生き物の生存戦略「擬態」を知る

東京・品川区。しながわ水族館は、品川と古くからゆかりのある海や川との「ふれあい」をテーマとし、1991年に開業しました。しながわ区民公園の一角にあり、建物はコンパクトですが、飼育・展示は生き物ツウもうなる濃厚さです。

3月20日~5月9日の期間は、生き物の「擬態」をテーマとしたちょっと変わった特別展を実施。

擬態とは、生き物が体の色や形などを周囲のものや動植物に似せることで、目的は主に防御や攻撃。目立たない保護色になる、強い生き物になりすますなどは防御のための擬態、エサに気づかれないように身を隠してチャンスを待つのが攻撃のための擬態です。

  • 特別展「絶対に見つからないいきもの展~隠れているやつらを見つけだせ!~」

擬態上手の生き物が大集合

この特別展は、擬態をテーマに企画を考えていたときに、書籍『ぴのらぼ 絶対に見つからないいきものさん』(KADOKAWA)と出合い、コラボする形で実現。この本は擬態する生き物をテーマとしており、イラストの中に隠れている生き物を読者が探すクイズ形式になっています。

この特別展でも、生き物の擬態を「かくれんぼ」に見立て、参加者が生き物探しクイズに参加するスタイルです。

  • カメレオンは擬態の名人

擬態といえば、カメレオン。周囲の色に合わせて体色が変わるかくれんぼ名人です。水槽の中には、体色を木の葉に似せたエボシカメレオンが隠れています。

  • シマウミヘビも擬態で身を守る

本当は毒を持っていないのに、毒を持つウミヘビになりすますのが、「シマウミヘビ」。強い生き物に似せることで、敵から身を守っています。縞柄の体が、後ろの方にチラッと見えます。

展示を担当する梅原貴志さんは、「オニダルマオコゼ」「オオモンカエルアンコウ」「ソデカラッパ」という個性派生き物コーナーを熱烈に推薦! イラストパネルから生き物の絵を探した後、水槽の中から本物の生き物を探し出す仕掛けです。やってみると、なるほどこれは面白い。想像を超えた巧妙な擬態にはビックリ。本当に見事に身を隠すものですね。

  • 筆者撮影のオニダルマオコゼは周りの環境に合わせ、体色が白くなっている

  • 別の水槽で梅原さんが撮影したオニダルマオコゼは、体色が一変!

「擬態」がテーマのフードやグッズも

特別展開催中は、生き物の展示以外にも、期間限定のフードやグッズの販売もお楽しみに。

水族館に併設されたレストランでは、特別展にちなみ、「まるでカメレオン!? ドリンク」を販売。東南アジア原産のマメ科の植物「バタフライピー」のシロップを利用したドリンクです。深い青紫色のシロップをソーダなどで割り、そこにレモンを加えると、明るい紫に色が変わります。ドリンクバー料金は330円。

  • 「まるでカメレオン!?ドリンク」

  • 「カメレオンみくじ」(100円/1回)

それから、手描きの愛らしい生き物イラストの「カメレオンみくじ」(100円/1回)。しながわ水族館には絵が上手なスタッフがいるんですって。そして、ありがたいお告げに励まされること間違いなし。

食うか食われるかという厳しい自然の掟の中、生き延びるために生き物が獲得した姿には感心しきり。擬態という生存戦略から、ビジネスパーソンも学ぶことが多そうです。

●information
しながわ水族館
東京都品川区勝島3-2-1 しながわ区民公園内
営業時間:10~17時※最終入館は16時半