山崎八段は永瀬拓矢王座との首位攻防戦を制し、8勝1敗の成績に。7勝2敗の郷田九段、7勝3敗の永瀬王座が追う。
第79期順位戦B級1組10回戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)が12月24日に東西の将棋会館で行われました。7勝1敗の山崎隆之八段と、7勝2敗の永瀬拓矢王座との首位攻防戦は、162手で山崎八段が勝利。初のA級昇級に大きく前進しました。また、6勝2敗で3番手だった郷田真隆九段も白星を挙げ、2番手に浮上しています。
10回戦の対戦カードと結果は以下の通りです(左が勝者)。深浦康市九段は10回戦抜け番でした。
〇山崎隆之八段-永瀬拓矢王座
〇郷田真隆九段-千田翔太七段
〇木村一基九段-行方尚史九段(千日手指し直し)
〇久保利明九段-近藤誠也七段
〇屋敷伸之九段-松尾 歩八段
〇丸山忠久九段-阿久津主税八段
▲永瀬王座-△山崎八段戦は、山崎八段が角換わり△3三金型早繰り銀を採用しました。通常の△3三銀型の早繰り銀と比べ、1手得をし、早く仕掛けられるのが特徴です。しかし、その分守備力は低下します。
その後角を5四に設置し、山崎八段が作戦の狙い通りに先攻していきます。永瀬王座は相手の攻めを受けつつ、自陣の整備を進めました。
やがて山崎陣は独特な形となっていきます。金銀はバラバラで、玉は5一の居玉のまま。そして飛車も4三というなかなかお目にかかれない位置にいます。しかし、いつ空中分解してもおかしくないような陣形をまとめ上げてしまうのが山崎八段。やがて玉を中段へ力強く前進させると、空中要塞を築き上げました。
攻め駒不足の永瀬王座は何とか攻めをつなげようとしましたが、山崎八段の丁寧な指し回しによって叶わず。山崎玉の入玉を防げなくなったタイミングで投了を告げました。
昇級争いを繰り広げる難敵を下した山崎八段。この勝利で8勝1敗となり、首位を維持しています。過去12期のB級1組の戦いで、8勝1敗の成績は自己最高。悲願のA級昇級へ大きく前進しました。
一方、勝てば首位に立てた永瀬王座は7勝3敗に後退。6勝2敗だった郷田九段が千田七段に勝利したため、昇級圏外の3番手に陥落してしまいました。しかしながら順位は山崎八段、郷田九段より上位のため、このまま勝ち続ければまだまだ昇級の可能性は十分にあるでしょう。
長丁場のB級1組は残すところあと3回戦。11回戦は1月14日に行われます。前々期は渡辺明二冠(当時)が10回戦で、前期は菅井竜也七段(当時)が11回戦で昇級を決めています。しかし、今期は永瀬王座が11回戦抜け番のため、このタイミングで昇級者が出るということはありません。今期は最後までハラハラドキドキの昇級争いを楽しめそうです。