直近という言葉をご存じですか。「直近で取引関係にある企業は~」などビジネスシーンで良く用いられているため、この言葉を聞いたことがある方や使っている方もいるでしょう。

しかし文脈から、期限や近しい関係性など距離感を表していることはわかるものの、中には詳しい意味や正しい使い方を知らない方もいるのではないでしょうか。

直近の意味や使い方、類語や対義語、英語表現などを知ってビジネスシーンで活かしましょう。

直近の意味や読み方とは

直近とは、とても近い様子や距離、時間などを表す言葉です。ビジネスシーンにおいては、「直近の売り上げ状況を記載してください」などのように使われ、口頭でも文面でもどちらでも使える表現です。また、ビジネスだけでなく日常会話でもよく使われます。

なお、読み方は「ちょっきん」となります。

  • 直近の読み方や意味を学びましょう

    直近の読み方や意味を学びましょう

直近はいつからいつまでの期間を指す?

直近が示す期間には、「いつからいつまで」というはっきりとした定義はありません。期間は使用される文脈で異なり、数時間や数日、数カ月などさまざまです。

近い期間を指すイメージがある言葉ですが、場合によっては数年でも直近と言われることがあるでしょう。例えば、「直近1年のデータを集計してください」と言われた場合は、今から1年前までのデータの集計をするという意味になります。

過去だけでなく未来に使うことも可能

直近は、時間的にも近いという意味から、近い過去の出来事だけでなく少し先の未来を指して使われることもできます。文脈の言葉によって、過去か未来か時期を判断しましょう。

  • デスクまわり

    直近が示している期間は使用される文脈から判断しましょう

直近の正しい使い方や例文

直近は、ビジネスにおいてさまざまな場面で使用される言葉です。ここからは、直近の使い方をパターンごとに紹介します。

例文を参考に、正しい使い方を知ってビジネスに活かしましょう。

データや売り上げを表現する場合

データや売り上げなど、ビジネスに直結する内容にも直近は使用されます。

また、株価関連でも「直近高値」「直近安値」など直近という言葉は使用されます。「直近高値」や「直近安値」は当日を基準日とし、その日よりも高い最近の高値、その日よりも安い最近の安値という意味です。

<例文>

  • 直近のアンケート結果からターゲット層を絞っていく
  • 直近の売り上げを見ている限り、今年度は赤字になりそうだ

期間を表現する場合

期間は具体的に提示して使うことが多いでしょう。また、過去だけでなく未来のことにも使えるため、文脈から判断しましょう。「直近1週間の予定はいかがでしょうか」のような場合は、未来のことを意味します。

<例文>

  • 直近1年で起きた不具合について調べて欲しい
  • 直近1カ月で完全にオフな日は5日くらいあっただろうか

人間関係を表現する場合

直近は時間的な意味ではなく、人間関係の近さでも使用できます。直近の上司は直属の上司、直近の知り合いは近しい間柄、ある程度見知った仲、などの意味で使われます。

<例文>

  • 私の直近の上司は○○さんです
  • たまたま居合わせただけだったが、直近の知り合いだと認識されている

場所を表現する場合

場所に対して直近という言葉を使う際は、距離の近さを意味しています。

<例文>

  • 直近の駅まで歩いて行こう
  • 直近の銀行窓口を探した
  • ノートパソコンを操作している男性

    直近の正しい使い方や例文を学びましょう

直近の類語・言い換え表現

直近にはさまざまな類語や言い換え表現があります。どの言葉も似た意味を持っていますが、類語を知っておくことで適切なシチュエーションや場面で、当てはまる言葉を引き出すことが可能です。

直近の類語を身につけて、表現の幅を増やしましょう。

間近

「間近」とは、間が近いことを表す言葉です。直近の場合は、文脈によって数年を指す可能性もありますが、間近の場合は当日から1週間後頃、遠くても1カ月程度までの間で使うことが多いでしょう。

<例文>

  • 大会が間近に迫ってきた
  • 本番間近だから気を引き締めていこう
  • 結婚記念日が間近に迫ってきた
  • 予約受付が終了する間近だということに今気が付いた

最近

「最近」とは、基準となる日より少し前のあるとき、少し前から基準となる日までの間、などの意味がある言葉です。直近は、定期的に行われてきたことに対して、最新の内容を問われる際に使われますが、最近は何かがなくても使えます。

数日前や数年くらい前と幅広い内容でも使用可能ですが、未来の事柄に対しては使えないため注意しましょう。

<例文>

  • 最近ストレスが溜まっている
  • 最近物騒な事件が多い

間もない

「間もない」とは、何かが起こってから時間の経過が少ないという意味の言葉です。日が浅いときに使用する言葉であるため、直近のように年単位のことを指すときには使われません。

<例文>

  • 生まれて間もない赤ちゃんは泣くのが普通だ
  • 入学間もない生徒たちは眩しく見えた

先ほど

「先ほど」とは、ちょっと前のこと、いましがた、ついさっき、などの意味を持つ言葉です。現時点で近い過去になるため、数分から数時間前のことを指すときに使われる場合が多いでしょう。

ただし、分刻みのような多忙な時間を過ごしている際に先ほどと言われると、何のことを指しているかうまく伝わらないケースもあります。「先ほど担当の○○さんから電話がありました」「先ほどはありがとうございました」などの使い方ができます。

  • 観葉植物

    直近の類語を知ることで語彙が増えます

直近の対義語

直近には対義語もあります。反対の意味を持つ言葉を知ることも、直近の意味を理解することにつながるでしょう。

またビジネスシーンでは、直近とは逆の意味合いを伝える機会もあるため、対義語もあわせて覚えておきましょう。

将来

「将来」はこれから先、未来、引き連れてくること、などの意味を持つ言葉です。これから先、未来という時間を指す意味が直近と対義語の意味になります。

<例文>

  • 息子の将来の夢は先生だ
  • 将来お金に困らないよう今から貯金をしっかりしておく

そのうち

「そのうち」は、そう遠くない未来、少し先のこと、を意味する言葉です。厳密に時間を指定できない際に使用されます。具体的にいつかわからない曖昧なニュアンスを残した表現になる点が、直近と対になる部分でしょう。

<例文>

  • そのうち掃除するから片付けないで欲しい
  • 確認作業を怠っている現場は、そのうち取り返しのつかないことを起こすだろう

遠方

「遠方」とは、遠くの方、遠い所、という意味の言葉です。直近は距離的な近さを表す場合も用いられるため、反対に遠さや離れていることを表す「遠方」は対義語になります。時間軸的な意味の対義語ではありません。

<例文>

  • 遠方から来られたお客様だ
  • 遠方に住む従兄弟一家と久しぶりに交流した
  • 遠方の大学に行く予定だ
  • この季節は特に遠方にそびえる山々が美しい

周囲

「周囲」とは、もののまわり、周辺、まわりの長さ、まわりの方、ある場所や事物をとりまく、すぐ近くの辺り、などの意味を持つ言葉です。近くのことに対しても使いますが、遠くにあることを指す場合に使われるときは、直近の対義語になります。

<例文>

  • ここは周囲数キロの国立公園が広がっている
  • 池の周囲には写真家が集まっていた
  • フィリピンやインドネシアも日本のように周囲を海に囲まれた国だ
  • デスクの上に広げられているノート

    直近の対義語も押さえておきましょう

直近の英語表現

最近では外国人労働者を増やす企業が増えているようです。そのため、仕事で英語を使う機会が増えた方も多いでしょう。直近を英語でも表現できるようになっておくことで、コミュニケーションをより円滑に進められる可能性があります。

直近という言葉の英語表現を知り、ビジネスシーンの英会話で活用しましょう。

immediate

「immediate」は、ごく近い、即効性の、という意味があります。時間の早さだけではなく、距離や位置としての近い意味が含まれています。

<例文>

  • Do you have a project to start immediate.
    直近に開始するプロジェクトはありますか。
  • I want to do something in the immediate 6months.
    直近の6カ月で何とかしたい。

earliest

「earliest」は、初期の、早い時期に、という意味があります。早く、初期にという意味を表すearlyの最上級の形です。

<例文>

  • Give me your earliest possible answer.
    可能な限り即座に答えをください。
  • I want to put that on sale at the earliest possible date.
    できるだけ即座に発売したいと思います。
  • 水晶体の中に閉じ込められた風景

    直近の英語表現を知って仕事に活かしましょう

直近の意味を覚えてビジネスシーンで正しく使おう

直近は、近い過去や未来を表す意味だけではなく、年単位の話をする場合も用いられます。厳密な期間の定義があるわけではないため、幅広く使用できる言葉ですが、誤解が生じる可能性もあるでしょう。

可能な限りトラブルの基にならないよう、いつのことを指しているか具体的な日時を伝えた方が良いでしょう。ビジネスでも使われるシーンが多い言葉のため、直近の意味や使い方について理解しましょう。