。それを演奏のなかで感じ取りながらやっています。

――そういうリズムの感じ取り方は同じ曲でも、ライブによって異なる?

小原 練習の時とライブでも違います。自分もそうですが、みんな気持ちが高揚しているので。だからこそ、本番では熱量と同時に、いかに冷静でいられるか、集中して演奏できるのかも重要なんですよね。バランスを保つことを大切にこれからも勝負していきたいと思います。