――中山さんは山口さんのことをごく自然に「兄さん」と呼んでいましたが、やっぱり山口さんは4人の中でも兄貴っぽいポジションなんでしょうか。

いつの間にか、そんな立ち位置になってましたね。普段はいちばんふざけているんですけど(笑)。或人からも"兄貴"と呼ばれ、迅からも「お兄ちゃん」と呼ばれてますよね。宇宙野郎昴(スバル)という優秀な弟もいますし、いろんな弟に囲まれてるなって(笑)。僕は実際にも長男で、弟が2人、妹が1人いるんです。だから、雷の役柄は自分自身の素からそんなに離れていない感じですね。山口大地という男はわりと"兄弟愛"が強いほうだと思います。年上の人よりも年下と接しているほうが、どちらかというと楽で、落ち着くかもしれません。

――4人の前に立ちはだかる敵・仮面ライダーザイアに変身するリオン・アークランド役、ジェイ・ウェストさんのエキセントリックな演技が強烈すぎて、共演のみなさんが圧倒されたそうですね。

ジェイさんの芝居はすごく面白いんです。役としても強敵でしたけど、ジェイさんの存在そのものがすごかったですよ。一般的に、日本の俳優だと「これ(演技)やって」と言われたことだけやる、みたいなところがありますけど、ジェイさんの場合は「やるな」と言われたこと以外はぜんぶやる、という(笑)。役者として、ジェイさんのそんな姿勢は大いに学ばせていただきました。テストと本番で、ぜんぜん違う芝居をしてきますからね。

僕らかめっちゃ真剣な顔をして芝居をしている中で、突然「ヒェッヒャアアアア~ッ!」みたいな叫びを入れてくるんです。ZAIAエンタープライズのCEOが、まさかあんなファンキーな人物だったとは……。迫力もすごいんですけれど、あまりのハイテンションに笑いがこみあげてきて、こらえるのが大変でした。ジェイさんは本当にステキな役者さんでしたね。

――Vシネクスト『仮面ライダー滅亡迅雷』で、ぜひここを見てほしい!というシーンを教えてください。

4人が仮面ライダー滅亡迅雷へと変身する、最初のシーンですね。マスブレインシステムの中に入った滅亡迅雷.netの4人が、迅を中心にして意志をひとつにするくだりがあるんです。雷が迅に向って投げかけた言葉、それがまさに滅亡迅雷.netの在り方そのものだと思っています。僕はそれを滅亡迅雷.netの"美学"だと思っているんです。

――山口さんは『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』で仮面ライダーベルデ/木村役を演じられ、本作でも仮面ライダー雷/雷として強い印象を残されました。今後また仮面ライダーか特撮ヒーローのお話が来たとすれば、どんな役柄を演じてみたいですか。

『仮面ライダーキバ』(2008年)で武田航平くんが演じていたような「ヒーローの父で、先代の仮面ライダー」なんて、ぜひやってみたいですね。ベルデにしても雷にしても、ヒーローと敵対する完全な"悪"ではなかったですし、ザ・悪役というべき凶悪なキャラクターはまだ演じたことがありませんから、また特撮ヒーローの世界に関わることができたなら、悪逆非道の限りを尽くしてヒーローを追いつめるようなヤツを演じてみたいですね。僕はどちらかというと、いい人よりも悪のほうが合ってると思いますから(笑)。

(C)2021 石森プロ・ADK EM・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C)2019 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映