「十把一絡げにしないでくれ」と言われたら、何を注意されており、どう行動すればよいのでしょう?
聞き馴染みのない言葉ではありますが、「十把一絡げ」は、日常生活でも、ビジネスシーンでも使える言葉です。本記事では、「十把一絡げ」の意味と使い方を紹介します。「十把一絡げにするな」と急に言われたときに戸惑わずに済むようにしましょう。
十把一絡げの意味
「十把一絡げ」とは「多彩な種類のものを、区別なくひとまとめで扱うこと」という意味で使われることばです。読み方は「じっぱひとからげ」。
「何でも十把一絡げにして考えるな」のように、本来個別に扱うべきものを1つにまとめて扱っていることを表現します。
十把一絡げの語源
「十把一絡げ」の「把」という漢字は矢の束を数えるときの単位で、「十把」で矢が十束という意味になります。また「一絡げ」は「一つの束にまとめてしばること」という意味です。2つの言葉を組み合わせて、本来10束にすべき矢を1束にまとめている状況を指しているのが「十把一絡げ」なのです。
十把一絡げの使い方と例文
「十把一絡げ」は日常生活の中でもビジネスシーンでも使われている言葉です。以下では、ビジネスシーンで「十把一絡げ」を用いる際の例文を紹介します。
<例文>
- 複数の提案をしたにもかかわらず、十把一絡げで評価された
- 顧客から「御社の傾向として」と会社単位の十把一絡げで扱われた
上記のように用いることで、本来個別で扱って欲しいことを、まとめて雑に扱われた様子を表現できます。
十把一絡げの類語
「十把一絡げ」を使いたいけれど、ビジネス相手に対して使いづらい場合もあります。「十把一絡げ」を使うのが適切ではないけれど、同じ意味を伝えたいというときには類語を知っていると便利です。
状況や相手によって使い分けられるように、「十把一絡げ」の類語も覚えておきましょう。
一括
「一括(いっかつ)」は、「1つにまとめる」という意味の言葉です。
「一括」の意味としては単に1つにまとめているだけなため、「十把一絡げ」の「本来は個々の束として扱うべきものを」という意味は含まれません。
「プロジェクトメンバー個々に対する評価はされず、プロジェクト全体で一括して評価された」のように使えば、「十把一絡げ」とほぼ同義になります。
一元的
「一元的(いちげんてき)」とは、「複数のものが根源を1つにしていると見えること」の意味で使われます。複数のものを1つにまとめて考える点で「十把一絡げ」と同義になりますが、「一元的」は意図して1つに扱っていることが「十把一絡げ」と異なる点です。
一緒くた
「一緒くた」は「ごちゃまぜ」なことを意味し、「本来分けて管理すべきなのに一緒に扱う」という点で「十把一絡げ」と通じた使い方ができます。「一緒くた」はカジュアルな使い方に向いているでしょう。
「AもBも一緒くたに扱われた」のように使われ、「十把一絡げ」を使って「AもBも十把一絡げに扱われた」と言い換えることも可能です。
ごちゃまぜ
「ごちゃまぜ」は「無秩序に入り混じっている様子」の表現として使われます。本来、別個に扱うものを無秩序に入り混じった状態にするという意味で「十把一絡げ」と同義で使うことが可能です。
ビジネスシーンでも「ファイルは整理されておらず、ごちゃまぜに置かれている」のように使え、「十把一絡げに置かれている」と言い換えることもできます。
十把一絡げの対義語
「十把一絡げ」の反対表現ができる対義語を紹介します。ビジネスシーンで豊かな表現をするためにも、語彙力を広げておきましょう。
個別扱い
「個別扱い」は「全体を構成しているものを、切り離した個々として扱うこと」という意味で使えるので、「十把一絡げ」とは反対の意味を持つ言葉といえます。
ビジネスシーンでは、「A社では弊社メンバーを十把一絡げで使うが、B社では個別扱いしてくれる」のように、「十把一絡げ」とセットで使うことも可能です。
多元的
「多元的」は「ものの要素や根源が複数ある様子」という意味があります。「十把一絡げ」の類語である「一元的」の真逆の意味を持つ言葉です。
ビジネスシーンでは、「十把一絡げに考えるよりも多元的に考えた方が、アイディアが生まれやすくなる」といった使い方ができます。
十把一絡げの英語表現
日本語で「十把一絡げ」を使っている部分を英語で表現するときには、どのようなイディオムや英単語が使えるのでしょう。個別に扱わずにまとめて扱うことという意味を英語表現にしたい場合は、「lump together」を使います。
<例文>
- You mustn't lump them together.
十把一絡げにすべきじゃない。
また、直接的な表現を避ける場合は、「put all in one bag(すべて一つのバッグにまとめる)」を使うことも可能です。
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「十把一絡げ」の読み方や意味・使い方について理解できたでしょうか。本来、ひとまとめで扱って欲しくない事柄を雑にまとめて扱われた場合は、「十把一絡げ」を使うと状況が伝わりやすくなります。
相手や状況を選んで使う必要はありますが、内容を理解したうえでビジネスシーンでも活用してみましょう。