こんにちは、昭和の街並みと温泉が大好きな筆者です。コロナ禍により、久しく温泉(どころか旅行も)に入っていないため、禁断症状が出ています。

そんな病気? で悶々とする筆者に、「11月1日から、熱海に新しい温泉宿が開業するらしいよ。見学してくる?」と編集長からグッドニュースが。もしかして、温泉も体験できるかも!? と邪な考えも抱きながら、行ってきました。

  • 昭和の香りが残る温泉街、熱海へ

昭和の街並みが残る熱海

熱海は古くからの温泉街で、特に昭和30年代は高度経済成長期の背景もあり、数多くの観光客が訪れた場所。最近は2016年に駅ビル「ラスカ熱海」ができるなど、低迷から経済回復しつつあることで再注目されています。

ただ、再開発も一部のため、街のあちこちに昭和感ある建物や街並みが残っています。これが、たまらない魅力ですねー、仕事そっちのけで、ウロウロしてしまいます。

  • 商店街に吸い寄せられる

  • 歴史を感じるビルディングがたまらない

温泉宿「SOKI ATAMI」へ

昭和の街並みを満喫した筆者、ようやく本来の目的である温泉宿「SOKI ATAM(ソキ アタミ)」へ向かいます。

名称のSOKIは「素の器」から由来し、無用に飾らない、ありのままの素材を楽しむ場所を意味するそうです。そして、これが施設全体のコンセプトにもなっています。

  • 「SOKI ATAMI」はJR熱海駅から車で約10分の場所にある

具体的に言うと、レセプションまでの仰々しくない、控えめなアプローチや、「里庭」と呼ばれる飾り気のないエリアなどが、まず目に付くでしょう。ちなみに里庭では、伊豆半島でよく植えられる柑橘類や季節野菜、ハーブなどを栽培し、宿泊者への食事にも出てくるそうです。

実際、周囲は普通に民家があるので、筆者もスマホの地図を片手に向かいつつ、本当にこんな場所にあるのか半信半疑。それくらい、存在感をうまく消している印象でした。

  • 控えめなアプローチ

  • あえて素朴な造りにした「里庭」

また、客室のある建物の廊下も天井の仕上げをあえて隠さないなど、徹底していました。

  • 天井のパイプなどがむき出しの廊下

自然素材をそのまま生かすべく、廊下や客室の壁を和紙で処理したり、客室の中に木を多く使ったりしているそうです。

なお、客室は10タイプあり、部屋数は54室。すべての部屋に温泉が備わっていて、プランはすべて食事付きとなります。

温泉好きから女子旅まで

本施設の企画・設計・運営を手掛けたUDSの渡邊絢香さんは、「30~50代の旅慣れた方、また熱海という土地柄から『女子旅』でも利用してほしいと考えています」と話してくれました。

確かに、熱海といえば、比較的安い温泉宿か、超高級のリゾート方の宿泊施設が多い印象です。そういう意味では、価格がミドルクラスの施設はニーズがありそうですね。

見学した「スタンダートツイン」(3万5,000円~/2名利用時※最大3名宿泊可能)ですが、コンセプト通り自然素材をうまく取り入れて、いい感じでした。「映え」を意識する女子たちにも好印象を与えそう。

  • 「スタンダートツイン」(3万5,000円~/2名利用時※最大3名宿泊可能)

  • 逆側より

  • 内風呂は強い香りが特徴の木材「ひば」で作られている

あと、面白かったのは「フォレストツイン」(3万8,000円~/2名利用※最大3名宿泊可能)というタイプ。熱海といえば、海を連想するし、この施設にも「オーシャンビュージュニアスイート」(5万2,000円~/2名利用時※最大3名宿泊可能)とそのままの部屋もあります。

ただ熱海は山も近いので、その立地を生かしているんですね。

  • 「フォレストツイン」(3万8,000円~/2名利用※最大3名宿泊可能)

  • オーシャンビューならぬ、フォレストビュー

細かい部分まで配慮した設計

あと、細かい部分ですが、部屋に用意されたお茶菓子は、地元の有名なパン屋「久遠(KUWON)」による麦粉菓子が提供されたり、部屋の清掃の必要か不要かを伝えるサインを関守石と中津箒で伝えたりするなど、いろいろこだわっていて女子ウケしそうです。

  • 熱海の有名なパン屋「久遠(KUWON)」による麦粉菓子

  • 関守石(右)と中津箒(左)

それと、各部屋にお風呂はありますが、大浴場もあります。

渡邊さん: 部屋の温泉を楽しんでもらうのが一番ですが、大浴場は季節湯として、柑橘類や和漢植物で四季折々の変化を感じてもらえます。また女性浴場のみ、スチームサウナも設けています。

  • 「大浴場」は小さめの造り

  • 女性専用のスチームサウナ 提供:shuhei tonami

伝統的な湯治の一つである蒸気湯から着想を得て、スチームサウナを用意したと渡邊さんは説明してくれました。いやぁー、いいですね。ぜひ体験したい!※女性専用です

オジサンの目論見外れる

この他の客室では、「テラスプレミアムツイン」」(4万6,000円~/2名利用※最大4名宿泊可能)や、1室しかない「SOKI スイート」(6万9,000円~/2名利用※最大4名宿泊可能)などもあります。

特にSOKI スイートは部屋の壁を左官職人さんによる手塗りで仕上げたり、石工職人さんがてがけた「石」が部屋の中央に置かれたりするなど、かなりのこだわりを感じる仕上がりです。

  • 「SOKI スイート」(6万9,000円~/2名利用※最大4名宿泊可能) 提供:浅川敏

  • 「SOKI スイート」の内風呂 提供:浅川敏

また、客室以外にも、熱海湾を望める最上階にある「茶寮」はパブリックスペースとして利用できるし、別棟にあるダイニングルームは炭火の炉があるオープンキッチンが印象的で、ゆったりとした空間で食事を楽しむことができるそうです。

  • 最上階にある「茶寮」では「季節の養生茶」や熱海特産の橙の果実酒などを楽しめる

  • 熱海湾の花火も楽しめる眺望

  • 中央にある「炭火の炉」が印象的なダイニングルーム

渡邊さんに丁寧に紹介してもらった後、では、そろそろ温泉体験を……と切り出そうとしたところ、「これで見学時間も終了です。申し訳ありませんが、次のお客様がお待ちなので!」と完ぺきな笑顔と共に、颯爽と立ち去ってしまいましたよ、トホホ。

残念ながら筆者の( 邪な)願いは叶わずでしたが、いい感じの場所でした。次は休みを取って来たいですね、ワークライフバランス大事。あ、編集長。え、ワークがない? そんなハズは……。

※料金はすべて「税サ・入湯税込」

●information
SOKI ATAMI
住所:静岡県熱海市小嵐町4-36