年収によって生活水準は大きく変化します。もちろん、年齢や職種などによって年収も変化しますが、ここでは年収300万円の会社員の平均年収や貯金額、そして将来設計などについて解説します。
年収300万円台の会社員の実態
まずは年収300万円台の会社員の実態についてご紹介します。
年収300万円台の会社員の割合はどのくらい?
国税庁による「民間給与実態調査」によると、令和元年の1年を通じて勤務した給与所得者数は約5255万人となっています。
そのうち、年収が300万円超、400万円以下の人口は約890万人で全体の17% ほどです。100万円毎に分けた給与階級分布で比較してみると、全体でもっとも高い割合を占めたのが年収300万円台でした。また、過去5年分のデータを比較してみても年収300万円超、400万円以下の方の割合は17% 前後で推移しており、もっとも多いという結果になっています。
こうして考えると年収300万円台は現代において、もっとも標準的な収入の額だと考えることができるでしょう。
平均月収
サラリーマンの場合、毎月の収入から所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれることになります。そのため、年収300万円がそのまま手取りというわけではありません。
手取りは扶養家族の有無や各種手当などの非課税所得によっても差があります。年収が300万円ちょうどだった場合、年間で社会保険料は約40万円、所得税は約6万円、住民税が約12万円と考えると毎年の手取り額は240万円前後ということになります。
この手取り額を単純に12分割すれば月収になるというわけでもなく、年収にはボーナスも含まれています。
年収別の平均ボーナス額は政府などでは公表されていません。2018年にリクナビNEXTが行った調査によると年収300万円台の方のボーナスの平均額は約41万円という結果が出ています。そこで、240万円から41万円を差し引いた199万円を12分割すると毎月の収入を算出できます。
今回例を挙げたケースの場合、16.5万円ほどが年収300万円の方の毎月の手取りということになります。
ただ年収300万円台とはいっても、300万円と399万円ではかなりの開きがありますし、ボーナスの額にも差があります。あくまで平均的な数値から割り出した額だと考えるのがいいでしょう。
平均貯金額
貯金額もやはり生活状況や年齢などによってもかなりの差が出る可能性があります。とはいえ、同じ年収の方がどのくらい貯金しているのかが気になるという方も多いでしょう。リクナビNEXTが2018年に行った調査では、年収300万円台の方の平均貯金額は約190万円となっています。
ボーナス
ボーナスについては先ほどの平均月収の項目でも触れましたが、年収300万円台の方の平均額は約40万円となっています。
とはいえ、近年ではさまざまな事情からボーナスが支給されないという企業も増えています。フリーウェイジャパンが行った調査によると、2020年度冬期ボーナスについて「支給されない」または「未定」と回答した企業が40% 以上にのぼっています。
参考 : 「フリーウェイジャパンプレスリリース」
年収300万円台の生活状況
年収300万円台の方の割合や、具体的な収入などについてはここまででご紹介した通りですが、実際にはどのような生活になるのでしょうか?
年収300万円台の生活の満足度
満足度にもさまざまな指標がありますが、今回は年収をベースとして考えていますので、まずは「家計と資産の満足度」について確認していきます。
内閣府による「満足度・生活の質を表す指標群」では、年収ベースではなく所得税や住民税などを支払った後に残る可処分所得(手取り)で100万円以上300万円未満の場合、満足度は8点満点中3.98というスコアになっています。
この数値から考えると、経済面においてはそれほど満足度は高くないといえます。
参考 : 内閣府「満足度・生活の質を表す指標群」
1人暮らしの生活
同じ収入であっても、同じ収入で生活する世帯の人数によっても生活は大きく変わります。1人暮らしであれば、当然それだけ余裕がありますので収入がそれほど多くはなくても経済的には満足度の高い生活ができる可能性が高くなります。
家族を持った生活
家族を持った生活の場合、やはりそれだけ支出が増えてしまいます。扶養家族がいれば控除を受けられますのでそれだけ手取り額は増えますが、それ以上に支出が増える可能性もあります。
近年では夫婦共働き世帯も増えていることから、収入をより増やすことができると考えることもできるでしょう。
年収300万円台でできること
続いては年収300万円の生活についてより具体的に考えていきましょう。
マイホームのローンは組める?
マイホームの購入を考えている方が特に気になるのが、ローンを組むことができるのかという点です。サラリーマンの方が住宅を購入する場合、ローンを利用するのが一般的ですが、その審査に不安を抱いているという方も多いのではないでしょうか。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2018年度)」によると、利用者のうち年収が300万円未満の方が7% 、300万円台の方を含めると22% を占めています。フラット35の利用者のうち8割近くは年収400万円以上となっていますが、それでも全体の2割ほどは年収300万円台でローンを組んでいるということになります。
つまり、年収300万円台でもマイホームのローンを組むことは十分に可能です。
子どもの教育にかけられる額
家庭を持つことを考えると、やはり気になるのは子どもの教育費です。高校までは家計の中からやりくりすることも可能ですが、大学に進学するとなれば一気に学費も跳ね上がります。
もちろん、大学によって学費にも差がありますが私立文系で卒業するまでに約450万円がかかるといわれています。遠方の大学に進学するとなれば家賃や生活費なども必要となりますので、さらにお金が必要です。奨学金制度などを利用すれば、年収300万円台の世帯でも子どもを希望する進路に進ませることは十分に可能です。
年収300万円台からの将来設計
最後に、年収300万円台からの将来設計について考えていきましょう。
副業で年収アップ
転職によって年収をアップすることを考える方も多いかもしれませんが、いきなり現在の仕事をやめて職探しをするとなれば、当然リスクが伴います。また、転職に成功したからといって確実に年収がアップするという保証もありません。
そこで、リスクを低くして年収をアップする方法が副業です。近年では仕事が忙しい方でも空いた時間を使ってはじめることのできるネット副業なども増えています。大幅に年収を増やせるとは限りませんが、現在の年収に不満を抱いているのであれば副業も検討してみるのがいいでしょう。
年収アップに役立つ資格
資格を取得することによって年収アップを狙えるケースもあります。特に転職や独立を考えているのであれば、より高い収入を得ることができる仕事に就きやすい資格の取得を検討してみましょう。
仕事をしながら取得できる資格としてはフィナンシャルプランナーや宅建、中小企業診断士などが挙げられます。自分がどのような仕事をして年収アップを目指したいのかを考えながら、どの資格を取得するのかを検討しましょう。
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年収300万円台の方は現代においてかなり高い割合を占めている層です。そのため、この年収でこれからどのように生活すべきなのか悩んでいるという方も多いでしょう。今回は年収300万円台の方の現状や、将来設計などについてご紹介しました。いくつかのポイントを踏まえた上で、これから先のことを考えてみましょう。