2021年3月7日からテレビ朝日系全国ネットで放送される新番組『機界戦隊ゼンカイジャー』の制作発表会見が1月15日に東京ドームシティシアターGロッソにて行われた。主演を務める駒木根葵汰(こまぎね・きいた)ほか主要キャラクターがステージにかけつけて、45番目のスーパー戦隊としていかなる活躍をしていくのか、熱く意気込みを語った。

  • 左からカズレーザー、つるの剛士、ガオーン、ジュラン、駒木根葵汰、マジーヌ、ブルーン、榊原郁恵(※榊原郁恵さんの「榊」は、木へんに神が正式表記)

通常ならマスコミ各社に向けた取材会見となるところ、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が出ている期間ゆえ、「東映特撮ファンクラブ(TTFC)」をはじめとする各種配信サービスによる「生配信」のみの発表会見となった。進行を務めるのは、テレビ朝日の大木優紀アナウンサーと、お笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザー。カズレーザーは大の「スーパー戦隊シリーズ」ファンとして、テレビ朝日の人気トーク番組『アメトーーク!』に「スーパー戦隊大好き芸人」(2017年放送)として出演した経験があり、番組内の特別映像にて『宇宙戦隊キュウレンジャー』との"競演"をも果たしている。

「スーパー戦隊シリーズ第45作記念」と銘打った『機界戦隊ゼンカイジャー』の物語は、次のように展開される。機械生命体"キカイノイド"が住む別世界「キカイトピア」がわれわれの住む世界を侵略し始めた。しかしキカイノイドの中にも、正義の心を持つ者たちがいた。主人公・五色田介人(ごしきだ・かいと)と4人のキカイノイドが世界の壁を超えて力を合わせたとき、歴代スーパー戦隊の力が彼らを助けるのだ。

公開されたスペシャル映像では、シリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)のリーダー・アカレンジャーと介人が出会う場面や、ゼンカイジャーの背後にアカレンジャーからキラメイレッドまで44作品の歴代"レッド"戦士が勢ぞろいしているビジュアルがあり、本作が記念作品だということが強調されている。ゼンカイジャーの名乗り文句「5人そろって、機界戦隊ゼンカイジャー!」も、秘密戦隊ゴレンジャーの「5人そろって、ゴレンジャー!」を強く意識しているといえるだろう。

メインのヒーローが「1人の人間+4人のキカイノイド」という組み合わせなのは過去のシリーズにない新機軸であるが、長い歴史を誇るスーパー戦隊シリーズでは、ヒーローのサポート役、あるいは公私ともに信頼のおける"相棒"として、意志を持つ等身大のロボットたちがたくさん活躍してきた。『超電子バイオマン』(1984年)のバイオ星ロボット・ピーボ(演:野本奈穂子/声:太田叔子)や『超獣戦隊ライブマン』(1988年)のコロン(演:渡辺元子/声:高坂真琴)などは、最前線で戦うヒーローたちを技術面、精神面でバックアップする重要な仲間として強い存在感を発揮していた。

『特命戦隊ゴーバスターズ』(2012年)では各ヒーローそれぞれに一体、家族のように深い絆で結ばれた「バディロイド」がおり、戦闘時および巨大メカ操縦時には抜群のコンビネーションを発揮した。中盤から登場したビートバスター/陣マサト(演:松本寛也)のバディロイド、ビート・J・スタッグ(演:佐藤太輔/声:中村悠一)はスタッグバスターに変身し、5人目のゴーバスターズとなって敵と戦う"ヒーロー"の役割まで果たしている。『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年)ではヒューマンタイプのメンバーと一緒に、テンビンゴールド/バランス(演:大林勝/声:小野友樹)、オウシブラック/チャンプ(演:岡元次郎/声:大塚明夫)、ワシピンク/ラプター283(演:五味涼子/声:M・A・O)といったメカニカルな身体を持つメンバーも登場。総勢12人ものヒーローが、宇宙を救う救世主として大暴れした。

人間ヒーローでもロボットでも、悪に立ち向かう正義の心がある限り、誰もが区別されることなく立派な"ヒーロー"だということができる。『機界戦隊ゼンカイジャー』のヒーローたちもまた、ひとりひとりの強い個性を発揮しつつ、チームで団結することによって最大の力を引き出す「スーパー戦隊」の"魂"を受け継ぐ存在に違いない。

ステージには、『機界戦隊ゼンカイジャー』の主要登場人物が勢ぞろい。まずはゼンカイザー/五色田介人を演じる駒木根葵汰、続いてゼンカイジュラン/ジュラン、ゼンカイガオーン/ガオーン、ゼンカイマジーヌ/マジーヌ、ゼンカイブルーン/ブルーンが登場した。

マイクを手にした駒木根は「現在の厳しい状況の中、こうして制作発表の場に立てることができて、本当にうれしく思います」と"コロナ禍"で大変な状況の中、新番組をスタートできる喜びに満ちた挨拶からはじまり「僕がするべきことは、この1年間五色田介人という人間を、すべてをかけて演じ切ることです。僕が子どものころ、ヒーローからもらった夢や希望、憧れを、こんどは今の子どもたちに与えられれば」と、子どもたちから愛され、憧れられるヒーロー像を表現したいと意欲を燃やしつつ、さわやかな笑顔を放った。

駒木根が子ども時代の思い出の「スーパー戦隊」は、『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)、『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)、『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)、『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)、『魔法戦隊マジレンジャー』(2005年)あたりだという。これを聞いたカズレーザーは「ああ~、なるほど。世代が見えます(笑)。デカレンはいいですね。俺も大好きでした」とリアクション。大木アナは「私には5歳の息子がおりまして、ママたちも"こんどのスーパー戦隊はどんな人が主人公を演じるのか"話題にしていました。駒木根さんが出るとなれば、日曜日の(視聴)モチベーションがググッとあがります!」と語り、駒木根に熱い視線をそそいだ。

"イケてるオジサンぶっているキカイノイド"との紹介を受けたジュラン(演:竹内康博/声:浅沼晋太郎)は「第16作『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1992年)の大獣神さんに負けない恐竜ロボを目指したいと思いまーす! ヨロシコ!」と、"ちょいウザ"オジサンテイストを加えての挨拶を行った。

機械には冷たいが、生き物には優しいガオーン(演:蔦宗正人/声:梶裕貴)は、「ヤッホー! 人間ちゅわ~ん見てる~?」とやけに軽いノリで挨拶したあと、「ゼンカイガオーンに変身したら、第25作『百獣戦隊ガオレンジャー』のガオキングっぽい感じでやらせてもらってます!」と、ワイルドな動きを交えながらコメントした。

引っ込み思案の紅一点・マジーヌ(演:下園愛弓/声:宮本侑芽)は、あまりの緊張で自分が呼ばれたことに気付かず、仲間から呼びかけられると「あせあせ、全力全開でがんばりますっ!」と焦りながら挨拶した。『魔法戦隊マジレンジャー』のマジキングに似ていることもあり、カズレーザーから「魔法は使えますか?」と訊かれたマジーヌは「ええと、ままま魔法よりどっちかというと"占い"のほうが好きというか……ごめんなさい。マージ・マジ・マジーロで緊張しちゃってます!」と、マジレンジャーの呪文を交えつつ、終始緊張気味に話していた。

何でも知りたい好奇心の塊・ブルーン(演:岡田和也/声:佐藤拓也)は「第30作『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006年)のダイボウケンっぽいので、1年間冒険するつもりでガンバリます!」と生真面目に挨拶。ジュランはジュウレンジャー、ガオーンはガオレンジャー、マジーヌはマジレンジャーと名前が歴代「スーパー戦隊」にちなんでいるのに、どうしてブルーンだけそのパターンじゃないの?という質問に対しては「どうなってるんでしょう? もうわたくしの好奇心のエンジンが、ブルンブルンです!!」と、明言を避けるかたちでうまいコメントをしていた。

続いて、本作にレギュラー出演する「みんなのアイドル」が紹介されることとなった。それは、介人の祖母で、ジュランたちキカイノイド4人も住み込んでいる駄菓子カフェ「カラフル」の店主を務めている五色田ヤツデを演じる、榊原郁恵だった。登場からいきなりほがらかな笑顔とハイテンションな動きを見せた榊原は、「介人のお母さん……と言いたいところですが、今回はおばあちゃん役でやってまいりました。第45作という記念すべき作品で、スーパー戦隊に初参加させていただきます!」と元気いっぱいに語り、ステージに明るい空気を盛り込んだ。

スペシャル映像の中で、介人とヤツデがそろって銃を構える背後で"大爆発"が起こる迫力満点のカットが見られたが、これについて榊原は「あれはだまされたんです(笑)。撮影初日のこと。介人といっしょに銃を構えていたら"後ろでバーン!ってなりますから"と言われて"は?"と思っているうちに背後が爆発して、バーン! 熱い! びっくり!って」と、爆発カットが「ドッキリ」のような形でいきなり行われたことを明かした。

ヤツデという役柄については「みんなを見守るおばあちゃんの役なんですけど、1年間やってますからね。もしも平和のために手が足りないなんてことがあったら、ばあちゃん戦隊として出てもいいよ(笑)って思っています」と、チャンスがあれば "おばあちゃんの知恵袋"的なヒーローになってもいいと意欲を示した。

メンバーただ1人の人間ヒーローである駒木根は、キカイノイドと共演することについて「意外と違和感はないです。ただいちばん困るのは、みんな個性が強すぎて僕がかすんでしまうんじゃないかなと(笑)。もうちょっと目立ちたいので、みんなよろしくお願いします」と、キカイノイドたちのインパクトの凄さに頭をかかえつつ、自分もどんどん目立っていけるよう気概を見せた。また「休憩時間でも、みんなとよく話をしています。自分はアクション経験が今までなかったので、アクションのプロであるみんなから戦い方や受け身などを教えていただいてます」と、キカイノイドとのチームワークが早くも固まりつつあることをアピールした。

次に、『機界戦隊ゼンカイジャー』の主題歌アーティストが発表された。主題歌「全力全開!ゼンカイジャー」を歌うのは、俳優・タレントとして多方面で活躍しているつるの剛士。かつて円谷プロの『ウルトラマンダイナ』(1997年)で主役を演じた経験のあるつるのだけに、登場したとたんいきなりウルトラマンダイナのソルジェント光線ポーズを取り、あわてたカズレーザーから「よその(ヒーローの)ポーズはやめて!」とツッコまれる一幕があった。1975年生まれのつるのは『秘密戦隊ゴレンジャー』と同い年ということで、今回の主題歌抜擢に強い縁を感じているという。つるのは興奮気味に「ウルトラマンをやらせていただいて、今度はスーパー戦隊の主題歌を歌わせていただいた。そうするとあとは"仮面ライダー"しかないでしょ! いま"バイク王"のCMに出ているんで……(笑)」と、国産ヒーローの人気シリーズを制覇したいという"野望"をあらわにした後、「めちゃめちゃカッコいい曲に仕上がっていますので、どうぞよろしく!」とゼンカイジャー主題歌を熱烈アピールしていた。

さらに、音楽面での"驚き"の発表が行われた。『機界戦隊ゼンカイジャー』の劇伴(BGM)を、ヒーローソングのレジェンドと称えられる偉大な作曲家・渡辺宙明氏が手がけるというのだ(大石憲一郎氏と共同)。スーパー戦隊第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』から第6作『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)まで6作品の主題歌・BGMを担当したほか『人造人間キカイダー』(1972年)、『イナズマン』(1973年)、『宇宙刑事ギャバン』(1982年)、『巨獣特捜ジャスピオン』(1985年)など、数々の特撮ヒーロー作品、アニメ作品で活躍した渡辺氏は、95歳になった今もなお創作への意欲が衰えず、精力的に作曲活動を行っている。このビッグニュースにはカズレーザーも驚きを隠せず「マジですか!」と大きな声を出してしまった。

渡辺氏からは映像によるメッセージも寄せられ「(近年の)戦隊ものにも関心がありまして、ときどき観ておりましたけれど"私ならこうやるぞ!"という気持ちを持っておりました。まさか、こんど私が(音楽を)担当するとは夢にも思っていなかったんですが、非常にうれしい気持ちですね。『この上ない幸福感を感じる音楽を』と注文されまして、それはうまく行っていると思います。みなさんBGMは"ボヤっと"聞かないで、集中して聞いてくださることを希望いたします。ゼンカイジャー、全力全開! がんばりますーっ!」と、高齢とは思えないはつらつとした口調でゼンカイジャー音楽にかけた思いを明かし、つるのとカズレーザーを感激させた。

なお、3月7日の放送開始まで待ちきれない! というファンに向け、2月20日から全国劇場にて「スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021」の詳細が明かされた。『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年)と『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019年)の2本に、最新作『機界戦隊ゼンカイジャー』を加えた「スーパー戦隊映画」3本立ての「スーパー戦隊MOVIEレンジャー」にも、期待と興奮が高まっている。

最後にマイクを握った駒木根は瞳をキラリと輝かせながら「ここにいるメンバー、製作に関わっているキャスト・スタッフのみんなが一丸となって、全力全開で頑張っていきたいです。みなさん、1年間よろしくお願いいたします!」と張りのある声で挨拶し、新たなスーパー戦隊への熱き応援を呼びかけた。

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