株式会社伊藤園は、注意力や判断力などの認知機能の精度を高める機能性表示食品「お~いお茶 お抹茶」を12月7日より発売する。同商品の発売と、認知機能に関する課題解決を「抹茶」の研究や活動を通じて挑んでいく「ITO EN MATCHA PROJECT」の始動に関する発表会を11月18日に実施。発表会には、同商品のCMに出演する有村架純さんも登壇した。

  • 「お~いお茶 お抹茶」発表会に登壇した、伊藤園 代表取締役社長 執行役員 本庄大介氏と有村架純さん

日本初、認知機能の精度を高める抹茶製品

発表会の冒頭では、同社の代表取締役社長 執行役員の本庄大介氏が「人生100年時代と言われる昨今、生涯にわたって健康であることが大変重要。健康創造企業として、長年にわたり茶成分の認知機能に与える影響を研究してきました」とあいさつ。伊藤園が長年にわたりお茶のおいしさはもちろん、人々の暮らしや健康に寄り添い、お茶の新しい市場を創造してきたことをアピールした。

今回発表された新商品、機能性表示食品「お~いお茶 お抹茶」は、テアニンと茶カテキンの働きにより認知機能(注意力・判断力)の精度を高めることができる抹茶飲料。そのまま飲むことができる370mlのボトル缶と、パウダー状の「お~いお茶 お抹茶 POWDER」の2タイプで発売される。

  • 12月7日に発売する、機能性表示食品「お~いお茶 お抹茶」

テアニンと茶カテキンを組み合わせた認知機能カテゴリーの機能性表示食品は日本で初めてとのこと。ボトル缶タイプは摂取目安量である1日2本あたり、テアニン50.3㎎、茶カテキン171㎎が配合されている。味わいはもちろん、鮮やかな抹茶の色を保持する独自技術が使われているという。また、パウダーは、飲料用のほか、料理などにも活用できるとし、レシピなどもホームページで公開する。

取締役 専務執行役員の社三雄氏は「1990年代から認知機能に関する研究を行っていたが、これから認知機能はますます注目されていく」と、長年の研究の結果が今回の新商品につながったとコメント。茶道の先生は認知機能障害になりにくい、という説をバックボーンに研究をすすめていたという。2025年には65歳以上の3人に1人が認知機能に悩みを抱えるという予測がされており、健康課題として大きな問題となることは間違いない。そのため、生活習慣を含めた予防が大切となると解説した。

  • 伊藤園 取締役 専務執行役員 社三雄氏

発表会には、CMに出演する有村架純さんも登壇した。茶道を習っているという有村さんは「お茶の持つ力をひしひしと感じている」と、茶道の所作なども含めお茶の持つパワーを実感しているとコメント。CM撮影については「本当につい最近撮ったばかり。お着物を着させていただいて、情緒ある雰囲気になった。お抹茶がおいしいけど、おいしいだけじゃないという物語になっていたので、そういう気持ちを大事に撮影しました」と、快調に進んだことを明かした。

認知機能に関する課題解決に貢献

この日、新商品に合わせて「抹茶」を通じて認知機能に関する問題解決に挑む「ITO EN MATCHA PROJECT」の始動も発表された。これは、伊藤園の20年にわたる研究成果に基づいて、製品開発のほか共同研究やCSR活動など多角的な事業を展開。自治体や異業種とのコラボなど、意欲的に課題解決を行うプロジェクトだという。

  • 伊藤園 中央研究所 所長 衣笠仁氏

伊藤園 中央研究所の所長、衣笠仁氏は同プロジェクトについて「多角的な面からの解析を行う世界初の研究。薬ではなく食品の持つ力を実証する研究を実施することに、大きな意義があると考えている」と、その意義を語る。共同研究の取り組みとして、伊藤園と島津製作所、筑波大学発のベンチャー企業・MCBIの3社共同で、軽度認知障害(MCI)を対象にした臨床試験「抹茶の認知機能低下抑制効果」を評価する試験を2018年から実施しているという。このほかにも、他研究所などと共同で「抹茶による認知機能改善の脳内メカニズム検証研究」なども開始している。

  • MCBI 代表取締役 内田和彦氏

筑波大学発ベンチャー・MCBIの代表取締役、内田和彦氏は、研究について「日常生活で無理なく、何の意識もせずに取り組めるというのは予防の実現には非常に重要なポイント。その点、食品というのは予防の手段として非常に期待が高い」と語る。伊藤園の取り組みに共感し、その研究成果発表を2022年に予定しているそうだ。

また、プロジェクトでは自社研究のほか、茶産地の育成、認知症サポーターの育成、栄養・食育などさまざまなアプローチで健康課題の解決を目指していくという。