「仕事中にサボったことある? 」
「お前だけに言うけど、毎日サボり放題だよ。特にテレワーク中は誰にも見られていないからサボり癖がついちゃったよ」
「それ、会社にバレたらどうなるの? 」

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最近はコロナの影響によりテレワークで仕事をする人も増えましたが、誰にも見られていないという安心感からか、業務時間中にサボる人の話をよく耳にします。そこで今回はテレワークに限らず業務時間中にサボるとどんな処分があるのか、また、どんな対策が必要かについてポイントを解説します。

テレワーク中にサボったことがある人は7割

テレワークの経験があるマイナビニュース会員181人にアンケートを実施したところ、「テレワーク中にサボったことがある」と答えた人の割合は7割以上となりました。

  • テレワーク中に仕事をサボったことはありますか?

サボりの内容について具体的に聞いてみると、「動画サイトを視聴していた」「漫画を読んだりゲームしていた」「昼寝した」など明らかに業務と関係ないもの、「お菓子を食べてしまった」「コーヒーブレイク」など会社によっては問題にしないものや、「子どもが泣いてしまったので面倒を見ていた」など致し方ないと思えるものまでさまざまです。

一方、オフィスでよく目にするサボりについては、「残業代を多くもらうために仕事が終わっているのに雑談等をして帰らない」「タバコ休憩にいったら1時間は帰ってこない」などがあります。

業務時間中のサボりとは

では、テレワークに限らず仕事中にサボるとどのような処分が下される可能性があるのでしょうか?

労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」とされていますので、業務に従事していない時間は労働時間となりません。

「サボり時間」は労働時間ではありませんので、給与支給後に発覚した場合は、ノーワークノーペイの原則により、会社はサボり時間分の給与の払い戻しを求めることができます。また、労働者は労働契約に付随して「使用者の指揮命令に従い、その職務に専念する義務(職務専念義務)」がありますので、業務時間中にサボると職務専念義務違反となり、懲戒処分の対象になる場合もあります。

「バレなければ問題なさそうだし、自分から話さなければバレないだろう」と安易に考えてしまう人も多いようですが、会社はPC稼働状況から調べることができますし、メール返信が常に遅い、電話になかなか出ない等の事情があれば、疑われるのは当然です。

実際先述のアンケートでも、テレワーク中にサボったことがある人のうち、約3割が「サボったことが上司や同僚に発覚した」と回答しています。

  • サボったことが上司や同僚に発覚したことはありますか?

なにより、サボっていると成果をあげることができないので、上司からの信頼と評価が下がることはもちろん、多くの社員がサボっていると、その会社の生産性も下がるのは間違いないことでしょう。

テレワークを監視するべき?

自分の部下がサボっていることが判明した場合、上司はどのような対応をとるべきでしょうか。

頻度や程度の問題はありますが、サボり時間が短時間で初めてのケースであれば、厳重注意のうえ反省文と「今後二度としない」旨の誓約書を提出させるのがよいでしょう。それでも繰り返しサボる社員は、再度、反省文と誓約書を提出させたうえ、けん責の懲戒処分を検討します。

一方で、テレワークは基本的に誰も見ていないのでサボりやすい環境なのは間違いありません。サボる社員が多そうだからという理由で、PCにカメラ設置を義務付けてテレワーク中の社員を常に監視している会社もあるようですが、それでは監視される側はもちろん、監視する側も疲弊しますし、ハラスメント問題につながる恐れもあるのでおすすめできません。

新型コロナの影響で急遽テレワークを始めたことにより、ルールを決めていなかった会社もあると思いますが、まずは、勤務のルールを明確にして正しく勤務実態を申告することを社員に周知することが大切です。

そしてなにより、評価は「成果」重視で行うことが重要になります。「成果」重視の評価であれば、サボり時間を細かくチェックする必要性はないからです。「成果」重視で公平な評価をするために、まずは、職種ごとの職務を洗い出し、職務分析・職務評価を行うことから是非始めてみてください。

調査時期: 2020年10月24日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 181名
調査方法: インターネットログイン式アンケート

著者プロフィール:和賀成哉

社労士。大槻経営労務管理事務所所属。不動産の営業から同事務所に転職し、長時間労働の問題に取り組む中で社労士の資格を取得。「なぜできないのか」ではなく「どうすればできるのか」をテーマに、日々クライアントへの提案を行っている。また、労働と保険制度に関するセミナー講師としての顔も持つ。