映画『十二単衣を着た悪魔』(11月6日公開)の完成報告会見が20日に東京・セルリアンタワー能楽堂で行われ、伊藤健太郎、三吉彩花、伊藤沙莉、山村紅葉、笹野高史、LiLiCo、黒木瞳監督が登場した。
同作は脚本家・小説家の内館牧子による長編小説『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』の実写化作。就職試験を立て続けに落ちているフリーターの雷(伊藤)は、激しい雷雨に見舞われ気を失い、目覚めると1,000年以上も昔に紫式部によって書かれた『源氏物語』の世界にいた。アルバイト先で配られた『源氏物語』のあらすじ本のおかげで陰陽師として弘徽殿女御(三吉彩花)に見出され、息子を帝にしようと野心に燃える弘徽殿女御に翻弄されながらも次第に触発され支えていこうと決心する。女優の黒木瞳が監督を務める。
主人公・雷との共通点を聞かれ「あの平安時代に急に飛び込んで、意外とすんなりと対応していく姿。今自分が平安時代にタイムスリップしたら、最初は驚くだろうけど、対応するだろうなというところはちょっと似ているかも」と答える伊藤健太郎。黒木監督は「最初からスタッフの中で、伊藤健太郎さんでという想いがありまして、受けて下さるかしらと不安がありました。たまたま私が出演しているラジオ局の番組の収録に行く際に、エレベーターのドアが開くと、真正面にポスターが貼られていまして、エレベーターが開くと伊藤健太郎さんがいらっしゃる。この方が雷ちゃんを演じてくれたらなぁと思っておりましたが、念願かなって嬉しかったです。ずっと見つめて、いいえ、見つめられてて良かったです」と伊藤健太郎の出演を熱望していたという。そのラブコールっぷりを聞かされた伊藤健太郎は、「見つめててよかったです」と笑顔を見せた。
弘徽殿女御を演じた三吉は「ここまで強い女性を演じたのは初めてなんですけれども、だんだん自分の息子の為にとか誰かのためにとか愛情をもって何を犠牲にしてでも貫いていく姿勢に、この人についていきたいなと自然に感じることができて、弘徽殿女御への熱い想いを聞かせていただいて愛着がわいてきました。監督からセリフの発声の仕方から、滑らかさ、強さ、高さなど、細かく指導していただきました」と明かす。黒木監督は、「ヘア、十二単衣が似合う三吉ちゃん以外、弘徽殿女御はいないと思いました」と太鼓判を押した。
伊藤健太郎との共演経験もある伊藤沙莉は、今回雷の妻役で登場。黒木監督がテレビを見てオファーしたという話に「凄くシンプルで嬉しかったです。現代を生きる女性は演じてきましたが、時代を超えて生きる女性を演じることが少なく、経験として踏まなければならないと思っていた時期にオファー頂いて、黒木組でその経験が出来たのがすごく嬉しかったです」と喜びを表す。黒木監督は「連ドラに出ている沙莉ちゃんをみて、倫子がいると思ってテレビ画面を写メっていました。後日制作プロデューサーに沙莉さんを提案してみると、なんと制作プロデューサーも私に提案しようと思ってくださってたみたいで」とイメージにぴったりのようだった。
「タイトルにちなんで、この人、こういうところが悪魔だなと思った経験」について聞かれると、山村は「普段監督は天使だと思っているのですが、撮影中、ダイエット企画であと3㎏痩せないといけない状況なのに、監督は寒いのでと気遣ってくださって、温かい豚汁、おどん、炊き込みご飯などご用意くださってたのに、私は冷たいサラダを食べてまして、この時監督が“悪魔”に見えました」と監督悪魔説を暴露し、キャストは大爆笑。
主演を務めた伊藤健太郎は、最後に「こういった時期に、公開が近づいてきて、能楽堂という場所で、皆様に完成を報告する機会を設けられたことを、光栄に思っています。主人公の雷の様に、映画の中にタイムスリップしていただき、ちょっとした非現実的体験をご体験頂ければと思っております。公開しましたら、是非劇場に足を運んでくださればと願っています」と締めくくった。