コンプレックスという言葉は日本においては劣等感というネガティブ意味として使われることが多いです。コンプレックスとは、本来どのような意味なのでしょうか。本記事では、コンプレックスの意味や由来、使い方・例文や類語などを紹介します。また、コンプレックスの原因や対処法についてもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

  • コンプレックスの意味とは

    コンプレックスの意味とは

コンプレックスの意味とは

コンプレックスは英語で「complex」と書き、「複合の・いくつかの部分からなる・合成の・複雑な・入り組んだ・複文の・手間のかかる」などの意味を持っています。さらに感情の複合、現実の意識に反する感情が抑えつけられたまま保存されているという意味もあります。語源はラテン語の「共におりたたむ、包み込む」です。

日本での意味

日本で使われるコンプレックスとは、自分が他人より劣っていると思って嫌だと感じている部分のことです。例としては「学歴コンプレックスだから、高学歴の人と話す時緊張する」のように使います。容姿など見た目に関することから才能や能力、収入にいたるまでコンプレックスの種類は幅広いです。

コンプレックスの由来

劣等という意味でコンプレックスという言葉が使われるようになった由来は、英語で劣等感とか「劣等コンプレックス」を意味するinferiority complex(インフェリオリティコンプレックス)がもとになっています。これを切り離して、後ろ部分のコンプレックスだけを劣等感の意味で使うようになったため、和製英語とも言えるでしょう。

コンプレックスの使い方・例文

コンプレックスという言葉は日常でもよく使う表現です。ここでは、コンプレックスという言葉の使い方を例文で紹介していきます。

<例文>

・私は母に似て鼻が低いことがコンプレックスだ
・彼は地方出身であることをコンプレックスに感じている
・コンプレックスを克服して成長した姿を見せたい

また、最近は学歴コンプレックスのことを「学歴コンプ」といって略して使うようなケースもよく見られます。

コンプレックスの類語

コンプレックスの類語や言い換え表現としては先述した「劣等感」や「引け目」などが挙げられます。「良い大学に入れなかったことに劣等感を抱いている」といったような使い方ができます。コンプレックスという言葉以外を用いて説明したい場合は、これらの言葉を使ってみてください。なお、コンプレックスの対義語には「優越感」が挙げられます。

次項からは、コンプレックスの原因や対処法について解説していきます。

コンプレックスの主な種類

さまざまな劣等感に対して使用されるコンプレックスですが、日本でよくみられるものを紹介します。

  • コンプレックスの主な種類4つ

    日本人が抱きがちな主なコンプレックスとは

種類1:容姿コンプレックス

容姿コンプレックスは、幼少期から言われ続けたり、思春期にからかわれたりすることがきっかけになるケースが多く、大人になってから容姿で扱いの差を感じたときなどに強まる場合もあります。

種類2:学歴コンプレックス

学歴コンプレックスは、自身の学歴に不満や引け目を感じることから生じるコンプレックスです。多様性が認められる時代に変化しつつあるものの、まだ「大学くらい出ておかないと」という風潮は残っており、大学出身者の間でも有名大学出身か否かでコンプレックスが生じるときがあります。

職場や業界によっては高い学歴を要求される会社もあり、社会に出ようとするときや会社に勤め始めてから強く感じ始める人が多いでしょう。

種類3:英語コンプレックス

英語コンプレックスは、英語が流ちょうにしゃべることができない日本人にみられるコンプレックスです。「外国人が話す英語がよく聞き取れない」「自分の思っている言葉を正確に英語で表現できない」などの理由から、外国人と話す際に恥ずかしがってしまったり、会話自体を避けたりするケースがみられます。

コンプレックスを作る原因

そもそも、なぜ私たちはコンプレックスを抱いてしまうのでしょうか。コンプレックスを克服するためにも、その原因をしっかりと探っておきましょう。

  • コンプレックスを作る原因5つ

    コンプレックスを作る原因とは

原因1:ネガティブな感情

コンプレックスを作る原因の1つめはネガティブな感情によるものです。自分の考え方だけでなく、悲観的な考えの人が多い環境にいたり、嫌いな人と無理やり付き合っていたりなど、ネガティブにならざるをえない状況下にいる影響もあります。

前向きになれず、自分が嫌になるようなネガティブな感情はコンプレックスを作るだけでなくコンプレックスを育ててしまうので、ネガティブな感情が湧く環境を変えるなどの行動も必要です。

原因2:他人の視線が気になる

コンプレックスをつくる原因の2つめは、他人の目線が気になることです。人は成長していくにつれて、親や先生、友人・知人からの評価を意識する機会が増えていきます。しかし、あまりにも他人の視線を気にしすぎると、思うように行動できずに失敗を繰り返すことがあります。

何か言われるのではないかと行動をためらうため、またダメだったとコンプレックスを強めてしまうのです。

原因3:自分の長所がわからない

コンプレックスを作る原因の3つめは、自分の長所がわからないことです。自分に対しての見方がネガティブすぎると、「自分は他人に比べて何も秀でていない」と感じてしまい、長所を見つけられなくなります。長所がわからないのではなく、正確には気づけていないのです。

「自分にはよいところなんて何もない」と思いこんでいるため、自身の嫌な部分にばかりフォーカスしてしまい、結果的にコンプレックスを作ってしまいます。

原因4:過去の経験

コンプレックスを作る原因の4つめは、過去の経験によるものです。昔他人に何気なく言われた一言がずっと引っかかっているのも同様です。過去の経験と脳のネガティブな感情がセットになったときにコンプレックスが生まれます。

火災や事故など、自分でコントロールできない理不尽な過去のトラウマがある場合も、前向きに行動できなくなりコンプレックスを生みがちです。

原因5:対人関係

コンプレックスを作る原因の5つめは、対人関係によるものです。他人とのコミュニケーションがうまくできなかったり、他人と話すと動悸がしたり、スムーズに反応できなかったりすることが、コンプレックスにつながります。

コンプレックスへの対処法

最後にコンプレックスの対処法についてご紹介します。ここにある方法だけがすべてではないので、自身に合った方法でコンプレックスを克服できるようにしてみてください。

  • コンプレックスへの対処法4つ

    コンプレックスへの対処法とは

対処法1:コンプレックスを相談する

コンプレックスへの対処法の1つめは、コンプレックスについて周りの人に思いきって聞いてみることです。コンプレックスは自分の中で勝手に大きくなりますが、案外自分だけが気にしている可能性も少なくありません。思いきってコンプレックスについて周囲に相談してみるのも、対処法の手段の一つと言えるでしょう。

対処法2:克服経験のある人と付き合う

コンプレックスを実際に乗り越え、克服した経験のある人と付き合うことは、有効な対処法となりえます。

コンプレックスを周りに相談してもあっさりスルーされ、受け入れて開き直ろうとしても前に進めないこともあります。その場合は、コンプレックスを克服して自信のある状態になった人の言葉が響きます。

対処法3:カウンセリングやセラピーを受ける

身近な人にコンプレックスについてなかなか切りだせなかったり、そもそも対人関係に悩みがあって相談者がいなかったりする場合は、専門家の力を借りてみましょう。

コンプレックスは複雑な要因が絡み合うことも多く、一人で頑張ってもなかなか抜け出せないケースも少なくありません。第三者の目で冷静にコンプレックスとどう向き合えば解決できるのか提案してもらいましょう。

コンプレックスを上手に克服しよう

コンプレックスは必ずしも悪者でもありません。コンプレックスがあるから負けたくないと頑張ったり、コンプレックスをバネにしてもっと優れた人になろうと勉強したりと、プラスに働くケースがあるのも事実です。

しかし、劣等コンプレックスが強いと思うように行動ができなくなり人生から逃げてしまう可能性もあります。コンプレックスを上手に克服し、プラスの原動力へと変えていきましょう。