30年続いた平成という時代が終わり、令和がはじまった2019年。この1年の間にはさまざまなことが起こりました。2020年も新型コロナウイルスの蔓延などをはじめ激動の年となっていますが、あらためて2019年を振り返ってみましょう。

  • 平成から令和へ

    2019年はさまざまなことが大きく変化した1年となりました

平成から令和へ

2019年にもっとも大きな話題となったのはやはり改元でしょう。元号が平成から令和へと変わりました。日本人にとって元号はとても重要なもので、歴史のひとつの区切りとしても語られます。 そこで、まずはこの改元について触れていきましょう。

30年続いた「平成」の終わり

2019年4月1日、平成に代わる新元号が発表されました。その様子はテレビやネットなどでも生中継されていたので、発表の瞬間をはっきりと覚えている方も多いでしょう。この記念すべき日を狙ったマーケティングを実施した企業も見られました。

平成という時代は約30年続きました。戦後を乗り越えて迎えた平成は、日本において一度も戦争が起こらなかった時代となります。

改元はこれまで天皇陛下の崩御にともなって皇位が継承されると同時に行われてきました。しかし、平成から令和への改元は陛下の退位による皇位継承によって行われたことから、日本全体が祝福ムードに包まれることとなったのです。これが今までの改元とのもっとも大きな違いで、その経済効果も非常に大きなものでした。

毎年、年末に発表される「今年の漢字」でも、2019年は「令和」の「令」の字が選ばれました

新元号「令和」の持つ意味とは?

改元の際、新元号は複数人の専門家によって選定が行われます。しかし、元号と特定の個人が結びつけられることは好ましくないとされるため、考案者は公表されません。

令和についても正式に考案者は発表されていませんが、その意味についてはある程度明らかになっています。

出展元となったのは現存する最古の和歌集である「万葉集」。その第5巻に収録されている「梅花の歌」から引用されました。

その作者には諸説がありますが一般的には大伴旅人と言われており、自宅での梅の花を観賞する宴で読まれたものとされています。

発表時の安部首相(当時)の談話を要約すると、令和には「春を告げる梅花のように、一人ひとりが希望に満ちた花を咲かせられる日本でありたい」という願いが込められているとのことでした。

「即位礼正殿の儀」と「祝賀御列の儀」とは?

皇位継承および改元にともなってさまざまな儀式が行われました。中でも特に注目されたのが「即位礼正殿の儀」と「祝賀御列の儀」です。

「即位礼正殿の儀」は天皇陛下のご即位を公に宣明される際の儀式です。そして「祝賀御列の儀」とは陛下が国民にご即位を披露され、祝福を受けられるための御列のことです。

「即位礼正殿の儀」は2019年10月22日に、「祝賀御列の儀」は2019年11月10日に行われました。いずれも、テレビやネットなどで大きく報道されており、記憶に新しい方も多いかと思います。いずれも新しい時代の幕開けを感じさせる儀式・行事となりました。

  • 平成から令和へ

    改元は、2019年に起きたもっとも大きな出来事と言えるでしょう

2019年の明るい出来事

2019年にはさまざまな出来事がありましたが、続いては中でも明るいものをピックアップしてご紹介します。

ラグビーW杯で日本チームが躍進

スポーツ界の明るいニュースといえば、9月20日に開幕したアジア初開催となるラグビー・ワールドカップ(W杯)の日本開催と、日本代表チームの躍進でしょう。 日本代表は開催国として国民の大きな期待を背負って戦うことになりました。グループリーグを全勝で突破し、日本ラグビー史上初のベスト8入りを果たしました。

準々決勝では強豪の南アフリカ代表に敗れるも、その健闘は世界中で称えられ、大会そのものも大成功に終わっています。

ラグビー日本代表チームがスローガンとして掲げた「One Team」は2019年末には「新語・流行語大賞」にも選ばれました。

吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞

10月9日には2019年のノーベル化学賞の受賞者が発表されました。受賞したのは旭化成の吉野彰さんです。吉野さんはリチウムイオン電池を発明したことで知られており、スマートフォンや電気自動車の普及に繋がっただけではなく、化石燃料に頼らないエコな社会の実現への貢献が評価されての受賞となりました。

今回の吉野彰さんは日本人のノーベル賞受賞者としては27人目、化学賞では8人目でした。

新海誠監督「天気の子」が記録的大ヒット

今やアニメは日本を代表する文化のひとつとなっています。2019年にも多くのアニメ作品が発表されましたが、中でも大きな注目を集めて、社会現象にまで発展したのが新海誠監督の「天気の子」です。

2016年に興行収入250億円を超える大ヒットを記録した「君の名は」に続く作品として公開前から高い注目を集めていましたが、天気の子も年末時点で興行収入140億円を突破して2019年最大のヒット映画となりました。

  • 2019年の明るい出来事

    2019年には明るいニュースもたくさんありました

2019年に起こった事件・問題

次に、2019年に起こった事件や問題を紹介します。

大型台風・異常気象による甚大な被害が発生

2019年は、多くの災害が発生した1年でもあります。特に10月12日に伊豆半島に上陸した台風19号は日本列島に大きな被害を与えました。台風以外でも大雨などの異常気象による河川氾濫なども多発し、復旧作業が進められると共に防災に対する意識がまた大きく変化した1年になりました。

あおり運転が大きな社会問題に

2019年に起こった問題として忘れてはならないのが「あおり運転」です。悪質なあおり運転の存在は2017年に東名下り線で発生した事故などからある程度知られていました。続いて発生した常磐自動車道でのあおり運転の末の暴力事件発生によって2019年には大きな社会問題となりました。

こういった出来事からあおり運転への罰則強化などの動きも高まった一年となりました。その後の2020年6月30日には道路交通法が改正され、あおり運転を含む妨害運転には5年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す厳罰化に至っています。

新型コロナウイルスの発生

現在、世界中で大きな問題となっている新型コロナウイルスですが、その発生は2019年のことでした。12月頃から中国湖南省武漢市において多くの肺炎の発生が報告され、それが新型コロナウイルスであったとされています。

「7Pay」不正アクセス問題から見える課題

数年前から東京オリンピックの開催に向けて各社が現金に代わる新たな決済方法を導入してきました。2019年にコンビニ大手であるセブンイレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングスもスマホ決済サービスとして「7Pay」の提供を開始しました。

全国に店舗を構えるセブンイレブンなどで気軽に使用できることで高い注目を集めましたが、不正アクセスによる利用の多発やシステムの脆弱性などが明らかになったことですぐにサービスは停止され、そのまま提供が終了しました。同様の問題は近年さまざまな形で発生しており、キャッシュレス化にともなう大きな課題が浮き彫りになりました。

  • 2019年に起こった事件・問題

    さまざまな問題が発生した1年でもあります

2019年に変わったこと

改元だけではなく2019年にはさまざまな制度の変化もありました。そこで、最後に2019年に変わったことをご紹介します。

消費税が8% から10% へ

2019年の変化の中でも、私達の生活に大きな影響を与えたのは消費税率の引き上げでしょう。10月から消費税はこれまでの8% から10% へと引き上げられました。食料品など一部の品目については軽減税率が適用され従来の8% のままですが、これによって消費税の計算が複雑になるといった問題も発生しています。

相続関係の民法改正

2019年には約40年ぶりに相続法が大きく見直され、4月1日から段階的に施行されました。主なものは「配偶者居住権の創設」や「自筆証書遺言に添付する財産目録がパソコンでも可能になる」「法務局で自筆証書による遺言書の保管が可能になった」といった点です。

幼児教育・保育の無償化

幼児教育・保育の無償化も2019年10月から一部ではありますがスタートしています。共働き世帯が増加したことから、育児支援は国の大きな課題のひとつでした。幼児教育・保育の無償化は課題解決の大きな一歩となっています。

とはいえ、施設や人員の不足などまだまだ解決しなければならない問題は山積みです。今後も国全体で考えていく必要があるでしょう。

  • 2019年に変わったこと

    私達の生活に関わる制度もいくつか変更されています

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2019年に平成というひとつの時代が終わり、同時に令和という新しい時代がはじまりました。それだけではなく、さまざまなことが発生し、歴史上でも重要な意味を持つ年であったといえるでしょう。

2020年も新型コロナウイルスの蔓延などによって、激動の年になっていますが過去を振り返ってみることでこれからの時代を生き抜くヒントが見つかるかもしれません。

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