関西ローカル発の番組が世界展開を狙っている。きょう19日にゴールデンタイムで放送される『QUIZ GO ROUND 流れきる前に選びとれ!』(カンテレ 19:00~20:00 ※関西ローカル)がそれだ。海外にも広がっている回転寿司をモチーフにしたセットで、世界にあるようでなかったクイズ番組に仕立てている。
企画したのは、入社7年目と8年目のカンテレ若手ディレクターの2人。昨年12月にアジア最大級のコンテンツ見本市・ATF(Asia TV Forum and Market)のコンペティションに応募したところ、ファイナリスト作品にまでコマを進め、その勢いで番組化が決定。世界セールスにまで乗り出している――。
■“世界で売れるフォーマット”を募集
世界進出を目指すクイズ番組『QUIZ GO ROUND 流れきる前に選びとれ!』は、回転寿司の要領でくるくると回ってくる4つの選択肢の中から、流れきるまえに正解を選び取るというルール。収録当日、都内スタジオには、巨大なベルトコンベアーが置かれていた。それが、番組を象徴する“回転寿司”をモチーフにしたセットだ。
「まさか、番組化できるとは考えてもいなかった企画だったんです。今、セットを目の当たりにして、大変なことをスタッフの皆さんに頼んでしまったと思っています。ベルトコンベアーの会社30社に問い合わせしても断れてしまい。最終的に東京の美術チームを頼りにセットを再現することができました」と話すのは、この番組の企画者の1人である、カンテレ入社7年目のクリエイティブ本部 制作局 制作部に所属する田中祥吾ディレクター。
どのテレビ局でも通常は放送を前提とした番組に対して、企画募集されるわけだが、この番組は違った。シンガポールで毎年12月の時期に開催されるアジア最大級のコンテンツ見本市・ATFで世界の番組クリエイターたちが企画アイデアを競うコンペティション用のもの。カンテレ初のとなる海外コンペ募集に勝負をかけようと、東京コンテンツ事業部が動き、「世界で売れるフォーマットを募集します!」と社内に呼びかけたのだ。そして、「放送は未定」との断りも入れられていた。だから、田中Dが正直にそう話すのもやむを得ない。
■「せっかくのチャンスだから出そうと」
それでも、社内募集のメールが届いてすぐさま、同じ部署で入社8年目の吉川亮太Dを誘い、頭をひねって考えを出し合ったという。
「今までとは違う珍しい企画募集だったので、まず思ったのは『違う脳みそを使わなあかんかも』。番組になるか分からないけれど、まずはやってみましょうと企画を考えた中で、1つが回転寿司をモチーフにしたものでした」と話す田中D。
吉川Dも続いて、「地上波の企画募集は、5年前と比べると減ってしまっています。番組アイデアを考えても、出しどころが限られるようになっている中、せっかくのチャンスだから出そうと。自分が好きな国のシンガポールのコンペ用というのも、惹かれた理由になりました」と、意欲的だった気持ちを言葉に表した。