俳優の草なぎ剛が主演を務め、来年3月にNHK BSプレミアム・BS4Kで放送される宮城発地域ドラマ『ペペロンチーノ』のロケ取材会が4日、宮城県大郷町で行われ、草なぎ、吉田羊、矢田亜希子が出席した。

  • 左から吉田羊、草なぎ剛、矢田亜希子

東日本大震災が発生して以降、被災した人たちの声を絶えず届けてきたNHK仙台拠点放送局。来年3月には震災から10年が経過する。時間と共に一体何が変わったのか、今回はドラマという手法で、揺れ動いてきた被災者の心のリアリティを見つめたいと同番組を企画。被災者の10年間の心の葛藤、また復興への歩みを描き、コロナ禍のなか小さな希望を感じられるドラマを目指す。

草なぎが演じるのは、宮城県牡鹿半島の海を望むイタリアンレストラン・paradiso(パラディーゾ)のオーナーシェフ。東日本大震災でレストランを津波に流され自暴自棄の生活に陥るが、その後、何とかレストランの再建を果たし、震災から10年となる2021年3月11日、仲間たちを店に招き、特別な思いを込めた宴を開く。

草なぎは「毎回緊張はしますが、実際に起きた災害のことなので、今になっても悲しみが癒えていない方はたくさんいる。被災された方の傷、気持ちが、自分にとってどういうものなのかと考えると、どういう風に演じたらいいのかというプレッシャーになったりもするので、頑張らないとなと思っています。震災を風化させてはいけないと思う気持ちもあったり、実際被災された方の気持ちに寄り添えるような役になればいいと思っています」と語った。

潔の妻・小野寺灯里役の吉田は「今回、震災後初めて、被災地に足を運ばせていただいたのですが、来るまでに10年かかったという申し訳なさもあり、少し緊張しています。実際の仮設住宅の様子ですとか、現地に来なければ分からなかったことはたくさんあって、そうした景色が、今回の物語やキャラクターにリアリティーを持たせてくれるだろうなと感じています。台本を読ませていただいた時に、震災というと悲しい面にフォーカスしているものが多いけれど、このドラマは悲しみや苦しみもそれを乗り越えてきた人々がいて、なお頑張り続けているというポジティブな面を描こうという気持ちを感じました。今回のドラマではそのポジティブな気持ちを描いて、表現できたらいいなという気持ちでいます」と意気込む。

そして、シングルマザー・阿部より子役の矢田亜希子は「草なぎさん演じる潔の高校の同級生で、地元の美容室で働いている美容師、震災で家族を亡くし一人で娘を育てている母親という役を演じます。この方はすごく頑張り屋でこの10年とても苦しい思いをしてき ただろうし、悲しい思いもしているけれど、人には弱音を見せずに、ずっと娘を育てて、頑張って、突っ走って、強がって生きてきている強い女性です。そこで10年という節目で、このドラマの中でみんなが集まることができて、色々、彼女にとって思うことが、潔さんの『あること』がきっかけで彼女の思いもみんなに伝わるような感じになっていると思います。たやすくできるものではないと思っておりますが、一生懸命演じたいと思いますので、どうか皆さま、見守っていてください。よろしくお願いします」と呼びかけた。

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