俳優の生田斗真が主演を務める舞台『ほんとうのハウンド警部』が5日に東京・Bunkamuna シアターコクーンで初日を迎える。
同作は英国演劇界の至宝トム・ストッパードの緻密な頭脳プレイが炸裂する戯曲で、シス・カンパニーによる2021年の第1弾公演となる。1968年にロンドン・クライテリオン劇場にて初演を迎え、「劇中劇=メタシアター」のからくりが物理的にも心理的にも絡み合った「劇場全体」の魅力が凝縮された作品で、推理劇仕立てで始まりながら、「推理」にとどまらない人間心理の滑稽さを孕んだ複雑な谷間へ導いていく。
2017年のストッパード作の戯曲『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(シス・カンパニー公演)以来、4年ぶり2度目のタッグを組んだ演出:小川絵梨子と生田の2人を筆頭に、吉原光夫、趣里、池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一と演劇巧者たちが集結。1月末から稽古場に集い、スタッフと一丸となって、万全の感染予防対策を講じながら稽古を積み重ねてきたという。
本公演でも徹底した感染症防止対策を実施し、客席も1席空けで対応。5日18時の初日公演を前に、舞台写真と演出の小川、主演の生田からのコメントが到着した。公演はBunkamuna シアターコクーンにて31日まで。
演出:小川絵梨子 コメント
演劇のおもちゃ箱のような世界を、毎日、素敵な役者さんたちと一緒に探検していた稽古場でした。劇構造の面白さを再認識できるような哲学的な脚本でありながら、実はシニカルで思いっきり笑えるコメディなんです。「ストッパード? 難しそう……」とあまり構えずに、演劇ならではの面白さが詰まった不思議な世界をお楽しみください。生田斗真さんとは、「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」以来4年ぶりです。前回、周りをすごく引っ張ってくださって、年下なのに「兄貴」という感じでした。前にどんどん進んでいく感じとか、まるで年上のように頼りになるところとか、当時と全く印象が変わっていません。今回も、やはり頼りがいのある「兄貴」ですね。
生田斗真 コメント
ストッパードらしさにあふれた構造で、どこまでが現実で、どこからが虚構なのか、、、その境界線が溶け合っていく感じは、まさに演劇でなければ表現できない世界です。小川絵梨子さんは何事にも妥協することなく、常に前向きにトライし続ける演出家。そんな小川さんや、まさに「演劇モンスター」と言える信頼する共演者の皆さんと一緒に、戯曲を掘り下げていく稽古場での作業は、とにかく充実していました。いよいよ開幕の日を迎えます。ご来場いただく皆さんにもいろいろとご不便な思いをさせてしまうことも多いのですが、だからこそより一層、お客様を含めた全員で一緒に舞台を作っているという実感があります。これまで以上にお客様との繋がりを感じながら、毎日の舞台を精一杯努めます。是非、皆さんも楽しんでください! お待ちしています!