「やせたい」「美しいボディラインを手に入れたい」「かっこいいスマートマッチョを目指したい」─。そう考える人が、最初にやるべきことは何でしょうか? 食事制限でもハードな運動でもありません。
大切なのはカラダに柔軟性をもたらすこと。トレーニングコーチ青山剛氏は言う。「ストレッチではやせない」はウソである、と。
■姿勢が悪いままで運動をすると…
──ストレッチでやせることはできますか? ストレッチでカラダは柔軟になってもダイエットの役には立たないという声が多くあります。
青山 いいえ、そんなことはありません。
運動量、つまりはカロリーの消費は、ストレッチはそれほど多くないでしょう。それでも、ダイエット、あるいは肉体改造に役に立たないわけではありません。それどころか必要不可欠なものなのです。
もし、あなたがやせたいと思い、肉体改造に取り組んだとします。目指すは見た目にもシャープなスマートマッチョ。だとしたら最初にやるべきは、食事制限でもランニングでも、あるいは筋力トレーニングでもなくストレッチです。
──その理由は?
青山 まずは、ストレッチを通して正しい姿勢を身につける必要があるからです。
食事制限やランニングだけで体重を落としても、あるいは、筋力トレーニングで筋肉をつけ有酸素運動で体脂肪を落としたとしても、それだけではカッコイイ肉体(しなやかで美しいカラダ)にはなれません。
たとえば食事制限でやせても、姿勢が悪いままなら周囲からは「縮んだ」「しぼんだ」ようにしか見えません。実際、体脂肪率にそれほど変化はないでしょうから、もとの太ったカラダが小型化したに過ぎないのです。
ランニングも同じです。ランニングは正しいフォームで行ってこそ効果的なもので、背中を丸め、腰を落とした姿勢で走っても美しいボディラインは実現しません。
「足が太くなってしまった」くらいですめばよい方で、その前にヒザや腰を傷めてしまう可能性が高いのです。筋トレも、姿勢が悪いままで行えば、筋肉はついてもスマートマッチョにはなれません。
──ダイエット、肉体改造を考えるなら、まずは正しい姿勢を身につける必要があり、そのためにストレッチが必要だと。
青山 そうです。
ただ、実際にストレッチだけでカラダが変わり、ダイエットに成功した人も少なからずいます。体重が85キロだった人が、ストレッチだけで70キロ台になり、スマートマッチョになった例もあります。これは、運動量によるものではなく、常にカラダを柔軟にすると同時に温めることで代謝量がアップしたのでしょう。またストレッチで関節可動域が広がり、
日常生活でのちょっとした運動がエクササイズに代わったのです。
それにストレッチを始めると、生活スタイルも変わっていきます。自分のカラダが柔軟になっていることに気づくと嬉しくなり、欲も出てきます。
「もっとカラダをしなやかに美しくしたい!」
「もっと健康になりたい!」
そう思い始めるのです。
すると自然に規則正しい生活を心がけるようになり、食生活にも気を配り、運動をやってみようという気持ちになります。そうなれば、ダイエットは「やらなきゃいけないこと」ではなく「やりたいこと」に変わっていきます。
ストレッチではやせない…そんなことはありません。
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文/近藤隆夫、監修/青山剛