就活をしているときによく聞いた「ゼネコン」という言葉。ゼネラルコンストラクターの略称だということは知っていても、実際にどんな仕事をしているのか詳細まで知らない方が多いのではないでしょうか。

今回は就活生のみなさんにもビジネスパーソンにもわかりやすいゼネコンとは何を指しているのか、その仕事内容はどういったものなのかわかりやすく解説していきます。

ゼネコンとは

まず「ゼネコン」について解説していきます。

  • ゼネコンとは

    ゼネコンとは

ゼネコンの意味

ゼネコンとはゼネラルコンストラクターの略称で、マンションやビル、施設などそれらを含めた「建物」を作る「総合建設業者」を指します。

総合という言葉が入っていますが、すべての建設工程を自社のみで行うわけではなく、施工全体の管理を担当し、実際に実務を担当する下請け業者に対して指示を出し、まとめる役割を持っています。

ゼネコンの定義として総合的であるか否かという点がありますが、実際のところ、明確な定義があるわけではありません。しかしある程度大きな資金源がないと、土木関係者をまとめることができない点や、設計・施工・研究をすべて自社で行っているかといった点で判断されています。

ゼネコンを英語で言うと

ゼネコンを英語で表記すると "General Contractor" になります。英語圏でも同様に表記されます。

ゼネコンの役割と仕事内容

では実際にゼネコンはどんな仕事をしているのでしょうか。建物が作られるまでの過程は次のように分けられます。

(1)営業 (2)設計 (3)施工 (4)竣工

それぞれを具体的にみていきましょう。

営業

まず営業ですが、新規開拓をするというより、既存顧客に対して長いお付き合いをするBtoBの関係性が主です。営業先も大きく分けると2種類あり、公共工事なのか民間工事なのかによっても仕事内容が変わってきます。

競争入札によって行われる公共工事は全案件が公開されているため競争倍率も高く、利益率が低いのが特徴です。そのため、一般企業に対して営業を行い獲得する案件の民間工事の方が利益率が高く、こちらにシフトするゼネコンも多いようです。

ゼネコンの営業は既存顧客に対して長期的に関わっていくことになるので、大切なのはいかにクライアントと信頼関係を築けるかどうかです。

設計

次に設計ですが、受注につながりそうな案件のニーズを的確に理解し、土木・建築・設備などの専門的知識を駆使し、図面にしていくのが仕事です。技術と経験があるからこそクライアントが何を求めていて、どんな期待をされているのかを理解し提案をします。

この段階で図面を作成するのは、概算の工事費を算出するためです。このとき、極力低コストで質の高いものを設計できるように何度もチェックをします。そして実際に工事が始まると、クライアントのイメージ通りに現場が進捗していくかその管理と確認を行います。

施工

積算担当者が設計の出した図面をもとに全体の工事費を確定させ、営業担当とともにクライアントに提案をし、契約が決まるとやっと着工となります。

工事を進めるうえでけがや事故がないように現場の安全管理をし、労働時間や安全確保を行います。そして、ゼネコンの指示のもとで計画通りに建築工程が進捗しているかを管理します。また、元々の予算内で費用が収まるように全体の原価管理を行いながら、決められていた設計図通りの材料で進んでいるかどうか、建物の品質管理を徹底します。それらを通じて、工事が無事に完了するような進行役を勤めます。

竣工

竣工とは、施工が完了することを指す建築用語です。竣工を迎えると、自社検査、完了検査、竣工検査等の検査を行い、それらすべてを問題なくクリアをすると、クライアントへの引き渡しとなります。

施工とは

ゼネコンの仕事内容の一つである「施工」は、営業から竣工までをコース料理に例えるならば、メインディッシュに該当する最も重要な工程です。この仕事は具体的に以下の4つの内容に分けられます。

(1)現場の安全管理 (2)建築工程の管理 (3)全体の原価管理 (4)建物の品質管理

まず、「現場の安全管理」ですが、これは実際に工事作業を進める人たちがけがや事故に見舞われることなく安全に仕事ができるように、労働時間や現場の安全確保を行うものです。

次に「建築工程の管理」です。工事をするえでゼネコンの指示のもと、様々な下請け業者が連携して進めていくことになります。その一つひとつの工程のスケジュールを決め、効率よく複数業者で仕事ができるように管理を行っています。

そして「全体の原価管理」は、建設するにあたりかかるすべての費用が決めた予算内で納めるよう、原価の管理とコントロールを行います。

最後に「建物の品質管理」ですが、これは詳細に決められた設計図に対して忠実に進行しているか管理をするものです。各資材の種類、サイズはもちろん、メーカーまで記載されている場合が多く、品質管理は徹底的にしています。

このようにゼネコンとは建設するうえで問題がないように管理し、工程に遅れが出ないようにする役割を担っています。もし建築工程に遅れが出てしまった場合は、工事を間に合わせるために担当者の補充なども行わなければならなかったり、予定していた資材に不具合があった場合は再度種類や仕様を変更しなければなりません。

決められた予算内での人件費と資材費の捻出が、ゼネコンにおいて大変難しい仕事といえるでしょう。

スーパーゼネコンとは

ゼネコンとは別に「スーパーゼネコン」なる言葉も存在します。このスーパーゼネコンとはいったいどのようなものなのでしょうか。詳細をみていきましょう。

  • スーパーゼネコンの特徴とは

    スーパーゼネコンの特徴とは

スーパーゼネコンの特徴とは? 大手ゼネコンとの違いは?

明確な定義があるわけではありませんが、単独の売上高が基本的に1兆を超える、大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店の5社をスーパーゼネコンと称するケースが多いようです。

また、スーパーゼネコン以外にも大手・中堅ゼネコンなどもあり、こちらは売上高3,000億円以上を超えるゼネコンを指しています。それぞれの会社の簡単な特徴をご紹介します。

売上高ランキング上位5位のスーパーゼネコン

清水建設

CMでも有名な「子どもたちに誇れるしごとを。」を理念に掲げる「清水建設」は、日本の伝統文化といえる歌舞伎座の改修工事などが請け負っていました。また、他のゼネコンが保有していない高い技術を持っているところも強みとなっています。

大林組

土木・建築・開発・新領域を担う「大林組」は「しなやかな未来を創る」をスローガンに掲げ、東京駅、東京スカイツリーや、大阪城、六本木ヒルズ、台湾新幹線、などの後世に残る歴史的な建造物の建設に関わっています。

大成建設

「人がいきいきとする環境を創造する」を理念とし、開発事業と都市開発に強みがある「大成建設」です。例えば新宿三丁目東地区や川崎駅北口地区第3西街区、高松空港などを手がけました。

鹿島建設

次に「進取の精神」を企業理念に掲げる「鹿島建設」は、日本で初めて行われた鉄道の工事や、高層ビルの建設をしたゼネコンです。伝統を忘れずに、さまざまな事業に取り組みながら最新のテクノロジーを取り入れ続ける会社です。

竹中工務店

そして最後は東京ドーム、あべのハルカス、阪急梅田駅など、現在もなおランドマークとなる商業施設を建設した老舗ゼネコンの「竹中工務店」です。一級建築士の在籍数や、優秀な建築作品に贈られる「BCS賞」「BELCA賞」などの件数もトップを占めています。

ゼネコンと似た位置にある仕事とは

最後にゼネコンと似た立ち位置にある仕事「サブコン」と「マリコン」をご紹介します。

  • ゼネコンと似た位置にある仕事とは

    ゼネコンと似た位置にある仕事とは

サブコン

「下請け業者」の意味を持つ「sub contractor」は通称サブコンと呼ばれ、ゼネコンから指示されて土木工事、専門建築工事、塗装工事などの専門工事を請け負う業者を指します。

マリコン

そして「海洋関係の請負業者」の意味を持つ「marine contractor」は「マリコン」と呼ばれています。これは名前の通り、海洋での作業、防波堤の設置、海底トンネルの工事など、海にまつわる建設を請け負っている業者を指しています。

身の回りにあるゼネコンのお仕事

ゼネコン、そしてスーパーゼネコン、それらに付随する下請け業者の仕事内容はご理解いただけましたでしょうか。自分の最寄り駅も、大きな商業施設も、さまざまな人の力によって自分たちの専門分野を全うして初めてできているのです。これからはそんな気持ちで建築物を見上げてみるのもいいかもしれません。