公務員がもらえる共済年金は年金制度の一元化によって、2015年10月から厚生年金に統合されました。しかし、それ以前に共済年金を受給している人は、引き続き共済年金を受け取ることができます。そこで、厚生年金とは異なる「共済年金の早見表」を作成しました。気になる方はチェックしてみてくださいね。
■共済年金と厚生年金の違い
2015年10月の被用者年金制度の一元化によって、共済年金が廃止となり、厚生年金に統合されました。これまで共済年金には、厚生年金にはない「職域加算」という年金の上乗せがありました。この「職域加算」が官民格差の是正によって廃止され、代わりにできたのが「年金払い退職給付」です。こちらについては後の項目で説明します。
2階部分までは公的年金となりますが、共済年金はこれまで職域加算分多く受給できていたことが分かります。一元化によって、職域加算がなくなり、代わりに「年金払い退職給付」が創設されました。この二つの大きな違いは、職域加算は保険料の負担がありませんが、「年金払い退職給付」は保険料の負担があります。共済年金が優遇されていた理由がここにあります。
■職域加算額の計算式
公的年金の受給額は加入期間と給与の平均額(標準報酬)に応じて変わります。加入期間が長く、給与が高いほど、年金額は多くなります。平均給与については平成15年4月の制度の改正によって、計算方法が変わっています。平成15年3月までは、賞与を含まない月給のみで平均給与を算出していましたが、平成15年4月からは、賞与を含めた総報酬制で算出することになりました。
年金制度の一元化によって、共済年金は2015年10月から廃止となりましたが、すでに共済年金を受給している人は引き続き受給できます。また、2015年9月までの共済年金に加入していた期間が1年以上ある場合は、経過的職域加算として厚生年金に上乗せして支給されます。
この上乗せ分にあたる職域加算額は次の式で求められます。
<平成15年3月まで>
平均標準報酬月額(※1)×1.5/1,000×平成15年3月以前の月数
<平成15年4月以降>
平均標準報酬額(※2)×1.154/1,000×平成15年4月以後の月数
共済年金に加入していた期間が20年に満たない場合は乗率が1/2になります。
※1 : 月給の平均額
※2 : 月給と賞与の総額(年収)÷12
上記計算式に報酬額と加入月数を入れることで職域加算額を求めることができますが、大まかな目安として共済年金の全額を知りたい人は、次の早見表で確認できます。
厚生年金の受給額早見表はこちらの記事で見ることができます。
■共済年金の受給額早見表
平均給与の求め方が平成15年4月を境に変更されているため二つに表を分けています。両方の期間がある場合は合計してください。
この金額は共済年金のみの金額なので、実際はこれに国民年金(基礎年金)の金額が加わります。たとえば、国民年金に40年間、共済年金に平成15年3月まで20年間、平成15年4月以降10年間加入し、どちらの期間も平均給与が30万円だった場合は、合計で約166万円の年金が受給できます。
■年金払い退職給付とは
2015年10月から新たに設けられた「年金払い退職給付」は、民間の企業年金に相当するものです。有期年金(10年または20年)と終身年金の二つで構成され、原則65歳からの支給となります。(60歳から70歳の間で選択することも可能です)。有期年金部分は一時金として受け取ることもできます。
職域加算は公的年金になるため、財政の運営は賦課方式となりますが、年金払い退職給付は積立方式になります。賦課方式は現役世代の保険料収入をその時代の年金受給者への年金の財源にする方法であり、積立方式は将来、自分が受給する年金を自分が現役時代に積み立てておく方法です。この積立部分は新たに保険料の負担が発生します。(労使あわせて1.5%。従来の保険料率に加算される)
これまで共済年金は、職域加算があることで厚生年金に比べて多く受給できたわけですが、年金制度の一元化によって職域部分は削減され、企業年金と同様の扱いとなる年金払い退職給付に取って代わりました。一元化前に共済年金を受給している人、2015年9月まで共済に加入していた人はその期間分の職域加算を受給することができますが、将来的にはそのような人も減っていき、共済年金は消滅することになります。
2015年以降に公務員になった人、これから公務員を目指す人などは、厳しい状況となることを見越して、iDeCoや積立NISAなども活用しながら将来に備えていきましょう。