「疾風迅雷」は自然現象からできた四字熟語です。本記事では、疾風迅雷の意味や由来などについて詳しく解説していきます。また、類語や対義語、英語表現も紹介するので、ビジネスシーンで活用できるようになりましょう。
疾風迅雷の意味
疾風迅雷は「しっぷうじんらい」と読みます。「疾風」は素早く吹き抜ける風を表し、「迅雷」は激しい雷のことです。そのため疾風迅雷は「行動が素早いこと」「勢いが激しいこと」「事態が急変するさま」などを表します。
なお、「疾風」と書いて「はやて」と読むこともありますが、この四字熟語では「しっぷう」と読むため間違わないようにしましょう。
疾風迅雷の由来
疾風迅雷は、中国の前漢時代に記された書物「礼記」にて使われたのが由来とされています。礼記は儒教を説いた教本で、主に礼節についてまとめられたものです。
疾風迅雷の言葉は、礼記・玉藻篇で登場しています。玉藻篇では、礼服や礼儀作法についての教えが記されており、「君子はどのような時にも備えを怠らず、もしも急に疾風や雷鳴、豪雨などがある場合は徹夜で警戒しなさい」といった内容で使われていました。
その後、「疾風迅雷」といった言葉だけが伝わり、現在の使われ方として定着したそうです。
疾風迅雷の使い方
疾風迅雷は、どのような場面で使われる言葉なのでしょうか。正しい使い方を知り、ビジネスシーンで活かせるようになりましょう。
速さを強調するとき
疾風迅雷は、速さを強調するときに使うことができます。例えば、「業務スピードの速さ」や「噂が伝播する時の速さ」などを表現する際です。
急激に事態が変わったとき
素早く激しい様子をもつ疾風迅雷は、その意味が転じて「急激に事態が変わったとき」にも使用されます。
天候が悪いとき
「疾風」は非常に激しくはやく吹く風を指し、「迅雷」は激しく雷が鳴ることを指します。そのため疾風迅雷は、そのままの意味で「天候が悪いとき」にも使われることがあります。
疾風迅雷の例文
さまざまな意味を持つ疾風迅雷ですが、実際にどのように使い方ができるのか、例文とともに紹介します。
疾風迅雷のように
誰かの行動や対応など、速さを強調するときに疾風迅雷を使って表現できます。
<使用例>
- 彼は疾風迅雷のようにデスクワークを片付け、定時で帰社した。
- 疾風迅雷のように業務に取り組み、効率的に仕事をこなす彼を私も見習いたい。
- 予定していたミーティングが予期せぬアクシデントで日程変更を余儀なくされた際、彼の素早い対応により全員参加でミーティングを終えられた。まさに疾風迅雷のように何事も取り組む彼のなせる技である。
疾風迅雷のようである
急激に事態が変わったことを表現する際、「疾風迅雷のようである」と使えます。
<使用例>
- A社とB社の競合品について、長年A社のシェアが優位な状況が続いていたが、先日B社の製品がワイドショーで取り上げられたことにより完全に形勢が逆転してしまった。まさに疾風迅雷のようである。
- 人気アイドルグループの歌唱メンバー総入れ替えが行われ、楽曲の方向性まで変わってしまった。それによりファン層もがらりと変わった。一連の動きは瞬く間に行われ、まるで疾風迅雷のようである。
疾風迅雷の大荒れ
疾風迅雷は、天候が悪いときの表現にも使えます。
<使用例>
- 今年のさくら祭りはいつになく疾風迅雷の大荒れであった。過去15年の中でもこのような悪天候の日はなかったので運営側は驚いている。
- 本日は各地で疾風迅雷の大荒れとなった模様です。明日まで続きますので、突風や急な落雷には注意してください。
- 日本海側で急速に発達した雨雲が、疾風迅雷の大荒れを引き起こした。場所によっては冠水の被害も報告されている。
疾風迅雷の類語・言い換え表現
疾風迅雷の類語や言い換え表現を、意味や例文も含めて解説します。
迅速果敢
「迅速果敢」(じんそくかかん)は、物事の進捗や行動が早いといった意味の「迅速」と、思い切りのよい行動をあらわす「果敢」を組み合わせた四字熟語で、「素早く決断を下すさま」「素早い行動」などを指す言葉です。また、「実行力のある」といった意味にも使われます。
<使用例>
- 彼の迅速果敢な行動には頭が下がる。
- このプロジェクトに必要なのは、迅速果敢な人物である。
迅雷風烈
「迅雷風烈」(じんらいふうれつ)は、「激しい雷に雨」といった意味と、「事態が急に変化するさま」「素早い行動」といった意味を持ちます。
<使用例>
- 彼の勢いはとどまることを知らず、まさに迅雷風烈である。
- 迅雷風烈の勢いで経営陣交代劇が行われた。
- 彼の迅雷風烈な仕事ぶりは他部署からも高く評価されている。
電光石火
「電光石火」(でんこうせっか)は、稲妻や稲光を指す「電光」と、一瞬で消える火打ち石の火をあらわす「石化」からなる四字熟語です。「とても素早いさま」「短い時間」といった意味を持ちます。
<使用例>
- 電光石火の恋は一瞬にして消え去った。
- 電光石火のごとく駆け回る彼に誰もついていけない。
- 職人の電光石火の早技を私も真似してみたいものだ。
紫電一閃
「紫電一閃」(しでんいっせん)は、事態が急激に変わるさまを指します。これは、良く研ぎ澄まされた剣や刀が、一瞬きらりと反射して光る様子から派生した四字熟語です。
ビジネスシーンよりも、歴史小説や時代物、文学的な表現として使われることが多い言葉です。
<使用例>
- 終了時間間際に一本を取られ、紫電一閃で明暗が分かれた。
- 朝からよい天候だったのに、紫電一閃、急激な悪天候となった。
- 紫電一閃、馬上から切り付けられ絶命した。
疾風迅雷の対義語
疾風迅雷の対義語は「意気阻喪」です。「いきそそう」と読み、意気込みや気力を失ってしまい勢いがなくなってしまうことを指す言葉です。
<使用例>
- 試合に敗れてしまい、チーム一同意気阻喪のムードが漂っていた。
- 冒頭から出鼻をくじかれ、敵は意気阻喪の様子でたじろいだ。
疾風迅雷の英語表現
疾風迅雷を英語では何と表現するのか、例文を挙げながら紹介します。
like a whirlwind
like a whirlwindは、「つむじ風」や「竜巻」という意味のwhirlwindに、「~のようである」といった意味のlikeをつけ、「まるで竜巻のように」という意味になります。
<使用例>
- He left like a whirlwind.(彼はまるで竜巻のように去っていた)
- It ’s like his work like a whirlwind.(まるで旋風のような彼の仕事ぶりである)
with lightning speed
with lightning speedは、様子をあらわすwithと、「目にもとまらぬ速さ」「一瞬のうちに」といった意味のlighting speedを合わせて、「稲妻のスピードで」「一瞬のうちに」といった意味になります。
<使用例>
- He ran through with lighting speed.(彼は稲妻のスピードで駆け抜けた)
- He couldn't keep up with the situation because things changed like lightning speed.(一瞬のうちに事態が変わったので、彼はその状況についていけなかった)
as quick as lightning
as quick as lightningは、「~と同じくらい速い」という意味のas quick asと「光」のlightningを合わせて「目にもとまらぬ速さで」「稲妻のような速さで」といった意味になります。
<使用例>
- His work is as fast as lightning, so it's twice or three times as smooth.(彼の仕事は稲妻のように早いので、2倍も3倍もスムーズである)
- I'm confused by sudden changes as fast as lightning.(私は目にもとまらぬ早さの事態急変に戸惑っています)
疾風迅雷の意味や使い方を理解して使おう
自然現象を使った四字熟語「疾風迅雷」の意味や用法、用例を紹介しました。類語や対義語、英語表現も含めた知識を身につけることは、より疾風迅雷の意味を深めることができます。正しい意味を把握し、ビジネスの場面でも活かせるようになりましょう。