ハイブリッドの4WDは雪国の最適解?

次は電気式4WDシステム「E-Four」を登載するHVの「Z」グレード。こちらはシルバーメタリックのボディーにブラックルーフの2トーンで、内装は前の2WDモデルと同じブラウン合皮/ツイードファブリックだった。パワートレインは前出のTHSⅡだが、リアに5.3PS(3.9kW)/5.2Nmのモーターを追加して電気式の4WDシステムとしている。

スタートすると、発進時にはリアモーターがアシストしてくれるので出だしが力強く、街中の走りでは80キロほど増えた車重のせいで全体に落ち着きが出て、舗装工事中の荒れた路面や段差でも後ろが跳ねる感じがしないのがいい。

  • トヨタの「ヤリス クロス」

    HVの4WDモデル

シフトレバー下にはE-Four専用のモードダイヤルがあり、「TRAIL」と「SNOW」の2つのモードが選択できる。TRAILモードは悪路でスタックした時の脱出用で、SNOWはもちろん雪道用だ(こちらの詳細はオフロード走行編でどうぞ)。

4WDシステムは小型なので積載能力に変わりはなく、試乗中は20km/L超えと燃費がそれほど落ちるわけでもない。となると、北海道など、積雪が多く長距離移動が多いシチュエーションで使用するユーザーには、E-Fourがベストな選択といえるだろう。

  • トヨタの「ヤリス クロス」

    E-Fourモデルが搭載するTRAILモードダイヤル

ガソリンモデル4WDで広がる行動範囲

最後のガソリンモデルはシンプルなFFの「G」モデル。シルバーの外装にブラックのファブリックインテリア、双眼鏡のようなデザインのデジタルメーターという組み合わせで、搭載する1.5Lリッター3気筒「M15A-FKS」ダイナミックフォースエンジンは120PS(88kW)/145Nmを発生する。

  • トヨタの「ヤリス クロス」
  • トヨタの「ヤリス クロス」
  • ガソリン「G」モデルのブラック内装。メーターは双眼鏡のようなデザイン

3気筒エンジンは発進時や加速時にそれらしい音がして少し興醒めするが、1,120キロと軽い車重をいかした走り自体はとてもいい。トランスミッションはCVTだが、パーシャル状態から軽くアクセルを踏んだ時にボディの動きがきちんとリンクしていて、昔のそれとはまるで違う走りを見せてくれた。

試乗会場に用意された疑似オフロードコースでは、ブラスゴールドメタリックのガソリン4WDモデルにも乗り、専用のマルチテレインセレクトを試してみた(これもオフロード編参照)。こちらは上位モデルの「RAV4」と同じシステムで、モーグルや岩場など凹凸の大きい場所用の「ROCK & DIRT」と、砂浜や泥ねい地など滑りやすい路面用の「MUD & SAND」の2つを選択することができる。ヤリス クロスで行動範囲を広げたいユーザーにはこちらがお勧めだ。

  • トヨタの「ヤリス クロス」

    ガソリン4WDモデルはマルチテレインセレクトを搭載。悪路走破能力が最も高い