通勤電車のラッシュアワーを避けるための「時差出勤」や、夏の日照時間を有効的に使う「サマータイム」など、柔軟な働き方として、勤務時間を選ぶことは珍しいことではありません。

  • 火星時間勤務とは? ※画像はイメージ

しかし、先日ツイッターに「これから、火星時間勤務で働く」という投稿がなされ、大きな話題を集めていました。聞き間違い? ネタ? 一体これはどういうことなのでしょう……。

さっき妻が仕事の電話で
「これからスケジュールが厳しいんですよ、夫が火星時間勤務になっちゃって……はい、『火星』時間です……そう、火星ローバーが着陸するから……毎日40分ずつずれるそうで……ほんとですよ~、前代未聞の時差ボケですよ~」
相手は相当困惑してたみたい笑
Hiro Ono / 小野雅裕(@masahiro_ono)より引用

投稿した小野さんは、NASAジェット推進研究所(JPL)で技術者として働く方でした! この投稿には「火星基準でみたら、地球でテレワーク。大変そう」「もしかして火星時間で勤務する初の日本人なんじゃない??」「超遠距離赴任...★」「うわー!SF(スペースオペラ?)の世界だ!」など、数多くの読者から興奮した声が寄せられていました。

また、「遅刻の言い訳に使えないかな?」「ある意味テレワークでよかったですね……! 火星に出勤するのは大変すぎるので……(違う」「はじめて目にするワード!」など、火星時間勤務という、言葉を楽しむ読者もいました。

さらには、「タイムゾーンに『火星標準時』を追加してほしいですね」「人類が他の星に移住したら暦はどうなるのかな」など、未来の世界をイメージしたコメントも挙がっていました。

火星時間勤務とは

火星探査のための「火星ローバー・パーサヴィアランス」が間もなく火星に着陸するという小野さん。多忙な中、少しだけコメントを頂きました。

――仕事内容を簡単にお教えください。

小野さん: 業務内容は、火星ローバーの開発・運用、将来の宇宙探査機のための人工知能の研究などです。詳しくは『note』に記載しているので、そちらもご覧ください。

火星探査プロジェクトが佳境となる小野さんですが、丁寧に回答を頂けました。ご好意に甘え、『note』からも少し引用します。

クリスマス休暇直前に「オペレーション・レディネス・テスト」、通称ORTと呼ばれる訓練が行われた。ローバーが火星から送ってくるデータを再現し、オペレーション(運用・管制)チームが本番さながらにデータを解析したりコマンドを送ったりする訓練だ。

僕はこのORTに、オペレーション・チームの新米として初参加した。僕はこの6年ほど、ずっとローバーを「作る」仕事をしてきた。これからはローバーを「動かす」仕事になるのだ。JPLに入って以来、いつかはやってみたいと思っていた仕事の一つだった。
『SPACE SHIP PEQUOD CREW』より引用

――火星時間は「毎日40分づつずれる」ということですが、なぜでしょうか。

小野さん: それも説明した『note』があるので、そちらをご覧ください。

ということで、これまたご好意に甘え、引用して紹介いたします。

火星の1日はおよそ24時間40分である。だから来年2月から5月まで、始業と終業の時間が毎日40分ずつ遅くなっていく。つまり毎日40分ずつ寝坊できる。火星の1日が地球より少しだけ長かったこの偶然を神様に感謝するしかない。もし火星の1日が23時間だったら、僕は毎日1時間ずつ早起きをする羽目になっていたのだから。
『SPACE SHIP PEQUOD CREW』より引用

小野さん、ご多忙な中、ご協力ありがとうございました! 火星探査の結果、どのような発見があるのでしょうか。楽しみですね。