投資信託は始めやすいけれど、個別株の投資に手を出すのはリスクが高そうだし、自分には難しいのではないか……そんな風に考えている人は多いかもしれません。

そこで紹介したいのが、株式投資で7,000万円の資産を築き上げたサラリーマン投資家・長田淳司さんが提唱する「小型成長株投資」。将来的に継続的に成長が見込まれる複数の銘柄を長期間保有することで、リスクを抑えながら利益を得る方法です。

長田さんが「サラリーマン投資家だからこそ、有利」と話すこの手法について、インタビューで伺いました。

  • 10万円から始めて資産を200倍に! サラリーマン投資家に有利な「小型成長株投資」とは

サラリーマンが小型成長株投資をするべき理由

――まず、長田さんの提唱する「小型成長株投資」というのは、どのような手法なのでしょうか?

将来的に継続的に成長が見込まれる銘柄の中で、将来の価値に対して割安な銘柄を探し出し、長期間保有することで、株価の大幅な上昇を享受する投資手法です。

中でも「上場10年未満」「時価総額300億円未満」などの条件を満たした、小型の成長株を探し出して投資しています。

――この手法は、なぜサラリーマン投資家にとって有利なのでしょうか?

プロの投資家と違って、サラリーマンは"時間"が使えるからです。

プロの投資家は商売として株式投資をしているので、短期間で結果を出すために、短期の取引を繰り返さないといけません。また顧客が投資商品を解約したいとなった場合、売りたくなくてもお金を引き出すために売らなければならないなど、プロならではの制約がたくさんあります。

一方でサラリーマン投資家の場合は、そのような制約がなく、投資に長い時間を使えます。数年は大きく成長しない投資ベースだけれど、長い目で見れば成長が見込める銘柄を選ぶことができるんです。ですから、サラリーマン投資家が戦いやすい手法だと思います。

――例えば、小型成長株の銘柄ってどんなものが挙げられますか?

海外ブランド・ファッション通販の「BUYMA(バイマ)」というサービスをご存知ですか? 私はこのサービスを運営するエニグモという会社の銘柄を6年ほど前、小型成長株として購入したのですが、当時と比べると今は格段にお金を稼ぐレベルが上がっています。

サービスの会員数は当時の3倍以上になっているし、ブランドの知名度も上がり、社員数も増えているんです。

ただこれは、一日や数週間でなしえる成長ではありません。少しずつお客さんが増え、サービスが改善されていく、そのプロセスには時間がかかっていますよね。

このように、長い目で見て成長する銘柄でコツコツ資産を積み上げていくことで、短期投資などの精神的な負担を感じることなく、投資が可能です。

小型成長株も分散して購入すればリスクを抑えることができる

――とはいえ、購入した銘柄が必ず成長するとも限らないですよね? 失敗したらと考えると、すごく怖いなぁと思うのですが……

もちろん、どんなに頑張ったとしても、失敗することはあります。手に取ったときはいい銘柄だと思ったけれど、数年たったらダメだったということもあるんです。

ですから、5~10銘柄くらいの成長株を保有することを推奨しています。きちんと知識を身に付けて、これくらい保有銘柄を分散できれば、大損して取り返しがつかなくなる、という事態にはなりません。

数ある銘柄の中で失敗するものもあれば、見立て通りに成長する銘柄もある。見立て通りに成長した銘柄を大事にしながら、次の銘柄をどんどん探していけばいいんです。

――分散して保有することでリスクは減らせるんですね

個別株投資を怖がりすぎる必要はありません。日本には約200万社ほどの企業がありますが、株式市場に上場しているのはたったの4,000社ほど。厳選された企業なので、長い目で見れば、基本は稼ぎ続けていくはずです。

もちろん、小型成長株投資の中でも、2~3銘柄に集中して投資して、爆発的にお金を増やすという方法はあります。しかし、これはとてもリスクが高く、すべての人ができる方法ではないので、私はオススメしていません。

小型成長株は「オーナー企業」を選ぼう

――小型成長株といってもたくさんの銘柄があると思うのですが、選び方のコツというのはありますか?

「オーナー企業であること」「上場10年未満であること」「ビジネスモデルがユニーク」「時価総額300億円未満」「増収増益を続けている」、これらの条件を満たした銘柄を探すといいでしょう。

――これらの条件は大方"なるほど"と理解できたのですが、「オーナー企業」を条件に入れているのはなぜですか?

楽天、ソフトバンク、日本電産、ニトリなどを見ていると分かると思うのですが、オーナー企業の方が、良くも悪くもワンマン。会社が大きくなっても意思決定がスムーズで、次の挑戦がしやすいと考えています。

そして、そもそも上場した企業のオーナー社長というのは、アイデアがすごいし、馬力も人並み外れているし、運の強い人たちです。

今までどんなサービスを作り出して事業を展開してきたか、ストイックにビジネスを広げていっているか、実際に数字を残しているか、ここをしっかり見て期待できる銘柄だと判断できれば、リスクを抑えて投資できると考えています。

サラリーマン投資家だからこそ、長く続けることに価値がある

――個別株投資は「最初の一歩が踏み出せない」という方も多いと思います。まずはどんな銘柄を選んだら良いでしょうか?

ここまで小型成長株投資をお勧めしてきましたが、最初は誰でも知っているような有名企業の銘柄や、株主優待目当ての銘柄を選んでみるのもいいでしょう。

まずは100株買ってみると、いろんなことが分かります。配当金がもらえてうれしい気持ちになったり、株価が上下して感情が動いたり、もっと他の銘柄の方がいいかもしれないと思えたり……こういう感情は買っていない人には絶対に分かりません。

少ない金額からまずは購入してみて、一つひとつ体験しながら勉強していくといいと思います。

――少額からトライアンドエラーを繰り返すことが大事なんですね

とにかく長い目で見て続けることが大事です。僕だって10数年も株式投資をしているから、たまたま7,000万円ほどの資産が築けたわけです。リスクを抑えてお金を増やすには時間がかかるものだと心づもりをしておきましょう。

そして自分の頭で考えて投資をしましょう。誰かの意見をうのみにして投資をしていると、失敗した時に後悔するし、失敗の原因を探ることもできません。

自分で考えて投資をすれば、買った時期が悪かったのか、銘柄自体に問題があったのか、全体の相場が悪かったのかなど、自分で分析できるので、失敗を繰り返さずに済みます。将来の成長の糧になるのです。

どんな分野であっても、その分野を極める過程では誰だって失敗するもの。最初の3年間は失敗を織り込み済みにして、勉強期間だと思って取り組んでみてはいかがでしょうか。

長田淳司/サラリーマン投資家を支援する投資家

1981年生まれ。一橋大学を卒業後、某金融機関に勤務。機関投資家向けの有価証券管理業務や海外営業に従事。現在、自身もサラリーマンとして株式投資を続ける。様々な試行錯誤を繰り返し、「株は理論価格に収れんする」「中・長期で成長する銘柄に投資する」「チャンスを待ち、チャンスを見極める」という独自のスタイルで株式投資を続ける。その結果、ポジションを拡大、投資スタイルを確立させ、300万円の資金から7,000万円強まで増やす。現在は、会社勤務を続けながら、中小企業経営者、ビジネスパーソンを中心に延べ2,500人に投資セミナーも行い、資産を増やす人が続出。そのわかりやすさと実践的な内容に、知る人ぞ知る投資セミナーとして好評を博している。

『10万円から始めて資産を200倍にする小型成長株投資』

サラリーマン投資家という利点を逆手に取って、プロとは別の土俵「小型成長株投資」で投資をしていくという方法を伝授。成長し続け株価が上昇する企業の見極め方は何なのか、そして、投資し続けることによってどのように資産をつくるのか。本書では、10倍株の見つけ方から資産2,000万円をつくる具体的な方法まで、サラリーマン投資家だからこそできる手法を解説していきます。