女優の中条あやみが主演を務める映画『水上のフライト』が、第33回東京国際映画祭の特別招待部門正式招待作品として4日に東京・EXシアター六本木で上映され、中条、小澤征悦、兼重淳監督、スポーツ庁長官の室伏広治氏が舞台あいさつに登壇した。
本作は、有望な走り高跳びの選手ながらも不慮の事故に遭い、二度と歩けなくなったヒロインの藤堂遥(中条)が、競技用カヌーと出会い、夢を実現させていくという、実話から着想を得たサクセスストーリー。
体育大学の学生でさえ、乗るのに1カ月かかると言われる競技用カヌーだが、中条は代役を立てず、見事に乗りこなした。「ボディダブルさんじゃなくて、自分でしっかりと漕いで、臨場感がスクリーンに出ればいいなと思い、毎日練習していたので、全部自分でやることができて良かったなと思いました」
コーチ役の小澤は、競技用のカヌーの難しさについて「僕も競技用のカヌーに乗せてもらったんですが、『手を離しますよ』と言われて、離された瞬間、落ちました」と苦笑い。中条について「なんか、空を飛んでいる鳥のように見えました。そういう台詞があるんです。『水面を渡る風になれ、遥』という台詞があるんです」とその姿に感動したとうなった。
オリンピックの金メダリストで、スポーツ庁長官の室伏氏は、本作について「人生の困難を多くの仲間と共に乗り越えて、明るいものが見えたという映画だったと思います」と大いに感動した様子。
また、中条のカヌーの腕前についても「やっていたんじゃないかと思うくらい、バランスが良くて。ハイジャンプをするシーンも、まさにハイジャンパーだなと。タレント(才能)もあって、努力もされて、スポーツのシーンも素晴らしいシーンになったのではないかと」と大絶賛すると、中条は「その言葉をいただいただけで、この映画は金メダルですね」とハニカミ笑顔を見せた。
コロナ禍で公開が延期となっていた本作だが、兼重監督は「僕は、東京国際映画祭の舞台に立つことが夢でした。予定通り公開されていたら、いまこの舞台には立ってないので、コロナ禍でも、いいことがあったなと。本作が、パラスポーツに関わるすべての人が前向きに生きていただくきっかけになればいいなと思っています」と力強く語った。
『水上のフライト』は11月13日より全国公開。