男性の中には、女性向けの化粧品を使用している人も多いのではないでしょうか?

単純に彼女や家族のものをそのまま使用している人もいれば、美容は女性の文化という意識からか「男性向けの化粧品よりも女性向けのもののほうが優れている」と感じて選んでいる人もいるでしょう。

しかし実際のところは、男性には男性に合ったスキンケア方法があるので、それが必ずしも正解とは言えないのです。

そもそも男性と女性では肌質が違う

同じ人間である以上、男性でも女性でも皮膚という臓器に大きな違いはないのは事実です。ですので、皮膚のことをきちんと知るために学ぶべき基礎知識は同じです。

それでは、どうして男性と女性で違いが出てくるのでしょうか?

その答えは、性ホルモン(男性ホルモンと女性ホルモン)の作用と、肌を取り巻く環境にあります。

男性ホルモンが皮脂を多くする

男性ホルモンが肌に及ぼす影響で一番大きなものは、皮脂分泌と言えるでしょう。男性ホルモンが多いと、分泌される皮脂も多くなるのです。皮脂は皮膚を守るために必要な大切な物質ではありますが、過剰に分泌されることにより、毛穴を大きくしてしまったり、ニキビができやすくなってしまったりという作用もあります。

それに対して、女性ホルモンは、肌の水分量を増やし、キメを細かくし、コラーゲンの生成を促進し老化を抑制し、創傷治癒を促進します。また、メラニン生成を促進する作用もあり、女性に多い肝斑(シミの一種)をできやすくさせるという側面もあります。

このように、性ホルモンが肌に及ぼす影響が異なるので、男性と女性では肌質が違ってきます。

皮膚は生活習慣や環境の影響を受ける

もう一つ、肌質に大きく影響するのが生活環境です。

皮膚という臓器は、生活習慣や環境の影響を大きく受けることが特徴で、年を取れば取るほど人生の経過が肌に深く刻まれるものです。

例えば、紫外線をたくさん浴びる生活を続けてきた人はシワが深く皮膚がたるみがちだったり、バイオリンを長く演奏してきた人はアゴや首の部分が硬くなっていたりといったことです。

個人差も大きいので一概には言えませんが、一般的に男性は、あまりしっかりスキンケアをせず日焼けも気にしない傾向にある一方で、女性は毎日お化粧をしてスキンケアも過剰にする傾向にあります。

スキンケアを怠りがちだと、自分の生まれ持った肌質の影響を大きく受ける、つまり、乾燥肌はより乾燥し、脂性肌はより脂っぽくなります。さらに、日焼けを気にしないと紫外線による害(シミ、シワ、たるみなど)も大きく受けてしまいます。

逆に、毎日お化粧をしていると、スポンジなどで肌をこすることによる副作用であるシミやくすみなどの副作用が出てくる可能性もあります。過剰なスキンケアによりシミやたるみが悪化しているケースもあります。

ここで述べた男女差はあくまでも一般論であり、肌を取り巻く環境には個人差があります。自分自身の生活環境が肌にどのような影響を与えているかについて、あらためてじっくり考えてみるのも大切です。

化粧水を買うときにチェックすべき項目

男性と女性の肌の違いについてお伝えしましたが、肌の状態は、男女差はもちろんのこと、個人差が大きいということをしっかりと認識する必要があります。

脂性肌は男性に多く、乾燥肌は女性に多い傾向にはありますが、実際にはその逆のケースもたくさんあります。

意外と知られていないのですが、男性にも女性ホルモンはあり、女性にも男性ホルモンはあります。

特に男性ホルモンは、一般的な男性よりも分泌量の多い女性も存在するくらいで、男性だから、女性だから、と言って一概には語れないのは興味深いところです。

自分の肌の水分量と油分量を知る

化粧水をはじめとする基礎化粧品を買う時には、まず水分量と油分量をチェックするようにしましょう。

頬を触ったときに、カサカサして感じるようであれば乾燥状態、しっとりと感じるようであれば理想的な状態、皮脂が手に付くほどベトベトしていたらオイリーな状態と考えるのが一般的です。オイリーな状態には2つのケースがあります。

水分も油分も多い状態と、油分は多いけれども水分は不足しているインナードライと呼ばれる状態です。額や鼻などのTゾーンはベトつくけれども頬はカサカサしている、などではインナードライの可能性が高いです。

スキンケアの最大の目的は保湿であり、水分と油分を適切な量に保持するために働く物資を補給することです。

水分と油分がどちらも不足しているドライスキンの場合、角質細胞間脂質であるセラミド、吸水効果のあるヒアルロン酸やヘパリン類似物質、皮脂相当物質であるワセリンやスクワレン、天然保湿因子相当物質であるアミノ酸などをしっかり補給することが大切です。

皮脂分泌が多いオイリースキンの場合は、皮脂を抑制する作用のあるビタミンCやビタミンAを追加すると良いでしょう。現在の自分の肌が水分量と油分量を最適な状態に保てるように、化粧品で有効成分を補うようにしましょう。

また、同じ人でも状況によって肌状態は異なるので、常に同じものではなく、その時の肌状態によって化粧品を賢く使い分ける必要があります。例えば、春夏はオイリーな傾向にあるけれども秋冬は乾燥しがち、という人は多く、季節によってもアイテムを変えることも大切です。

医師がすすめる化粧水の選び方

医師が推奨する化粧品といっても、特別なものではなくごく一般的なものです。

保湿に必要な成分がしっかり含まれていて、安全性が担保されたものであれば問題ありません。日本国内で一般的に販売されているものであれば、大きな問題はないと思います。

よくある勘違いが、スキンケアでは必ず化粧水を使わなければいけない、という考え方です。保湿をするのに必ずしも化粧水を塗る必要はなく、むしろクリームだけでも十分なことのほうが多いです。

もちろん、化粧水を塗ることで次に使うアイテムの浸透力を高める効果がある、水に溶けやすい有効成分(ビタミンCなど)が化粧水だと配合しやすい、などの利点もあるので、化粧水を使う意味はあります。何の目的で化粧水を使用しているかを考えながら使用すると良いでしょう。

化粧水、美容液、乳液、クリーム、といった基礎化粧品の中で、実は化粧水が肌への刺激は一番強く、肌荒れした時には化粧水を中止しなければならないケースもあり、注意が必要です。

スキンケアで最も大切なのは、毎日地道に継続することです。

まずは毎日無理なく続けられるシンプルなスキンケア方法を身に付けることを意識しましょう。

もし、スキンケアを化粧水のみで完了させたい場合は、ヒアルロン酸などがたっぷり含まれた高保湿タイプのとろっとした感触の化粧水がオススメです。化粧水の機能はさまざまで、一般的には化粧水だけだと保湿不足になりがちですが、その欠点をカバーすることができます。