あまりにも鮮やかな組み立てで、相手玉を寄せ切って勝利

第79期順位戦B級2組9回戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の▲中村修九段(6勝2敗)-△藤井聡太二冠(7勝0敗)戦が1月6日に関西将棋会館で行われました。結果は94手で藤井二冠が勝利。2021年の開幕戦を白星で飾り、今期B級2組8連勝としました。

相居飛車の将棋となった本局。中村九段の無理気味の攻めに、藤井二冠が適切に対応し優位を築いて終盤に突入します。馬で飛車取りをかけらてた藤井二冠でしたが、飛車を逃げるようなことはせずに、歩を用いた巧みな攻めで相手玉へ迫ります。

相手玉への包囲網を築いてから、飛車をタダで取らせる妙手が決め手。以下数手で中村九段を投了へと追い込みました。

流れるような華麗な攻めで勝利を収めた藤井二冠は、これでB級2組8連勝。順位戦の連勝は、自己記録を更新する19に伸びました。通算成績は37勝1敗です。

他の対局の結果次第では、この日にも藤井二冠がB級1組への昇級が決まる目もありましたが、昇級を争うライバルが勝利し、この日に決定とはなりませんでした。

しかしながら、この勝利で昇級へ限りなく近づいた藤井二冠。残り2戦で1勝すれば昇級です。仮に自身が連敗で終えても、以下の1通りの場合以外昇級となります。

中田宏樹八段(6勝2敗)・横山泰明七段(6勝2敗)が共に連勝。10回戦の佐々木勇気七段(7勝1敗)VS大石直嗣七段(6勝2敗)戦の勝者が11回戦も勝利。

話を単純にするために、藤井二冠・中田八段・佐々木七段・横山七段・大石七段の5名が勝つか負けるか半々で計算した場合、藤井二冠の昇級確率はなんと99%(127/128)となります!

何が起きるか分からないのが勝負の世界。油断は命取りとなります。しかし、そのような気の緩みから最も縁遠いのが藤井二冠であることは間違いありません。

切れ味抜群の終盤で勝利した藤井二冠(提供:日本将棋連盟)
切れ味抜群の終盤で勝利した藤井二冠(提供:日本将棋連盟)