帝国データバンクは1月13日、2020年のラーメン店の倒産は46件となり、前年を10件上回って過去最多を更新したと発表した。倒産が年間40件を超えたのは2020年が初めてとなり、コロナ禍でラーメン店の厳しい経営環境が改めて浮き彫りとなった。
同社によれば、ラーメン業態では、これまで参入障壁の低さを背景に新規店が続々とオープン。全国で2万店にものぼるラーメン店同士の消耗戦が年々熾烈化したほか、原材料費や人材費などのコストアップ、さらに1,000円の壁といった消費者心理も背景に、低価格・剥離経営での体力勝負が続いていたという。
そこにコロナ禍による外出自粛で集客力が急激に低下、経営環境は一層悪化し、とんこつラーメン店の「長浜将軍」(福岡)など、新興店から人気店、チェーン店でも経営が息詰まる事例が相次いでいる。
GoToイート事業やテイクアウトサービスの拡充、消費者のニーズの変化などで、一部の業態では授業が回復したが、麺類業態の回復は依然として鈍く、ラーメンは10月時点でも前年を下回る状況が続いている。
一方で、先行してデリバリーの活用を開始した「町田商店」(ギフト)などの業績は好調。煮干しラーメンで有名な「ラーメン凪」を運営する凪スピリッツが、全国の有名ラーメン店の商品をネット販売する新規事業をスタートしたり、ラーメン店の経営をサポートするオイシードが、麺料理専門通販サイト「わーるどめん」を開設したりと、手を打ち始めている店舗・企業もある。
同社は「首都圏などでは飲食店の営業が20時までに制限されるなど厳しさが続くが、外食としてのラーメンの魅力は依然高い。デリバリーや通販などで、潜在的な顧客ニーズを引き出せるかがカギとなる」とコメントしている。