冬の寒さをやわらげるためには、電気ストーブのような暖房器具が役立ちます。とはいえ、暖房を使うためには電気が必要です。暖かい部屋で生活したいけれど、電気代がどのくらいかかるのか気になるという人も多いのではないでしょうか。
そこで、冬の節電・節約に役立てられるように、電気ストーブの電気代や、電気代の安い暖房器具のほか、お得な暖房器具の使い分け方などをご紹介します。
電気ストーブの電気代はどのくらい?
電気ストーブには、ハロゲンヒーター、カーボンヒーター、オイルヒーターなどの種類があります。まずは、各電気ストーブの違いと、どのくらい電気代がかかるのかについて見ていきましょう。
ハロゲンヒーターの電気代
ハロゲンヒーターは、ハロゲンランプから発生する熱で周囲を暖める暖房器具です。すぐに暖かくなるというメリットがある半面、暖められる範囲が狭いという難点もあります。
電気代は各商品によって違いはありますが、温かさの強弱を調節できるヒーターがほとんどです。日立のウェブサイトによると、1,000Wの強運転で1時間使用した場合の電気代は約27円です。同じように1kWhあたりの電力量単価を27円で計算すると、330Wの弱運転で1時間使用した場合は約8.9円になります。
カーボンヒーターの電気代
カーボンヒーターとは、電気で炭素繊維を温めることで熱を発する暖房器具です。ハロゲンヒーターと同様に、暖められる範囲が狭いため、人がいる場所だけを暖かくしたい場合に適しています。主に、遠赤外線を使うことから、体の芯からじっくり温められるというメリットがあります。
ハロゲンヒーターと同様、温かさの強弱の切り替えができるタイプが多く、山善(YAMAZEN)のウェブサイトによると、900Wで運転をした場合の1時間の電気代は約24円、300Wで運転をした場合の1時間の電気代は約8円です。
カーボンヒーターもハロゲンヒーターも、スイッチは300~1,200W程度までの切り替え式が主になっています。W数が少なくなればそれだけ電気代も低くなるため、できるだけ電気代を抑えたい場合は、低いW数に設定できるヒーターを選ぶといいでしょう。
オイルヒーターの電気代
オイルヒーターは、器具内のオイルを電気で温め、オイルで温まった放熱板から熱を伝える暖房器具です。ハロゲンヒーターやカーボンヒーターとは違い、部屋全体を暖めることができます。また、エアコンのように風を出さないため、室内の乾燥を防ぐこともできます。
オイルヒーターも、弱、中、強といった温かさの切り替えができ、暖房の強さによって消費電力が変わるため、かかる電気代に違いが出ます。なお、オイルヒーターはオイルを温めるまでは電気代がかかり、その後は電気代の消費がゆるやかになる傾向があります。
おおよその電気代の目安として、デロンギヒーターのウェブサイトによると、16℃の6畳の寝室で1時間エコ運転(自動で部屋の温度等に適した設定に切り替えながら運転を行う機能)をした場合、約7.8円というメーカー発表があります。
ただし、通常運転で温度設定を考えずに1,500Wで1時間使用した場合、40円程度かかるケースもあります。部屋全体を暖められる分、電気代はハロゲンヒーターやカーボンヒーターよりもやや高めになる傾向があるといえるでしょう。
寒い冬を節約して上手に乗り越えられる暖房器具は?
暖房には、電気ストーブ以外にもさまざまな物があります。その中で、一番電気代が安くて節約になる暖房はいったい何になるのでしょうか。
電気ストーブ以外の暖房器具といえば、エアコン、こたつ、ホットカーペットを思い浮かべる人が多いかもしれません。エアコンは部屋全体を暖めるのに適していて、こたつとホットカーペットは、その場所にいる人を温めるための暖房器具です。
暖房器具のサイズや製造時期にもよりますが、それぞれの電気代の目安は下記のとおりです。
<1時間あたりの電気代目安>
- エアコン:約3~40円
- こたつ:約2~5円
- ホットカーペット:約11~15円
3つの中で、電気代が最も安いのは、こたつです。ただし、エアコンとこたつの電気代は、室温や部屋の広さ、稼働時間などによって大きく変わってきます。また、ホットカーペットも広さや設定温度によって消費電力が変わりますので、あくまでも目安となります。
暖房器具を使い分けることが節約につながる
暖房代を節約するには、暖房器具の特徴を知ったうえでうまく使い分けたり、併用したりするのが効果的です。続いては、賢い暖房の使い方を知っておきましょう。
暖房器具それぞれの特徴を知る
電気ストーブの中でも、ピンポイントで部屋の空気を暖めるのに適したハロゲンヒーターやカーボンヒーターと、部屋全体の空気を暖められるオイルヒーターでは、適したシーンが変わります。また、同じスポットを暖める暖房器具でも、ハロゲンヒーターとこたつやホットカーペットでは、便利なシーンが変わるでしょう。
家族で机を囲みたいときはこたつ、室内でのびのびと子どもを遊ばせたい、広い空間でくつろぎたい場合はホットカーペットがおすすめです。ただし、ホットカーペットで部屋全体を暖めることはできませんし、カーペット以外の部分は寒さを感じることになります。部屋全体を暖める場合は、設定温度に気をつけてエアコンを使うのが、電気代を抑えられる方法です。
また、家事で台所作業やテレワークをするときなど、手元や足元を温めたいならハロゲンヒーターなど、それぞれの特徴に合わせて使い分けましょう。
暖房効果を高めるコツ
効率よく暖房を活用するには、複数の暖房器具を併用したり、熱を逃がさない工夫をしたりするのがおすすめです。
窓に厚手のカーテンをかけたり、こたつ用の断熱シートを利用したりすることで、冷気を防いで温かさを逃がさない工夫ができます。また、エアコンとサーキュレーターを同時に使うと、室内を効率よく暖めることができますし、エアコンで部屋を暖めた後でオイルヒーターを使うと、部屋の乾燥を防ぎながら温かさを維持することができます。
やってはいけない暖房器具の使い方
便利な暖房器具ですが、使い方を間違えると大きな事故につながってしまうこともあります。暖房を使うときの注意点を、あらためて確認しておきましょう。
エアコンの設定やオンオフをこまめに行わない
暖房にかかる光熱費を下げるために大切なのが、エアコンの設定をこまめに変えたり、つけたり消したりを頻繁に行わないことです。エアコンは設定を変えたり、スイッチを入れたりしたときに多く消費電力を使用するため、1時間のうちに何度も設定を変える、オンオフするといった行為は避けましょう。
また、エアコンやこたつのつけっぱなしにも注意が必要です。うっかりエアコンをつけっぱなしで会社に行ってしまったり、誰も入っていないこたつのスイッチを入れたままにしてしまったりしないようにしましょう。不安な場合は、タイマー機能を活用するのがおすすめです。
酸素が薄くならないように適宜換気する
暖房器具を安全に使うために、最も気をつけなければいけないのは、火事と換気です。灯油ストーブのように、直接火を燃やすタイプの暖房だけでなく、電気ストーブやこたつでも、近くに燃えやすい物を置くと、燃え移ってしまうリスクがあります。布団の近くにストーブを置いたり、洗濯物を乾かそうと近くにかけたりしないようにしましょう。
また、冬場は換気がおろそかになりがちですが、適宜窓を開けて換気を行うことをおすすめします。特に、室内の空気を燃焼するガスストーブなど、ガスを使っている暖房器具は、換気をしないと室内の酸素が薄くなり、一酸化炭素中毒になる危険性があります。併せて、加湿器などを置いて、空気の乾燥を防ぐことも意識しましょう。
効率のいい暖房方法を知って、冬を快適に過ごそう
同じ電気ストーブの中にも、スポットで温かさを感じられる物や、部屋全体を暖められるものなど、さまざまな特徴があります。自分のお部屋のサイズや環境に合う電気ストーブを選ぶようにしましょう。
効率よく暖房器具を使うことで、少ない光熱費で温かい暮らしを実現できます。ひとつの暖房器具に頼りきりになるのではなく、さまざまな暖房器具を組み合わせたり、シーンによって使い分けたりしながら利用することが大切です。