浴室乾燥機は一般的に、換気、暖房、涼風、乾燥という4つの機能があります。冬場に浴室内を暖めたり、夏場に冷やしたりするだけでなく、洗濯物の乾燥に使っている方も多いのではないでしょうか。しかし、日々の使用頻度が高くなると、電気代がどれぐらいかかるのか気になるところです。
ここでは、浴室乾燥機にかかる電気代の目安と、その節約方法についてご紹介します。
浴室乾燥機の電気代の目安
浴室乾燥機にかかる電気代は、換気、暖房、涼風、乾燥という主な4つの機能のうち、どれを使うかで大きく変わります。電気代は乾燥モードが最も高く、暖房、涼風、換気の順に安くなっていきます。
各モードでの消費電力は、メーカーや機器によって多少の違いはありますが、その差はそれほど大きくはありません。まずは、各モード別にどのくらいの電気代がかかるのかを見ていきましょう。
乾燥モード
乾燥機能を使う場合の電気代は、1時間あたりおよそ32~40円前後が平均といわれています。1人あたりの1日の洗濯物の量は約1.5kgで、ワイシャツやカットソー、肌着、パジャマ、下着、タオル2枚分の量に相当します。
浴室乾燥機で、2kgの洗濯物を乾かすのにかかる時間は、およそ2.5~3時間が目安です。これらを踏まえると、1人で1日分の洗濯物を1回乾燥させるときにかかる電気代は、乾燥時間が2時間とすると約80円。4人家族で6kgの洗濯物があり、乾燥時間が7.5~9時間かかるとするなら、電気代は1日あたり300~360円となります。
暖房モード
冬場に活躍する暖房モードの電気代は、1時間あたり約35~40円と、ほぼ乾燥モードと同じ水準です。ただし、暖房モードはお風呂に入る前に使うため長時間の使用はなく、家計への負担はあまり大きくありません。暖房モードを使って入浴前の30分間浴室を暖めた場合、1回あたりの電気代は約17~20円です。毎日使ったとして、1か月525~600円程度になります。
涼風モード
夏場に使う冷風モードの電気代は、1時間あたりおよそ1~2円程度です。入浴中に涼風モードで浴室を冷やすとすると、入浴時間が1時間として、1回あたりの電気代はおよそ1~2円。1か月でもおよそ30~60円程度です。
換気モード
換気モードの電気代は浴室乾燥機の機能の中では最も安く、1時間あたりおよそ0.5円程度です。24時間つけていたとしても、1日あたりの電気代はおよそ12円。1か月で360円程度になります。
浴室乾燥機の電気代、一人暮らしだといくら?
参考までに、上記の金額で各モードを毎日使用した際の1か月あたりの金額をまとめてみました。
使用モード | 1時間あたりの平均電気代 | 1か月あたりの電気代(1人暮らしで毎日使用した場合) |
---|---|---|
乾燥モード | 32~40円前後 | 1,920円~2,400円(毎日2時間使用想定) |
暖房モード | 35~40円前後 | 525~600円(毎日30分使用想定) |
涼風モード | 1~2円前後 | 30~60円(毎日1時間使用想定) |
換気モード | 0.5円前後 | 360円(毎日24時間使用想定) |
浴室乾燥機と洗濯機の乾燥機能の違い
洗濯物を乾かすには、浴室乾燥機のほか、洗濯乾燥機についている乾燥機能を使う方法があります。洗濯乾燥機には、ヒータータイプとポンプタイプの2種類がありますが、1回の乾燥にかかる電気代は、ヒータータイプで約50~60円、ポンプタイプで約15~20円程です。
浴室乾燥機で乾燥させた場合の電気代は約80円なので、一人暮らしの場合で考えても、浴室乾燥機を使うのは割高といえるでしょう。
しかし、浴室乾燥機での乾燥は、洗濯物がしわになりにくいというメリットがあります。デリケートな繊維の衣類も乾燥できますし、外で干した後の仕上げ乾燥だけといった使い方も可能です。洗濯物の外干しを避けたい方は、浴室乾燥機のほうが向いているといえるでしょう。
浴室乾燥機を使うのにおすすめのシーン
ここでは浴室乾燥機を特に効果的に使えるシーンをいくつかご紹介します。
悪天候のとき
雨が降ったり風が強かったりする悪天候の日は、ひさしがあったとしても外干しをしづらいですよね。そんなときこそ、浴室乾燥機が大活躍します。梅雨や台風のシーズンなどには特にそのありがたみを感じることでしょう。
部屋干しのにおいが気になるとき
室内で衣類を乾かした際に発生するあのイヤ~な臭い、皆さんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。乾燥までに時間を要する部屋干しでは雑菌が繁殖しやすくなり、生乾きのような特有のにおいが発生します。
浴室乾燥機は短時間で乾燥させることが可能なので、部屋干しのにおいが発生しにくいと言われています。
花粉が気になるとき
スギ花粉に代表されるような花粉は、アレルギー体質の人にとって大敵。外干しをしているときに衣類に花粉が付着してしまっては、せっかくの洗濯効果が薄まってしまいます。そのようなケースにも積極的に浴室乾燥機を使うことを推奨します。
浴室乾燥機の乾燥目的以外の使い方
ここからは乾燥目的以外の賢い浴室乾燥機の使い方をご紹介します。目から鱗の使用方法があるかも!?
ヒートショックリスクの低減
ヒートショックとは、急激な温度変化に伴う血圧変動で身体がダメージを受けることです。暖かい場所と寒い場所を行ったり来たりすると、私たちの血管は収縮と拡張を繰り返します。その結果、心臓に負担がかかり、場合によっては心筋梗塞や脳卒中につながりかねません。
この急激な温度変化に伴うヒートショックリスクの低減に一役買ってくれるのが、浴室乾燥機の暖房モードです。暖房モードで脱衣所や浴室を事前に暖めておけば、血圧の乱高下を防ぎやすくなります。特に高齢者や心臓病、糖尿病などの持病を抱えている人が家族にいるご家庭では、積極的なヒートショック対策としての暖房モード活用をおすすめします。
さわやかバスタイムの演出
湿った空気を排出しながら常温の空気を浴室内にもたらしてくれる涼風モード。この機能は、暑い季節に湯船につかる際に使用すると便利です。湿気を取り除きながら適度な風が送られてくるため体がほてりにくく、さわやかなお風呂時間を満喫しやすくなるでしょう。
浴室乾燥機の電気代を節約する方法
浴室乾燥機は洗濯物がしわになりにくいので、電気代を節約しながらうまく活用したいところです。浴室乾燥機の電気代を節約するには、下記のような方法があります。
電気代が安い時間帯に使う
オール電化住宅で、特定の時間帯だけ電気代が安くなるプランの場合は、その時間帯に使うようにすることで、電気代を節約できます。
例えば、東京電力の場合、オール電化向けのスマートライフLプランは、午前6時~翌午前1時までの電気代が1kWhあたり約25円、午前1時~午前6時のあいだは1kWhあたり約17円と設定されています。午前1時~午前6時のあいだに使ったほうが、1kWhあたり約8円安くなります。
なお、夜の電気代が安いプランに加入していない場合は、気温が高い昼間に乾燥させたほうが乾燥にかかる時間が短縮される分、電気代を節約できます。
エアコン、扇風機を使っての部屋干しを併用する
浴室乾燥機の電気代を下げるには、乾燥機の稼働時間を短くするのが最も効果的です。室内干しができるなら、洗濯乾燥機は使わず、エアコンや扇風機の風で乾かすようにすれば、電気代をかなり節約できます。
今まで、毎日3時間浴室乾燥機を使っていたのを、できる限り部屋干しするようにして、浴室乾燥機での乾燥を3日に1度にしたとしましょう。1時間あたりの電気代を40円とすると、40円×3時間×365日=年間43,800円かかっていた電気代が、43,800円÷3=14,600円となります。1年間で、29,200円の節約になります。
ある程度、部屋干ししてから浴室乾燥機で乾燥させることで、浴室乾燥機の稼働時間が毎日1時間短くなるだけでも、40円×365日=14,600円が節約できます。
浴室内の水分を拭き取る
浴室内に湿気が残ったままだと、衣類の乾燥に時間がかかり、浴室乾燥機を使う時間が余計に長くなってしまいます。浴室乾燥機で洗濯物を乾かす際には、まず壁や床についた水滴を拭き取り、換気モードを使って浴室内を乾燥させておくことが大切です。浴槽にお湯を残したまま乾燥機能を使う場合は、必ず浴槽に蓋をしておきましょう。
こまめにフィルターを掃除する
浴室乾燥機のフィルターが汚れていると、送風の効率が落ち、乾燥に時間がかかってしまいます。1か月に1度を目安にフィルターを掃除し、ほこりや汚れを取り除いておきましょう。
省エネ機能つきの機種を選ぶ
新しい機種の中には、省エネ機能により、消費電力が抑えられている浴室乾燥機もあります。
例えば、パナソニックの浴室乾燥機の場合、6kgの洗濯物の衣類乾燥にかかる電気代は、従来の電気ヒーター式だと約174円でしたが、ヒートポンプを採用した省エネ機能搭載機種では、約48円へと大幅にダウンしています。
新しく浴室乾燥機を導入するなら、省エネ機能つきの物を選ぶようにするといいでしょう。
電気代そのものを節約する方法は?
浴室乾燥機の電気代を抑えるには、乾燥機の使い方や機種を見直すほか、電力会社や電気の契約そのものを見直すことも有効です。その際には、下記のような点をチェックしてみましょう。
支払い方法を見直す
電気代の支払い方法は、振込、口座振替、クレジットカード払いがあります。電力会社の中には、口座振替だと割引サービスを行っているところもあり、月55円の割引で、年間660円お得になります。
一方、クレジットカード払いを利用すれば、カード会社のポイント還元を受けることができます。どちらが得かは電気代の額やクレジットカードの還元率によりますが、どちらにせよ、支払い方法を見直すことで、電気代を節約できます。
契約アンペア数を見直す
電力会社との契約にはさまざまなものがありますが、最も多くの方が利用しているのは、電気の使用量によって電気代が決まる「従量電灯プラン」です。従量電灯プランの基本料金は、契約したアンペア数が大きいほど高くなりますので、契約アンペア数を下げることで電気代を節約できます。
注意点は、アンペア数を下げると、一度に使える電気の量が少なくなることです。電気を最も消費する冬の電気量に合わせて、アンペア数を下げるか検討することをおすすめします。
電力会社の契約を見直す
電力会社の契約プランには、従量電灯プランのほか、時間帯によって電気代が変動するものや、電気とガスをまとめると割安になるものなど、さまざまな種類があります。
例えば、日中はほとんど家におらず、電気は夜に使うことが多いのに従量電灯プランになっている場合、夜間の電気代が安くなるプランに乗り換えれば、電気代を節約することができます。
電力会社を見直す
2016年4月の電力の小売全面自由化により、消費者は電力会社を自由に選べるようになりました。各社で料金が違うのはもちろん、「携帯電話料金やガス代とまとめることで電気代がお得になる」「一定量まで定額使い放題」「ポイント還元が受けられる」といった特典もあります。
場合によっては、年間1万~2万円の違いになる場合もありますので、自分の生活スタイルに合った電力会社があるなら、見直すことをおすすめします。
浴室乾燥機は使い方を工夫すれば、上手に電気代を節約できる
浴室乾燥機の乾燥モードは、洗濯乾燥機に比べれば電気代が割高ですが、洗濯物がしわになりにくいといったメリットもあります。
使いこなすと大変便利ですので、電気代が安い時間に使ったり、部屋干しと併用したりと、工夫しながら使うようにしましょう。
電気代自体を下げるためには、電力会社や電気の契約、支払い方法の見直しなども役立ちます。電気代を節約しつつ、賢く活用してみてください。