仕事にも慣れてきて、後輩の指導をしたり、重要な取引先やお客様と連絡をしたりする機会が増えてきた方にとって、相手に伝わりやすい話し方をすることは重要です。人に何か伝えたいことがあるときは起承転結を意識して話すと良いでしょう。
話の起承転結がしっかりしていれば、自分の話に相手の興味を引くことが可能で、伝えたいこともスムーズに伝わるでしょう。起承転結の意味を正しく理解することで、ビジネスパーソンにとって大切なコミュニケーションをさらに上達させましょう。
起承転結の意味・語源
起承転結の由来は、中国の漢詩における代表的な詩型の1つである「絶句」にあります。絶句は起句、承句、転句、結句の四句からなるもので、このような話の作りを「起承転結」と呼ぶようになりました。
絶句の構成は以下の通り。
構成 | 内容 |
---|---|
起句 | ある内容を言い起す |
承句 | 起句を承(う)けてその内容を発展させ起承二句でひとつの意味をなす |
転句 | 起承の内容を一転させる |
結句 | 起承転句を受けて一貫した意向で結ぶ |
参照 : 関西吟詩文化協会「漢詩の作り方」
このように四部に分けるのは、詩の内容を簡潔に伝えるためです。この漢詩の構成法が、現代においては、話や物語を簡潔に伝える方法として用いられています。
以下では、起承転結の話の流れを説明するにあたって有名な物語を例に、起、承、転、結のそれぞれの意味を紹介します。
起
起とは、話の内容についての背景や、話を理解してもらうために必要な情報などを伝える部分です。
大阪本町 糸屋の娘
解説 : とある糸屋に娘がいることを説明する。
承
承は、起で提起した内容を受けて、物語の本題に入る前の導入部分となります。
姉は十八 妹は十五
解説 : 姉妹の年頃を説明する。
転
転では、起と承で話した内容について、場面や視点などを転じて物語の本題について話します。利き手の興味を引くような展開が起こり、話の根幹となる重要な部分です。
諸国の大名 弓矢で殺す
解説 : 場面を転じ、「大名は弓矢で人を殺す」と結びにつなげる。
結
結では、これまでの話がどのような結末を迎えたのかについて話します。全体のまとめとなる部分です。ここで話し手が伝えたいことがしっかりと伝わるように、簡潔にわかりやすく話しましょう。
糸屋の娘は 目で殺す
解説 : 娘は、大名とは違い「目で殺す」とその器量を褒める。
ビジネスシーンで起承転結を使うときの注意点
起承転結に沿った話をすることは、自分の話を聞いてもらい、理解してもらう際に重要なことです。しかし、起承転結を使うことが推奨されない場面もあります。ビジネスシーンでは起承転結の使用に十分注意する必要があるでしょう。
レポートやプレゼンではシーンを選ぶこと
ビジネスシーンでのレポートやプレゼンにおいては、起承転結を用いて話すよりも、結論を最初に話すことが好まれるケースがあります。このようなシーンでは、一番初めに強調したい内容を伝えて、そのあとに補足として追加する情報を話すことが好ましいです。
このとき、5W1Hを意識して伝えると、聞き手に好印象を与えられるでしょう。
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起承転結は、耳にする機会も多く、人に何かを伝えるときに有用な話の構成法ということもよく知られています。しかし、実際に起承転結を用いて話すことは普段から意識していなければ難しいでしょう。
起承転結それぞれ4部の意味を意識して話したり、文章を書いたりすることで、自然と起承転結を用いた伝え方を身に付けることができます。適切な場面で起承転結を利用して、わかりやすく興味を引く伝え方ができるようになりましょう。