「発足」という言葉の読み方と意味、使い分けをきちんと理解できていますか? 「発足」には読み方は2通りあり、読み方によって意味も使い方も異なります。

ビジネスシーンやフォーマルな場で使われることの多い言葉ですから、意味や使い分けをきちんと理解して、正しく使えるようにしておきましょう。

  • 「発足」の読み方は?

    ビジネスの場面でカッコよくつかいこなせるようになりましょう

「発足」の読み方は?

まずはじめに、「発足」の読み方について詳しくみていきましょう。実は普段から想定している読みと異なっているかもしれません。

一般的には「ほっそく」

最もオーソドックスが読み方は「ほっそく」です。「発」を「ホツ」と読むのは、現在では一般的になっている漢音の読みより前に日本に定着していたとされる呉音(ごおん)としての読み方です。呉音は仏教関係の言葉でよく使用されていたといいます。他には「発端」「発作」「発起人」なども同様に「ホツ」と読みますよね。

漢音で「はっそく」

「はっそく」という読みは漢音の「ハツ」をそのまま活かした読みになります。「発達」「発展」「発育」などの言葉もあるので、馴染みのある方も多いでしょう。

地名だと「はったり」

実は「発足」の漢字は地名にも使われています。北海道岩内郡共和町の地名で、読みは「はったり」です。日常やビジネスシーンの会話のなかで使うことはなかなかありませんが、教養のひとつとして知っておくといいかもしれません。

  • 「発足」の読み方は?

    読み方には歴史があります

「発足」の意味は?

「発足」の読み方がわかったところで、発足の意味を確認しましょう。実は「発足」は意味によって読み方が変わる言葉です。

「ほっそく」は組織が活動を始めること

「ほっそく」には組織や機関、制度などの活動の開始という意味があります。「ほっそく」という読みは従来、現代に多く使われている漢音より古い呉音の読みです。しかし、組織や機関の活動開始を表現するときには「ほっそく」という読みを使うのが慣例化しています。

「はっそく」は出発すること

「はっそく」はもともと「出発」「旅立ち」という意味で使われていました。「ほっそく」の読み方が常態化しているため、「はっそく」は誤った読み方と思われるかもしれません。しかし、使われることが減っているだけできちんと意味があるのです。

  •  「発足」の意味は?

    始まりを意味する「発足」

「発足」の類義語は?

「初めて何かを始める」という意味合いを持つ「ほっそく」の類義語は複数あります。少しずつ意味が異なるので、場面に応じて使い分けできるようになっておきましょう。

「設立」

「初めて何かを立ち上げる」という意味でよく使われるのが「設立」です。「設立」は主に会社などの組織をつくりあげることで、「設立行為」という言葉もあります。

「設立行為」とは法律行為にあたるため、法人の登録など法的な手続きが必要になります。現代は比較的誰にでも会社を設立できるようになっていますが、それでも法的手続きを行わずに設立することはできません。

一方で「発足」は法律行為ではないため、法律に従う必要はなく自発的に立ち上げることができます。社内の事業部を立ち上げたり、学校のサークル活動を立ち上げたりするときに使うことができます。

つまり「会社設立」ということはできても「会社発足」ということはできません。同じように「サークル発足」は使えても「サークル設立」という言葉は使えません。

「創立」

会社や学校を初めて創ったときに「創立」という言葉が使われます。「設立」と同様、会社や学校など法的手続きを必要とするものを対象にしていますが、「設立」より「初めて」立ち上げたというニュアンスが強くなります。

学校でいう「創立記念日」はその学校が初めて創られた日です。学校や会社によっては途中で名称を変更することもありますが、「創立」はそれには関係なく正真正銘「最初」に立ち上げられたことを意味します。

「発足」の場合は、会社や学校のような法的手続きが必要となるもの以外について、組織が初めて立ち上がったことを表現することができます。

「創業」

会社や店が初めて立ち上がることを「創業」といいます。これも創立と同様に「初めて」立ち上がったことが重要です。また、法的手続きを必要とする組織や機関に対しても使われます。

「発足」で言い換えるときには、やはり会社や店のような法的手続きを必要とする機関や組織以外に使うことになります。

「始動」

大きな事業や計画が動き始めるときのことを「始動」といいます。「新規事業が始動する」「プロジェクトが始動した」というような順調に物事がスタートすることを表現する場合には、「発足」「始動」の言い換えが可能となります。

「発進」

「始動」と同じく、新しく物事がスタートする意味で使われるのが「発進」です。「事業が発進した」「試みが発進した」というような表現の際には「発足」に言い換えることもできます。

しかし、乗り物が「発進」するときに「発足」を使うことはできません。注意しましょう。

「緒に就く」

「しょにつく」と読む「発足」の類語です。日常会話で使われることはほとんどない言葉ですが、事業や計画が始まることを意味します。「始動」や「発進」は大きな事業やプロジェクトの開始を意味するのに対し、「緒に就く」は小規模な事業やプロジェクトの開始が対象です。

「発足」は規模の大小にかかわらず、事業や計画が新しく始まるときに使える言葉です。

「はっそく」の類義語

前述したように、「発足」を「はっそく」と読むのは「旅立ち」や「出発」を意味するときです。ビジネスシーンでは使われませんが参考までに紹介しておくと、「旅立ち」や「出発」、「出立」「門出」という言葉に言い換えることもできるでしょう。

  •  「発足」の類義語は?

    法的手続きの有無がキーになる言葉もあります

「発足」の対義語

「発足」の対義語についても確認しておきましょう。新しく物事が始まること、立ち上がることを意味する「発足」の対義語には、物事を終わらせるといった意味の言葉が該当します。

解散

会社などの団体が活動をやめることを「解散」といいます。ここでの「解」という字はしがらみなどを「解く」という意味です。「連盟は解散した」「アイドルグループは解散した」といった場合に使われます。

解団

「解団」は「解散」と同じく、団体が活動をやめることです。ニュアンスとしては「解散」よりさらに限定された集団を対象に使われるでしょう。「選手団」や「応援団」といった小規模組織が活動をやめるときのイメージです。

解党

「解党」は政党が活動をやめることを指すので、「解散」「解団」よりさらに対象が限定されます。政党のみを対象としているため、ビジネスシーンで使われることはまずありません。

  • 「発足」の対義語

    「発足」の対義語は団体が活動を終えることです

「発足」の使い分け

実際に「発足」と類義語でどのように使い分けるのがいいのでしょうか。具体的な例文をみながら適切な使い方を覚えていきましょう。

「発足」と「創立」

前述したように、「創立」は「初めて」立ち上げたことを意味します。つまり「創立」が使えるのは最初だけです。会社や店の名前が途中で変わったり、仕切りなおしたりときは「継続」あるいは「再設立」ということになります。「再創立」という言い方はないので注意が必要です。

一方「発足」には立ち上げのタイミングの縛りがありません。最初に立ち上げたときも、途中で一度解散して再度立ち上げたときも、「発足」を使うことができます。

「発足」と「設立」

「発足」と「設立」の使い分けについては、わかりやすい具体例があります。パナソニック株式会社では松下電器製作所であった当時、自社の工場を3つの事業部に分けました。この状態は事業部の「発足」ということになります。

その後松下電器製作所を株式会社にする際、各事業部は子会社となりました。この場合は法的手続きを必要とするため、「設立」という表現になります。もちろん「発足」と言い換えることもできますが、「設立」という方が事業部から子会社になったことが伝わりやすいでしょう。

  • 「発足」の使い分け

    新規事業の発足

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「発足」の読み方や意味についてまとめました。「発足」はビジネスシーンにおいては「事業部の発足」など新しいことが始まるときに活用される言葉です。使いどころを間違えないよう、意味の違いを知っておきましょう。