普段よく聞く言葉で、なんとなく意味はわかっているが、正しい使い方や本当の意味が理解できていないという言葉はないでしょうか。よく使われている「手前味噌」という言葉も、正しい使い方や詳しい意味を理解していない方が多いと思われます。
謙虚なニュアンスや奥ゆかしさがある「手前味噌」という言葉の意味を深く理解すれば、ビジネスシーンにおいても役に立ちます。本記事では、「手前味噌」という言葉の意味やビジネスシーンでの使い方などについてご紹介します。
「手前味噌」の意味とは
「手前味噌(てまえみそ)」とは、自慢、もしくは自分を褒めることを意味します。人前で挨拶するときや相手に自慢するときなどに使われます。たとえば、自分が残した結果を自画自賛したいときに「手前味噌ですが~」といった前置きで用いられます。
自慢という意味がある「手前味噌」ですが、ただ単に自慢するのではなく謙虚なニュアンスが含まれている言葉なため、自分の事をアピールしつつ少し控えめに奥ゆかしさを感じさせてくれる効果があります。
「手前味噌」の由来
日本では、昔は「味噌」を手作りしている家が多く、自分の家の味というものを確立していました。質の良い自家製の味噌を造って自慢したいとき、自分のことを表す「手前」を使って「手前の(自家製の)味噌」と表現していたということです。
また、「味噌」という言葉は「~がミソだ」などと特徴やポイントの意味として使われることもあることから「手前味噌」は“自慢したいポイント”といった解釈になったとも言われています。
ビジネスシーンにおける「手前味噌」の使い方
「手前味噌」という言葉は、ビジネスシーンでもよく使われます。たとえば、自分や自社の業績を控えめに自慢するときなどに使います。相手の鼻につくようなことがなく使えるため、とても便利です。
ここでは、ビジネスシーンにおける「手前味噌」の使い方や例文について、ご紹介します。
【例文】手前味噌ですが
<使用例>
- 手前味噌ですが、我々の研究班は日本でトップクラスです
- 手前味噌ですが、我が社のAIエンジニアは全員世界で通用する人材です
【例文】手前味噌ながら
<使用例>
- 手前味噌ながら、娘は優秀なバレリーナで、有名な大会での受賞経験もあります
- 手前味噌ながら、現在開発中のワクチンには自信があります
- 手前味噌ながら、我が社のセキュリティは鉄壁です
【例文】手前味噌で恐縮ですが
<使用例>
- 手前味噌で恐縮ですが、我が社の海外事業部は志が高い社員が揃っています
- 手前味噌で恐縮ですが、子どもの頃から興味を持ち続け、研究してきた知識が今回の開発に活かされています
「手前味噌」を使う際に注意すること
「手前味噌」を使う際には、誤用に注意しましょう。たとえば、手前味噌の意味を「身近なもの」と捉えて使うのは誤用です。
- お世話になった方なので、手前味噌の物ではもてなせない
また、「手前味噌」はもともと謙虚なニュアンスが含まれている言葉ですし、「手前味噌で恐縮ですが」という表現もありますが、過剰に卑下する表現をしてしまうと、相手に不快感を与える可能性もあります。
「手前味噌」の類語・同義語
「手前味噌」には自慢という意味があります。自分で自分を誉めている意味が手前味噌にはあるため、類語としては「自画自賛」や「自賛」「自負」「自讃」などが挙げられます。
また、類似する意味を持つ言い回しを挙げると、「うぬぼれ」なども近いかもしれません。このような手前味噌の類語を知り、シーンに合わせて正しく使いこなせるようになれば、伝えたいことが伝わりやすくなります。
「手前味噌」の対義語
「手前味噌」の対義語には、「謙遜」や「卑下」などがあります。自分が人より劣っていたり自己評価を低くしたりする意味合いを持つ言葉が、「手前味噌」の対義語になります。対義語も理解し、シーンによって上手く使い分けましょう。
「手前味噌」の英語表現
「手前味噌」を単純に自慢という意味で考えた場合、「brag(自慢する)」という単語が使われます。また、「自慢するわけではないけど~」といった意味の表現をすると「手前味噌」の意味に近くなります。
<英文例>
- It might sounds like singing my own praises, but~
- I don't want to sing my own praises, but~
- I don’t mean to brag, but~
以上、「手前味噌」の意味や正しい使い方をご紹介しました。「手前味噌」という言葉は、実は誤用されていることも多い言葉のひとつです。なんとなく理解していた「手前味噌」の本当の意味や使い方を学び、さまざまなシーンで使ってみましょう。